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(クコの花)


2年前より肩の痛み(四十肩)に悩まされているといいます。病院でブロック注射を何度かしたようですがなかなか改善されず、漢方のご相談に見えられました。痛みがあるのは右肩で、腕が上がらず、首筋も痛み、腕にしびれを感じる時もあるといいます。体質は、大食漢でお腹が張り、暑がりで、イライラしやすい性格です。
 漢方薬の大柴胡湯と桂枝加葛根湯を調合。飲み始めて1か月後、肩の痛みが少し和らいできたといいます。さらに1か月後、痛みが半減し、首筋の張りも減り、腕の可動域が広くなっているといいます。そのまま漢方薬を継続し、
1年がたったころには痛みは無くなりました。

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 7月のある日、ネットのニュースにコオロギせんべいが取り上げられていました。みなさんは昆虫食って聞いたことはありますか?豚や牛を育てるのには、エサや水が大量に必要です。さらに牛は、体内に4つの胃を持っていて、第1胃でメタンガスが発生してゲップとして出します。メタンガスは二酸化炭素よりも熱を吸収する効率が高い温室効果ガスです。一方昆虫は栄養価も高く、環境への負荷が少ないので、2013年にはFAO(国連食糧農業機関)が昆虫食を推奨する報告書を発表したそうです。コオロギせんべいの開発の発はフィンランドだったことなど、とても興味深い記事でした。
 その記事を読んだ次の日、肝経のツボを調べていて、「蠡(れい)溝(こう)(れいこう)」は虫に関係しているツボであることを思い出しました。蠡は木に穴をあける木喰い虫を指し、溝とは狭く小さな窪みのことです。場所は脛骨内側面上で、足背を上に反らしたときにできる小さな窪みにあります。内くるぶしの一番高いところから5寸なので、指4本幅+3本幅のところです。まるで虫がはうような感じの陰部の搔痒にも効果があると解釈されます。
かゆみに同じ高さの腎経の「築(ちく)賓(ひん)」を使うことはありましたが、今回陰部のかゆみには「蠡溝」がいいことを知り勉強になりました。かゆみがあるときに「築賓」に反応がなければ、陰部でなくても「蠡溝」を使ってみるとよさそうです。主治は赤白帯下、月経不順、遺尿、ヘルニア、下腿の萎縮・麻痺です。睾丸の腫脹・疝痛には「中極・関元・三陰交」を配穴するそうです。別名は「交(こう)儀(ぎ)」です。名前の由来が分からないのですが、肝経は生殖器の周囲をめぐりますし、字からも妊活中の方にもよさそうと連想させるツボです。不正子宮出血には2寸(指3本)上の「中(ちゅう)都(と)」が使われます。

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4~5年前より皮膚に湿疹ができ始め、病院で尋常性乾癬と診断されたといいます。ステロイド剤やビタミンDの軟膏を塗っていたようですがなかなか改善が見られず、漢方のご相談に見えられました。患部は赤く、皮がザラザラとして、魚の鱗のようになっています。部位は足や腕にひどく、お腹や背中にも出ています。漢方薬の荊芥連翹湯(煎じ薬)を調合。患部には紫雲膏を塗ってもらい、動物性食品(肉、脂、卵、牛乳など)を控えてもらうようにお伝えしました。服用して3か月が経ったころより、新しい湿疹はできなくなりました。そのまま漢方薬を継続してもらい、半年を過ぎたころよりきれいになり始め、その後徐々に良くなっていかれました。漢方薬を約2年間服用され、肌は元のきれいな状態に戻りました。

