寒さが増すにつれ、筋肉や関節の緊張が高まる。70歳の女性
の場合も、3カ月間医者にかかっていた後の相談であった。歩行
中5分くらいすると膝(ひざ)の後ろだが痛み出してくる。20分ぐら
いたつと地面に足をつく時に激痛があり、休まずにはいられない
ようになる。5分くらい道端で休んでいると、また歩けるようにな
る。普段30分で行くところが、倍の時間かかってしまう。この1,2
年、ご主人の具合が悪く毎日のように病院通いをしていた。また、
ご主人へのストレスもかなりあり、イラつくことが多かった。
症状は他に、目のカスミ、爪につやが亡くなった。体の筋肉が
全体に固くなり、夜寝ているとこむら返りを良く起こすなどであ
る。
この病因は2つあり、その1つは慢性的な体の使い過ぎで、陰
血が消耗したためである。もう1つは、「肝は血を蔵す」という言葉
があり、肝臓から巡ってくる血が不足し、筋肉に栄養を送れなくな
ったためである。この人には煎じ薬の「神応養真丹・しんのうよう
しんたん」を服用していただいた。2週間もすると痛みがとれ、膝
の裏の引きつれだけになり、1か月でほぼ以前のように歩ける
ようになった。現在も忙しい日々が続いているので、予防のため
に1日2回の服用で継続中である。
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【質問】風邪がこじれ、なかなか元気が出ません。漢方薬をどの
くらい服用したら効果が出るのでしょうか? 【答え】お年寄りや小児、または健康であっても寝不足や身体が 疲れている時は体力が落ち、病気に対する抵抗力も低下 して感冒にかかりやすく治りも遅い。風邪を引いても薬を なかなか飲まなかったり、間違った薬を服用すれば、こじ れた風邪に発展します。これは体に不足を起こしている もので虚証と称します。 寒がりでも毛糸の帽子などをかぶっている人が風邪を引 き、いつも眠い、小便が近い場合には「麻黄附子細辛湯・ まおうぶしさいしんとう」を4,5日服用してもらいます。 しかし、手足が冷たく身体が重だるく頭重し、小便に異常 を来して便も軟らかいものには「真武湯・しんぶとう」を使 用します。この場合は1,2週間かかることがあります。 寝不足や普段の疲労が蓄積されているところに風邪を ひくと、元気がなくなり少し動くだけで汗をかき、食事の味 がしない、また食欲がなくなり夕方になると発熱してくる人 には「補中益気湯・ほちゅうえっきとう」が良いでしょう。 この場合は6,7日かかることもあります。 このような方は虚証があるので、繰り返し風邪を引くこと も多く、身体の不足を補う適切な漢方薬を普段から服用 することが感冒の予防には最も適切な方法です。 |
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更新日: 2018/02/07 |
脱腸とは一般的にヘルニアと呼び、大腸が腹中よりはみ出る
ことを言う。小児や高齢者に多く発現し、突出する部位は鼠径 (そけい)部が多く、男子は陰嚢(いんのう)部にも起こる。 87歳の女性の場合、普段より朝夕散歩をされていたが、自宅 の階段から落ちられ、鎖骨を骨折。即座に整形病院に入院され ていたが、リハビリ中、右鼠径部にうずら大卵大のはれを発見。 患部に赤みなく、押すと痛みを感じ、歩く時違和感がある。朝に なると多少小さくなり、午後にはわずかに大きくなるような気がす る。他の総合病院にセカンドオピニオンを求めると手術をしましょ うと言われた。 内臓を一定の場所に保持する働きが存在し、それを「中気 (ちゅうき)」と呼んでいる。この力が不足すると、内臓を一定の場 所に保てなくなる。脱腸もその一つの症状であり、他に胃下垂、 遊走腎、膀胱(ぼうこう)下垂、子宮脱、脱肛などの疾患がある。 体質や部位により「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「香砂六君 子湯(こうしゃりっくんしとう)」「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」 などを使い分ける。この方には中気の不足を補い、陰と陽の バランスを調整する「小建中湯」を服用いただき、現在まで再 発なし。 |
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更新日: 2017/08/02 |
鼻汁には、鼻腔からの鼻汁と副鼻腔にたまった鼻汁とがあり、
正常時にはのどから胃に流れても自覚症状はないのですが、 一旦風邪などで鼻に炎症が起きるとその分泌液の量や粘土が増 し、のどに流れ落ちるのが解るのを後鼻漏と言います。 症状としては、のどに痰がへばりついたり、めまい、頭痛、咳 払いや、夜間の激しい咳などを繰り返すなどがあります。 この原因としては、暴飲暴食や不摂生、特に冷たいもの(飲み 物・果物)を摂り過ぎると、胃腸が冷えて働きが低下し鼻の状態が 悪くなります。 68歳の女性で10代の頃より苦しんでおられたが、その当時は 自分のことどころではなかったとのこと。今回来店され、水分の滞 りと捉え、血液の循環をたかめ、胃腸を丈夫にする原因療法を行 いました。調子が良くなられる。 |
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更新日: 2017/06/08 |
桜の便りが近づくと、元気で学校に行ってもらいたいと祈る
のは、親心というものである。春休みは子供の相談が増えるの も当然であろう。 小学校5年生の少女は、去年の1月に急に激しい胃痛と吐き 気に襲われ、急性胃腸炎と診断され、5日間の入院となった。 退院後も食べると吐き気を催し、春になってやっと元気が出た という。今年の正月に再び同じような症状に襲われ、1月は12 日間、2月と3月にも10日間ずつ3回入院し、現在も食欲不振と 吐き気がとれないと来店した。普段から体温は低く、おとなしく 神経質だが、医師は自律神経の影響ではないという。吐き気と 胃痛を伴う流感の延長であると考え柴平湯(さいへいとう)を処方 数日すると電話があり、漢方薬を飲むと下痢をするという。 良く聞くと、便通も毎日1~2回でゆるめで形はあり、水分をあま りとらない方で冷たいものは絶対に口にしないという。小便も 5~6回くらいである。 人間には、無意識のうちに自分に合わないものを拒絶する 本能があり、症状が表面に現れないことがある。胃腸の陰陽 のバランスを整え、働きをよくする小建中湯(しょうけんちゅうと う)と、腸を温める理中湯(りちゅうとう)を併せて服用すると、2服 で食欲がわき、吐き気がなくなったと報告があった。 |
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更新日: 2016/04/07 |