10歳代 女性
煎じ薬を飲んでいただいて、ずいぶんと体調も心調も良くなってもらえているみたいだが、「やる気が出ずに、1日中眠いのを何とかしたい」と新たな希望を言われた。
医療従事者になるべく学生生活を送っているのだが、やる気が出ずに1日中眠かったら、さすがに不安だろう。せっかく明るくなってもらっているのに、そんなことをテーマに青春を送るのはもったいない。だから僕は一発、活を入れてやった。「僕の青春時代と一緒やん」
なんでも僕の煎じ薬を飲んでお母さんに「大和先生みたいにスペシャリストになりたい」と大きな誤解をしてくれている青年だから、期待を裏切ったらいけない。だから僕は続けた。「僕なんか5年間、やる気なんか一度も起きなかったし、留年がかかっている試験で、目が覚めたら午後3時で、学校に行ったらみんな帰っていた」と半世紀前の僕の赤裸々な日常生活を教えてあげた。
お母さんは新たに何か処方を希望していたみたいだが、と言うのは結構僕がやる気ムンムンの処方を作ることを治験例で見ておられたみたいだが。僕の一番のお勧めは「コーヒー」だった。
眠気に関してコーヒーに勝るものはない。美味しいし安いし、健康にいいし、効果もてきめん。ペットボトルに入っているようなものを飲んでいるみたいだから、我が家で飲んでいるティーパックに湯を注いで作るコーヒーを一つプレゼントした。
僕に何かスペシャルな所があるとしたら、評価してくれている漢方の力ではなく、完全に文系の頭で薬科大学に行き、ほぼ授業に出ずに、過去問の鬼で、4年制大学を5年で卒業し、国家試験にも得意の短期決戦で合格し、多くの失敗を披露できる空間を職場としたことだろう。
「役に立つのは、失敗体験だけじゃん!」職種は違うが、同じ医療を仕事に選んだ青年へのはなむけの言葉も又失敗体験。