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付随症状: 生理不順 多囊胞性卵巣(右) 高プロラクチン血症 
体質: 中肉中背、イライラしやすい、人に気を使う、顔色は色白、手足の冷え、ややのぼせ、疲れやすい、足のむくみ、大便1日1回で下痢しやすい、低血圧、めまい、小児期乗り物酔いあり、唇の乾燥、肩凝り、胸焼け、胃痛、腹痛、お腹の張り、皮膚は乾燥気味、生理不順で生理が遅れやすい、甘いものが大好き、飲酒は、週3回、朝食はパン食、睡眠時間6時間、運動は特になし
舌診:湿潤やや微白苔、舌深静脈やや怒張
既往歴: 膵炎 接触性皮膚炎
家族歴:糖尿病
経過
自家製煎じ温経湯を14日服用で腕、背中、足、お腹に湿疹ができる。冷えと下痢はよい。30日服用湿疹が治まり自然妊娠。無事ご出産。
産後4ヶ月にまぶた、頬、首の湿疹を訴えご来店。甘いものは食べている。授乳中。産後の体力低下も考え帰耆建中湯を30日処方する。湿疹は変わらず、自家製煎じ温経湯に変更。皮膚は改善され、第二子の準備に入る。断乳も少し遅れ、温経湯服用6ヶ月後妊娠。残念なことに5週で流産。腰から首にかけての全身の凝り、むくみ、目の疲れからの頭痛、声のかすれ、生理は35日。自家製当帰芍薬散料に変更。味が合わず飲めない。小便の量が減り、背中が凝り、頭痛がひどい。再び自家製煎じ温経湯に戻す。4ヵ月後自然妊娠。安定期に入る。

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 「グサッ、グサッ、グサッ、スコップを8回突き刺す。後は、力いっぱいスコップの柄を地面に押し付ける。畑の土が30cmほど盛り上がり、その中からは、芍薬の根がまるでたこの足のように姿を現した。5年ぶりの芍薬の根とのご対面である。
芍薬の収穫に立ち会ったのはこれで2回目である。1回目は15年前で、東京麻布、松伯堂医院の中村篤彦先生の畑で掘り上げ、大変苦労した思い出がある。芍薬は約5年間育てて収穫する、少し気が長くなる話だが、収穫の喜びも5年分となる。芍薬は、私たち薬局が一番消費する生薬である。また、私自身、芍薬が入る茶箱の蓋を開けたときの香りが大好きである。」

私たちの薬局は、無農薬・有機肥料で漢方薬を畑から作り始めて20年が経ちます。
どうしてそんな事をするの、とよく聞かれるのですが、理由は二つあります。一つは、漢方薬をゼロから勉強してみたかった、二つ目は、長く体に入るものだから無農薬のほうが良いのに決まっているから、そんな思いでした。薬剤師がやる畑作業などは、プロの方から見れば遊びのように見えるかもしれませんが、真剣に作って来ました。今回から複数回に渡り、芍薬の収穫から加工までの奮闘記をお話させていただきます。それでは、始まりです。

無農薬・有機肥料の畑作りの始まり

「慣れない2トントラックを静岡から千葉の東邦大学まで走らせ、1700Kgの大和芍薬を頂いたのが2003年10月。1袋25kgの芍薬70袋を作業場に入れるのも大変な作業であった。

この芍薬は、12、3年経っているということで、根の太さはなかなかのものである。出刃包丁で何とか2つに切り開くと中は’あんこ’でいっぱいである。あんことは、中心部が腐り黒く鬆になることである。少しでも収量を増やしたいので、このあんこも綺麗にくりぬく。芍薬の表面を軍手で拭きながら、一本一本確認していく。もうすでに母根には来年に向けて鮮やかな赤い芽が出始めている。多いと一株で10本以上はある。赤い芽を3個ずつ残して株を分ける。その後、株分けしたものは畑で畝幅、株間を約1mずつ空けて、植えつけていく。ざっと一袋が終わるのに3時間の仕事だ。また、作業中、よく胸や腹部に激痛が走る。原因は`あり`である。芍薬の根はよくありが巣を作る。噛まれた後は、直径3cmに腫れ上がり、その後何回となくかゆみに襲われる。幼い頃に足長蜂に刺された時の感覚とよく似ている。このような時は、葛根湯を服用するとよい、と師に教えられた。風邪の始まりの時と同じで体表にある毒を、発汗させてくれるのである。そのことをヒントに、夏のアブ対策、秋のスズメバチ対策として、スタッフ一同エキス剤をポケットに入れるようにしている。
芍薬の加工作業が終わるころは大晦日を数えるまでとなっていた。ドロとあんこを除いた芍薬は、半分に減っていた。それでも総量は800Kg、この量の芍薬の粗皮を剥くのにはどうしたらよいのであろうか。師の知恵を拝借して、明石からたこ洗い機を購入した。お風呂の湯船が、横に回転する機械と思っていただきたい。一回で約50Kgの芍薬と、砂利と砂を入れて芍薬がちょうどつかるぐらいの水を引き、30分回転させる。その動きはダイナミックである。30分後、ふたを開けるとまるで洗剤を入れたように泡でいっぱいになる。その中から顔を出した芍薬は、まるで別人のごとく真っ白であった。赤茶けた芍薬の変貌ぶりは、あたかも血に働く能と、真っ白な筋肉を和らげる働きを兼ね備えていることを教えているようである。」


