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第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

西洋薬と漢方薬は何が違うのか

 現在、西洋薬として使われている薬草の40パーセント以上は、天然物に由来するものです。つまり、西洋医学として天然の植物を治療に応用してきたことに変わりはありません。
 漢方薬と西洋薬のきわだった差異は、その薬の作用、効果の強さに対する受けとめ方と考えられます。基本的に西洋薬では、強い効果を持つ薬物ほどよいものと考えられています。そのため、漢方薬と西洋薬は、同じ天然物を出発材料としていても、西洋薬はより強い効果を求めて、有効成分のみを抽出して用いたり、さらに生理活性物質を単離し、構造決定し、化学合成するようになり、より強い活性を求めて、次には誘導体を作り、合成新薬開発への道を進んできました。
 一方、漢方薬は、強い作用よりも、乱れた体のバランスを回復させる効果を持った薬がよいと考えられています。つまり最高の漢方薬とは、生体との相互作用による自動調節機能を有している薬ということになります。前章で述べたさまざまな生体防御システムを駆動させて、乱れた体のバランスを回復させるのが最大の特徴になっています。
 西洋薬は、おもに「対症療法」を目的とした薬である、ということもできるでしょう。ただし、これは疾患の原因がわからない場合であって、原因がはっきりしたものであれば、西洋薬とて完全な根治療法になり、その意味では、最終目標は漢方薬と同じです。ただ、漢方薬は天然の生薬を用いているため、西洋薬のように1つの特定の薬効を持つことはほとんどない、つまり、症状は漢方薬を投与するための目安ではあるが、その症状が取れるということは、体が完全な状態になったことを意味しています。
 専門的に言えば、漢方薬は陰陽、虚実のバランスを整える薬です。漢方薬には、プラスとマイナスの相反する効果が同時に存在していることになりますが、このような薬効は、西洋薬にとっては自己矛盾でしかありません。このために東洋医学と西洋医学は、なかなか歩み寄れないのです。
 漢方薬の効果についての基本的な考え方は、約2000年前に記述された東洋医学の古典、『神農本草経』の中に、すでに見いだすことができます。ごく簡単に紹介しておきましょう。 
 まず、生体に対する作用をレベルによって3つのカテゴリーに分けています。その最もレベルの高い、最高の薬を「上薬」として120種類挙げ、これらは毒がなく、寿命を延ばす作用がある薬で、毎日服用すべしとしています。次に「中薬」として120種類挙げていて、時に毒があり、大量に用いれば体に悪いこともあるが、新陳代謝を活性化するので、毎日適量なら服用してよいとしています。最後に「下薬」として125種類挙げて、程度の差はありますが、必ず毒があり、しかし、体にある病魔と闘う力はきわめて強いので、一定期間、時間を限って使用する薬であるとしています。これが、先に述べた漢方薬の「プラスとマイナスの相反する効果」であり、そのバランスこそが漢方薬の命ということになります。このような考え方からいくと、効果は強力だが副作用もある西洋薬は、すべて「下薬」というカテゴリーに位置してしまいます。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

脳を守る漢方薬#9

漢方薬の正体を科学する


 もう一度整理しておくならば、「漢方薬」の基盤となるおもな作用には、人間の自然老化現象に拮抗する強力な「活性酸素消去作用」があること、さらに「脳の血流とエネルギー代謝を改善」し、脳細胞への酸素と栄養の供給を促して「脳細胞の働きを活発にする作用」があること、そして、神経突起を伸ばし、「失われた記憶のネットワークを再構築する作用」を併せ持ったもの、ということになります。
 では、「漢方薬」とはいったいどのようなものなのか、その正体を明かすことにしましょう。「漢方薬は」、9種類の薬草を混合した形態を持ちます。また、「漢方薬」は、患者の病態・症状により、その形態を4種類に変化させ、さらに患者の体質によって8種類に変化させて用いることが必要になります。

 ボケを予防し、進行を食い止める「漢方薬#9」および「漢方薬#7」のさまざまな作用を見てきました。どちらも「脳を守る漢方薬」になりますが、これらには、東洋医学2000年の英知と、現代まで淘汰されることなく引き継がれてきた歴代の賢人たちの臨床経験、さらには現代の最先端科学で証明された確固たる薬理効果があります。いうまでもなく食物と同等の確かな安全性があり、まさにベスト・オブ・ベストの漢方薬です。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

