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 疲れやすい、病気にかかりやすい
現代(西洋)医学には虚弱体質、虚弱児という病名はないようです。しかし多くの方々が「この子は虚弱体質あるいは虚弱児で、かぜをよくひく、扁桃腺がはれて高熱を出しやすい、または疲れやすく胃腸が弱い」といった表現をされます。
 一方、医師の方でも、こういった虚弱体質、虚弱児という言葉を充分理解していますが、残念ながら西洋医学での治療法は確立されていません。それは西洋医学が発症した病気ひとつひとつを治すことに注力し、からだをひとつと考えてからだ全体を立て直す治療法がないためだと思います。

【虚弱体質の改善に用いる漢方薬】
 漢方では虚弱体質の原因をいわゆる五臓六腑のいずれかの機能低下とみなし、その弱った臓器のためにからだ全体の力が落ちていると考え、原因臓器を改善する漢方薬を処方します。

・小建中湯(しょうけんちゅうとう)
 胃腸虚弱タイプの子供によく使われます。一般に食欲がなく、腹痛、下痢や便秘があって疲れやすく、鼻血が出たり夜尿がある子に。
脱腸(ヘルニア)にもよく効きます。
湿疹が出やすい場合にはおうぎけんちゅうとう黄耆建中湯が合います。

・柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
 かぜをひきやすいなど呼吸器系が弱く、神経質で食欲はあまりありません。吐き気や便秘気味の子供によく用いられる処方です。かぜをひくと扁桃腺がはれやすく微熱が続いたり咳が続く傾向にあります。

・当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
 顔色が悪く、冷え性で立ちくらみやめまい目眩がよくある子に使われます。

・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
 アトピー性皮膚炎や鼻炎、喘息などのアレルギー体質を改善する作用があります。食欲はありますが偏食気味で落ち着きがない傾向にあります。

【虚弱体質の子供の改善例】
9歳の女の子。やせ型。
 鼻炎を起こして以後、喘息になり、夜中にゼイゼイと喘鳴が出やすい。気管支拡張剤を服用中。からだがだるく疲れやすい。
腹痛や嘔吐することもある。鼻水も出やすい。大便や小便は普通。少食。甘いものを好む。
 諸症状より胃腸の弱りが原因と考え、小建中湯をエキス剤で渡す。
10日分服用したところ夜中の喘鳴が軽くなり腹痛や鼻水も改善する。
 さらに20日分服用して、喘鳴も出なくなり、気管支拡張剤も止めることができ、食欲も出てきて疲れにくくなったと喜ばれた。

頭痛 頭痛と一口にいっても、痛み方や痛む部位は様々で、その原因となる病気の種類も多いため、診断は大変難しいものです。疲れや風邪から起こるものなど、あまり心配しなくてもよいものから、すぐ治療を受けなければならないものまで様々ですので、頭痛を繰り返したり、痛みが激しい場合にはまず病院で検査を受けましょう。
 特に平素から血圧が高かったり、動脈硬化があってしめつけられるような痛みがある方は要注意です。
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 頭痛において漢方が西洋医学よりも得意としている領域は、いわゆる頭痛もちとか慢性頭痛と呼ばれているもので、背後に大きな病気はないのに長期に渡って「頭が痛い」と訴えるようなケースです。
 頭痛の原因は漢方では風・寒・暑・湿などの生活環境によるもののほかに、日頃の悪い食生活の積み重ねや、ストレスなども含めて考えます。
 また頭の痛み方、痛むところ、痛む時間なども処方を決定する上で重要です。
 頭痛以外にも他の症状や体質も充分考慮して処方を選定していきます。

【頭痛に用いる代表的漢方薬】

・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
 発作的に激しい頭痛を起こし吐き気や嘔吐を伴うことがあります。食欲はあまりなく、冷え性で疲れやすい人に合います。のどはあまり渇きません。
      
・五苓散(ごれいさん)
 のどがよく渇き、水物を多く飲む割に小便の量が少なく、軟便や下痢気味の方に。

・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
 胃腸が弱くて体力がなく、めまいや吐き気がする低血圧や胃下垂の方に用います。

・釣藤散(ちょうとうさん)
 肩がこり、特に朝方、うなじにかけてつきあげるように頭痛がある方に用います。高血圧や動脈硬化など生活習慣病のある人に現れやすい傾向にあります。

・柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
 こめかみからうなじが痛み、みぞおちがつかえ、食欲もあまりありません。口が苦かったり、粘ったりし、便秘気味です。ストレス性の偏頭痛に汎用される処方です。

・加味逍遥散(かみしょうようさん)
 偏頭痛がし、首筋がこります。疲れやすく、不眠、イライラしやすいなどの神経症状を伴う女性によく効きます。更年期の頭痛にも用いられます。

【慢性頭痛の一症例】
40歳の女性会社員。
 偏頭痛が強く鎮痛剤もあまり効かないので漢方薬を試してみたいと相談に来られる。
 偏頭痛は10年以上も続き、ひどい時は嘔吐することもある。特に疲れると頭痛が起こるという。疲れやすく、時々立ちくらみがある。のどが渇き、便通は2~3日に1回と便秘気味。イライラしやすい。
 血行を改善して熱を冷ます作用のある加味逍遥散(かみしょうようさん)を10日分渡す。服用している間は頭痛は起こらず、便通もよくなる。さらに10日分服用して、頭痛もなく、疲れやすさや立ちくらみなどの諸症状も改善される。
さらに2ヶ月分服用して調子が良いので服薬を止められました。


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