ひ弱な薬剤師が畑作業をすると、一番大変なのは腰を痛めることです。25Kgの芍薬を積んだり移動したり、当に骨が折れる作業です。ただ良いこともあります。もちろん力がつくのは言うまでありませんが、採りたての薬草をお風呂に入れるとポカポカ温まりぐっすり眠れるのです。当に天の恵みとは、この事を言うのでしょう。芍薬は筋肉を和らげて血行をよくしてくれます。腰痛には芍薬甘草湯、腹痛には小建中湯、頭痛には桂枝湯と全て芍薬が入ります。私はこの芍薬の香りを嗅ぐだけで、気持ちまでゆったりします。全身の緊張を緩めてくれる素晴らしい薬草です。

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今回は、漢方における特徴的な考え方のひとつ、心身一如をご紹介します。
これはどのようなことを意味しているのかというと、心と体は全く別のものではなく密接な存在であり、互いに影響を与え合っているという考え方になります。

対して、西洋医学では心と体は別物と捉え、互いを切り離した上で診断、治療を行っています。

この心身一如の考え方が理にかなっていることは、生活のあらゆるシーンで感じることができます。
例えば、わたしたちは日々、多くのストレスにさらされていますよね。
適度なストレスであれば良い効果を生むこともありますが、長期間に渡る過度なストレスは気持ちが沈み込むだけではなく、次第に、胃腸障害をはじめとした様々な病気を呼び寄せてしまうことがあります。
それは、まさに心の不調が体の不調を引き起こしたといえるのです。


また、プラセボ効果からも、心身一如の一端を垣間見ることもできます。
プラセボは偽薬ともいわれますが、中身をみてみると薬本来の有効成分は含まれておらず、代わりにデンプンや生理食塩水など通常であれば、治療効果が期待できないもので構成されています。
しかし、それを効果のあるものだと思って服用することで、実際に症状が改善されるということがあります。これをプラセボ効果と呼びますが、ここには心理的要因が大きく関与していると考えられます。


もともと、漢方では西洋医学のように、細かな検査をして病名を決定し、治療薬を決定するという過程はとらないことを以前お伝えしましたが、心身一如の考え方はまさにこれを表しているといえます。
すなわち、体に不調があればそれを体だけの問題と捉えずに心の変化や気持ちも関連していると考え、包括して治療を行っていくのです。
そのため、心身ともに相乗効果で症状が改善されることとなり、結果的に再発率も低くなるのです。

“病は気から”という言葉もありますが、体の状態が良好なだけではなく、同時に心の状態も良好であることが真に健康であると言えるのではないでしょうか。

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(写真は、芍薬)

それは、高麗人参について調べているときのことです。高麗人参は皆様ご存知のとおり滋養強壮剤として有名で、薬局で売られているドリンク剤にも含まれます。昔はその形が人に似ていることから、不思議な力を持つ不老長寿の薬とも言われていました。その後、医学の研究が進み色々なことがわかってきました。糖尿病の方にインスリンを増やす働きや、貧血の方に血を増やす働き、老化を抑える働きなどです。