脳を守る漢方薬の秘密#8 アルツハイマー病に特徴的な「空間認知障害」を予防する作用

実証された「脳を守る漢方薬#9」のボケ予防効果


 では、八方向放射状迷路装置にアルツハイマー病のモデル動物「スコポラミン・ラット」を入れた実験をご紹介します(引用文献⑧リンク )。
 訓練を受けて「空間認知」を獲得し、頭のよくなったラットに、アセチルコリンの情報伝達を遮断する作用があるスコポラミンという薬物を注射すると、アルツハイマー病状態になり、少しボケてきて、エサのないアームに迷い込む回数が増えてきます。つまり「空間認知障害」が発現してきます。たとえば、初回の8回のエサ取りのうち、5回はミスを犯さずエサを取りますが、残りの3個のエサを取るのに9回のミスをするようになります。  ところが驚くことに、頭のよくなったラットに、スコポラミンを注射する30分前に「最高の漢方薬」を水に溶かして、あらかじめ飲ませておくと、アルツハイマー病状態が予防できるのです。すなわち、エサのないアームに迷い込む回数が少なくなり、アルツハイマー病に特有の「空間認知障害」が改善されたことを示しました。たとえば、初回の8回のエサ取りのうち、7回はミスを犯さずにエサを取り、残りの1個のエサを取るのに3回のミスで取れるようになります。  次に、訓練を受けて頭のよくなったラットに、「もう1つ最高の漢方薬」を水に溶かして、同じようにスコポラミンのを注射する30分前に飲ませておくとどうなるでしょう。スコポラミンの影響で、やはり、アルツハイマー病状態が現われます。また、エサのないアームに迷い込む回数は少なくなりますが、前の漢方薬に比べると少し効果が弱くなります。たとえば、初回の8回のエサ取りのうち、6回はミスを犯さずにエサを取りますが、残りの2個のエサを取るのに6回のミスを犯しました。
 もう1つの実験を紹介しましょう。今度は八方向放射状迷路装置に、脳血管性痴呆症のモデル動物「脳虚血ラット」を入れた実験です(引用文献⑧リンク )。
 訓練を受けて「空間認知」を獲得し、頭のよくなったラットの脳に向かう動脈をクリップで止めて、脳への血流を10分間中断します。脳を一時的に虚血状態にしてから、クリップをはずしてやります。すると24時間後には、この頭のよかったラットは脳血管性痴呆状態になり、少しボケてきます。エサのないアームに迷い込む回数が増えてくるのです。実験では、初回の8回のエサ取りのうち、5回はミスを犯さずにエサを取りましたが、残りの3個のエサを取るのに、8回のミスをするようになりました。前述したように、脳細胞が「虚血」にきわめて弱く、その結果、ボケが発現しやすいことを物語っています。
 次に、頭のよくなったラットに、今度は、脳を一時的に虚血状態にする1時間前に「もう1つの最高の漢方薬」を水に溶かして、あらかじめ飲ませてから実験してみました。すると、あまりボケずに、エサのないアームに迷い込む回数が少なくなるのです。初回の8回のエサ取りのうち、7回はミスを犯さずにエサを取り、残りの1個のエサを取るのに2回のミスで済むようになりました。この漢方薬が脳血管性痴呆状態になるのを予防し、「空間認障害」を改善したことになります。
 続いて、訓練を受けて頭のよくなったラットに、同じ手順で「最高の漢方薬」を飲ませたところ、「もう1つ最高の漢方薬」をに比べると、少し効果が弱くなるという結果が出ました。初回の8回のエサ取りのうち、7回はミスを犯さずにエサを取りますが、残りの1個のエサを取るのに4回のミスを犯したのです。この実験は、脳血管性痴呆には「漢方薬」よりも「もう1つの漢方薬」のほうが効果があることを示しています。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

脳を守る漢方薬の秘密#8 アルツハイマー病に特徴的な「空間認知障害」を予防する作用

「迷路装置」を使って実験する


 オルトンが開発したこの記憶課題は、2種類の記憶から成り立っています。まず第一に八方向のアームの先端に行けば、とってもおいしいエサにありつけるという規則を記憶しておくこと、これを「参照記憶」といいますが、これは実験期間中ずっと覚えておかなければならない記憶になります。
 第二に、この参照記憶をもとにして、八方向のアーム、つまり八本の選択肢にあるすべてのおいしいエサを取り終えるまで、すでにエサがないアームとまだエサが残っているアームを区別して記憶すること、これを「作業記憶」といいます。この八方向放射状迷路装置内に置かれたラットは、まわりの風景(空間認知地図)のもとで、この2種類の記憶を用いておいしいエサを獲得するものと考えられています。
 1日1回の試行訓練で約10回訓練すると、正常なラットは「空間認知」を獲得するといわれていますが、この空間認知を獲得して頭のよくなったラットは、一度通ったアームには二度と迷い込むことがなく、8回の選択で効率よく、順においしいエサを取っていくようになります。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

第4章 漢方薬の驚異のボケ防止作用

脳を守る漢方薬の秘密#8 アルツハイマー病に特徴的な「空間認知障害」を予防する作用

いま、自分はどこにいるのか?


 空間認知(spatial cognition)とは、私たちが場所や道順などを記憶するために、いま自分のいる場所を、自然環境や人工的環境のなかのさまざまな物質(木、川、建物など)との空間関係を背景にして知り、行動する能力をいいます。大自然のなかで生活する動物たちにとっては、生きるための最も基本的な知的行動といわれています。
 たとえば、蜂蜜が花から花へ訪れて蜜を集める場合、一度訪れた花にはけっして再び訪れることはありません。これで、合理的にすべての花の蜜を集めることができるわけです。これは、蜜蜂が花の特徴を一つ一つ覚えているわけではなく、花と茎などの個々の背景との位置関係、すなわち空間的情報を手がかりとして知ったものなのです。蜜蜂はこの方法を用いることによって、最小のエネルギーで最大の効果を得ることができます。
 もちろん、人間も例外ではありません。このような動物に特有の脳の高次機能の働きによって、私たちは、「いま、自分はどこにいて、どこに行こうとしているのか」といった判断を瞬時に行なっているのです。ところが、痴呆症になると、この機能に異変が生じます。とくにアルツハイマー病の患者さんに特徴的なのが、この機能の喪失です。その結果、「失見当」などの行動に典型的な「空間認知障害」が現われます。
 「空間認知機能」を実験的に調べる方法は、1979年にオルトンという学者によって開発されました。オルトンは「八方向放射状迷路装置」という実験装置を用いることによって、動物の「空間認知機能」を測定することに初めて成功しました。 


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。


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