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腸で幸せホルモンが作られる
前回号では、朝食にトリプトファンとビタミンB6が含まれている食べ物を食べると、体内時計のリズムを整えると言われているメラトニンが夜作られ、眠りもよくなるというお話をしました。ビタミンB6は他のビタミンB群とビタミンKと同じように、腸内細菌も合成しています。脳に入ったトリプトファンからメラトニンが松果体で作られる間には、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが作られます。
 脳と同じように腸は、セロトニンや、やる気を高めてくれるドーパミンなどの神経物質も作っています。腸で作られた神経伝達物質が腸の神経を刺激し、迷走神経を通じて脳に伝わり、気分や感情に影響を与えます。腸内環境が整えられると脳内のセロトニンが増加するのですが、腸内細菌の状態が悪いとセロトニンが作られにくくなり、結果として脳内のセロトニンも不足してしまいうつ病を発症しやすくなります。お店で扱っているベストトリムにも入っているブレーベ菌は、マウスに与えたところ、不安症状の軽減が認められたそうです。腸内細菌によって腸で多く作られやすくなったセロトニンが脳に運ばれているのでしょうか?脳の血液脳関門という仕組みによりセロトニンは脳に入ることはできません。セロトニンの素(5-ヒドロキシトリプトファン)が、脳内に入ることで脳でセロトニンに変わり、増えるようです。セロトニンは全身の90%は腸管に分布し、そのほとんどは腸クロム親和性細胞の顆粒内に局在していて、腸内細菌によって作られた単鎖RNAが、腸クロム親和性細胞のPiezo1というものを活性化して、セロトニンを産生するようです。腸内細菌の状態がいいと脳のセロトニンが多くなるということは、メラトニンも多く作られることになり、眠りにもよさそうですよね。 

腸内細菌と睡眠
 筑波大学などのグループは、長期間、抗生物質を投与することで腸内細菌叢を除去したマウスを用いて、腸内細菌叢と睡眠の関係について調べたそうです。腸内細菌叢除去マウスと正常なマウスの盲腸内容物を調べたところ、腸内細菌叢除去マウスではビタミンB6が有意に減少し、セロトニンが枯渇している一方で、抑制性神経伝達物質であるグリシンとγアミノ酪酸(GABA)には有意な増加が認められました。腸内細菌叢を除去したマウスでは、覚醒と睡眠の昼夜のメリハリが弱まっていること、レム睡眠に特徴的な脳波成分であるシータ波が減少していることがわかったそうです。腸内細菌がいなくなると睡眠の質を低下させる可能性が示されたとのことです。
 
腸内細菌と漢方薬
 体内で代謝されて、化学構造が変化してはじめて効果を示す薬物をプロドラッグと言います。漢方薬の成分には天然のプロドラッグと言われるものがたくさんあります。糖がくっついている配糖体というものは、分子がかさ高く、水溶性であるため消化管上部では吸収されにくく、大腸まで運ばれて代謝されます。糖が酸素で結合したO-配糖体、炭素で結合したC-配糖体があり腸内細菌が糖部分を加水分解して、糖がないアグリコンになります。C-配糖体は酸やアルカリに強いため、腸内細菌がいなければ、容易に加水分解されません。葛根湯の中の生薬・葛根に含まれるプエラリンはC-配糖体でそれ自身では女性ホルモン作用は示しませんが、糖部分が除かれたダイゼインには顕著な作用があります。同じく葛根に含まれるダイジンはO-配糖体で、糖が除かれると同じダイゼインになります。そしておなかにエクオール産生菌がいる方はダイゼインをエクオールに変換することができます。エクオールはダイゼインより体内保持期間が長いため、排泄されにくく女性ホルモン作用も強いとされています。腸内細菌によって、漢方薬の効き目も変わってくるのですね。気づいている方もいらっしゃると思いますが、大豆中には配糖体のダイジンが含まれ、味噌や醤油のような大豆の発酵食品の中には、糖が切り離されたダイゼインが含まれています。

幸せを感じて、漢方の効き目をよくするためにも、おなかの中の味方を応援したいですよね。発酵食品やベストトリムで善玉菌を取り入れ、善玉菌を増やす発酵性食物繊維を食べましょう。具体的な食べ物については相談の時に聞いてくださいね。


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