70歳代 男性
もう20年前に初めて胃の内視鏡を飲んだ時のしんどさがトラウマになって、何年間か間が空いた。ある大病院の消化器部長を辞めて開業したからという評判で行ったのだが、地獄だった。やってもらっている途中には決めていた。「2度と来るもんか」と。
数年後郵便検査で反応が出て、息子に相談すると、胃カメラを受けるべき、もし癌が見つかればラッキーなどと励まされ?当時違う大病院に出かけて息子にやってもらった。すると前の先生の比較だから、ずいぶんと負担が少なかった。
その後大腸検査も郵便検査で異常が見つかり、内視鏡検査をすることにしたが、息子がその時には中堅病院に移っていて、息子推薦のクリニックでその後毎年胃カメラ、隔年で大腸検査とお世話になっている。
息子が敢えて紹介してくれたクリニックだから、先生はとても上手で、のどを通る時のえづき以外は、苦痛はなかった。その先生が歳を重ねられたのか、去年から若い医師を雇われて、その先生にお世話になっているが、時代が進歩したのか、少し自信がないのか、鎮静剤を投与される。鼻からの内視鏡だから、そもそも負担は少ないかもしれないが、もう苦痛はほとんどなく、結果にだけ怯えているようなものだ。
毎年のことで慣れているはずなのに、ベッドに横たわったあたりから、鼓動が激しくなったのが分かった。情けないなと思いつつ呼吸法でおさめようとしたが、おさまったようには感じなかった。ところが、内視鏡が鼻をうまく通り抜けたことを確認すると同時に鎮静剤を投与されるやいなや、1秒?2秒?3秒くらいですっと胸の高鳴りが消えて、落ち着いた。どちらかと言うと少し眠くなるくらいで、横たわったまま思ったことは、こんなに鎮静剤って良く効くものか?錠剤で毎日飲んでいる人達はこんな効果を感じているのかと言うことだった。脳の中に薬品と言う名の化学物質を入れたくないと言う僕の信念は変わらないが、必需品と化した人たちにとっては有難い薬なのだろう。軽はずみなことは言えないなと思った。
先生が鎮静剤を3つと看護師さんに指示していたが、そしてそれがどのような単位か分からないが、こんなに気持ちいいなら3つどころか、10でも100でも打って、永遠に気持ちよくしてほしいと思った。