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二階堂先生の「食べ物は薬」
ニワトコ - 新芽は山菜で味と舌触りが独特、別名を接骨木と呼ぶ
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- ニワトコ
- 学名:Sambucus racemose subsp. sieboldiana
- 科名:ガマズミ科 (旧 スイカズラ科)
- 和名:ニワトコ
- 英名:japanese red elder
- 別名:セッコツボク、ヤマタズ(山たず)、ハヤメノキ、タズノキ、キタズ、庭常、ダイノコンゴウ
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日本の本州から九州までと朝鮮半島、中国にわたる温帯~暖帯地域に分布する落葉低木です。発芽が早いのでハヤメノキの別名があり、早春に最も早く芽を出し、春の象徴のように萌えだします。日当たりの良い所を好み、比較的成長が早く、5、6メートルの大きなものもあります。
葉は対生して2~4対の細かい鋸歯がある小葉からなる奇数羽状複葉です。
新芽と共に新しい枝の先端に小さな淡黄白色をした花が円錐状に集まって咲きます。
花が終わると球形の果実(液果)ができ、美しく紅熟します。
茎や枝の中心に大きなやわらかい組織のズイが見られ、これを押し出して乾燥したものを「ビス」として用います。顕微鏡で薄い葉などをビスに挟んで一緒に切ると、きれいな切片ができます。葉だけではなくキノコなどの組織切片の作製にも重用されています。
早春の新芽を摘み採って浸し物、和え物、炒め物、天ぷらや汁の実にする山菜として、また味、舌ざわりなどがちょっと珍しいものとして知られています。
紅熟した果実は果実酒とし、滋養強壮、風邪や脚気などに効果があるとされています。
黒焼きにした枝にうどん粉と食酢を混ぜて練ったものを、患部に塗って骨折の時に用いたことから「接骨木(せっこつぼく)」の名が付けられたとされています。生薬として用いられる茎を接骨木、根を接骨木根、葉を接骨木葉、花を接骨木花とそれぞれ呼び、解熱、鎮痛、利尿、止血薬とされ、リウマチ、関節炎や痛風などに用いられます。
成分としてはトリテルペノイドのオレアノール酸やウルソール酸、タンニン、ステロール類が含有されています。
材は細工物の材料にされたり、小正月の飾り、アイヌで使われた御幣の材料に使われました。樹皮や木部を入浴剤にしたり、色々の風習が知られています。アイヌの二ポポを作るのに使われ悪魔を追い払う力があるとされたり、同属植物であるセイヨウニワトコSambucus niger の花(エルダーフラワー)にも悪魔除けの木として家の近くに植える風習が知られています。
緑葉は染色に用いられ、各種の媒染剤を用いて黄色や鶯色に染めることができます。