40歳代 女性
40歳代でニキビと言うからそうなのだろう。息子がお父さんに漢方薬を作ってもらったらと助言したらしい。自分で何か薬を出してやればいいと思うが自信がないのだろう。見たら確かに両方の頬っぺたに大きなニキビが数個ずつ出ていて、おでこにも少しあった。そのくらいなら放っておけばいいと思うが、人それぞれの価値観?美意識?だからこちらが介入できない。
そこで2週間分作って持って帰らせた。4日目にやって来て、きれいになったでしょうと見せてくれた。もともと本気で診ていなかったからどの程度のものがどの程度になったのかわからなかったが、本人がきれいになったと言うのだから、それに越したことはない。
「〇〇が、患者さんに使ってみると言ってた」と教えてくれたから、僕にとっては嫁のニキビが少し綺麗になることよりも価値があった。「放っておけばいいが!」と冷たくあしらわなくてよかった。
現代医学を勉強して、特に内視鏡検査などで忙しいから、雑病にはあまり関心がないのか、せっかく教えてやっている漢方処方も出番が少ない。もう少し命にかかわらない病気にも関心を持って診てあげたら患者さんも喜ぶだろうにと思うが、漢方の処方箋は少ない。
ニキビを突破口に、ありふれたトラブルや、現代医学で対処しづらい不調に漢方薬を使ったらいいのにと思うが、なかなか親の思うようには行かないものだ。もっとも彼が本気で漢方薬を処方し始めたら一番につぶれるのは僕の薬局だが。