漢方薬の摩訶不思議
また、驚くことに、高血圧の方に血圧を下げる働きと低血圧の方に血圧を上げる働きがあり、気持ちを落ち着ける働きと興奮する働きを併せ持っていることが分かってきたのです。一つの薬用植物の中に相反する二つの働きを持つ成分があるのです。私たちが使っているお薬の中にはこんなことは有りえません。これが漢方薬の摩訶不思議の所以です。難しい話ですが高麗人参の成分の一つ「ジンセノシドRb群」が中枢神経を抑制させ、「ジンセノシドRg群」が中枢神経興奮させるのです。漢方医学はバランスの医学とも言われ、人を健康に導くために、高いものは下げ、低いものは丁度よく上げる、所謂「恒常性(こうじょうせい)」を働かせるのですが、そのときに、自動的に相反する成分を使い分けているのです。まるで今流行の人工知能に似ていませんか。
では、どの様な理由で使い分けているのでしょう。

生き物は環境によって変化する
 人は環境によって変化するものと言われています。親譲りの頑固な性格は変わらないが、人は人に良くも悪くも影響されるものです。このことを悩んでいる方もいますが、生命がもっている生きのびる手段かもしれません。先ほどの高麗人参のお話と同じで、一人の中に相反する二つの心があり、今の環境に応じて心が決まってきます。それを決定付けるのが、自分に置かれた立場なのです。漢方薬は基本的に複数の薬用植物から出来ています。多いものですと20種類以上のものまであります。その中には仲がよい相手や、気が合わない仲間がいます。そのペアを組む相手によって、働きが変わってくるのです。例えば、高麗人参は、乾姜とペアを組むと神経興奮に働き、石膏とペアを組むと神経抑制に働きます。
この考えを、医学論文として発表したのが、私たちの師匠、田畑隆一郎博士です。「二味の薬徴理論」と名づけました。
 

二足のわらじの真武湯
 お話の最後は、真武湯(しんぶとう)という漢方薬です。茯苓、朮、芍薬、生姜、附子の5種類から作られています。その効き目は相性が合うと絶大で、メニエール病、疲れ、体力がない方のかぜや、パーキンソン症候群、小脳疾患にも応用されます。
この漢方、高血圧症と低血圧症両方に使われます。西洋医学的には考えられない、同一処方で相反する働きをもつものです。理由は、その中の茯苓・朮のペアの働きが余分な水分を出すことにより血圧を下げたり、附子と生姜のペアの働きで体を温め新陳代謝を高め、低血圧の方の血圧を調節するのです。このことは、真武湯を使う人の体質によって、同じお薬なのに作用の中心が変化してくることです。例えば歴史の中で戦国時代は腕力が強いものが上に立ち、泰平の世では知恵が働くものが力を発揮することに似ています。

漢方薬は、複数の薬用植物の配合で出来ており、それぞれの植物には沢山の成分が入っています。それが、煎じ薬として煮詰まると互いに作用して新しい物質を作り出します。かなり複雑系となっていて現代医学を持ってしても分からないことだらけです。最先端の科学や技術は自然から学んでいるようですが、当に2千年の歴史ある漢方医学は隠された素晴らしい医学と感じています。
むつごろう薬局新聞 No175号より

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22歳 女性 身長172㎝ 体重53kg
自覚症状
生理痛(激しく痛む)
にきび(あごから頬)
両卵巣が腫れている。(左が大きい、内容物は分からず。)
体質 
痩方、蝋人形のごとく寒々とした顔色、神経質、気が沈む、足の冷え、お風呂は短い、足のむくみ、大便1日1行、小便日に7行、唇のあれ、肩首の凝り、冷えっ腹による下痢、足のつり、生理周期28日、貧血、舌は無苔でやや湿潤、水滞あり。甘いものを好む。
経過
痩方でとてもスリムなファッションモデルのような雰囲気であるが、顔のにきびがかなりひどく目立つ。性格的には物静かで、兄弟仲が良く、いつも弟さんとご来店されていた。当帰四逆加呉茱萸生姜湯加ヨクイニンを服用して頂くこと4ヶ月、皮膚のザラザラ感がよくなり、検査で卵巣が小さくなってきた。その後5ヶ月、左卵巣の大きさは4㎝、右は親指サイズで大きさは変わらないが、生理痛が無くなり、にきびが生理前でも新しいものが出来にくくなった。甘いものを減らしたせいか体重は50Kgとなった。2ヵ月後体重が55Kgと増え再び生理痛と出血が増えた為、桂枝茯苓丸にかえる。その後生理痛なし、生理量少ない。その後、生理がだらだら続き、お腹の冷えと、冷たいものを食べると下す症状が再び出始め当帰四逆加呉茱萸生姜湯に戻す。左卵巣は3.6㎝と小さくなり、本方が終了するころには、にきび顔からきめ細やかな皮膚に戻り、本物のモデルさんのようになられていた。


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