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私たちは血液というと無条件に赤い血液を想像しますが
じつは赤くない血もあります。
エビ・カニ等の節足動物、貝やイカ・タコ等の軟体動物などは
鉄ではなく銅を持っています。
銅は酸素と結びつくことで青色となります。ヘモシアニンと呼ばれています。
恒温動物はヘモグロビン(鉄)で「温血」。 変温動物はヘモシアニン(銅)「冷血」
とも言われます。

血液は血球成分と血漿成分からなり、血球成分は赤血球96%,白血球3%,血小板1%で
構成されています。血液が「赤い」のはこの赤血球が赤いためにです。
では赤血球がなぜ赤いかというと、赤血球には酸素を運搬するヘモグロビンという成分があり、このヘモグロビンが赤いからです。
このヘモグロビンはヘムと呼ばれる血色素とグロビンというタンパク質からできており、このヘムが赤いためにヘモグロビンは赤い色をしています。
ではなぜヘムが赤いかというと、ヘムはポルフィリン環という基本構造があり、
その真ん中に鉄イオンがキレート結合しており、この鉄イオンが赤い色をしているからなのです。日常的に私たちが目にするもので思い浮かぶのは赤さびです。
鉄は酸素と結合すると赤い色を発色することがよく知られています。

私たちのからだの中には血液が流れています。どうして血液が必要なのでしょうか。
血液は、私たちが生きていくために必要な酸素や栄養をからだ中に送り、
いらなくなった二酸化炭素や古くなった細胞を運び出しています。
このため、血液が出血多量で少なくなったり、心臓が止まって流れがなくなると、
私たちは生きていけなくなるのです。
絶妙なバランスの大気から私たちが呼吸により取りこんだ酸素。
酸素は血液と合流することで全身に届けられることになります。

酸素の有難さを改めて再認識しながらも実際に人間の呼吸は大気圧下の大気を呼吸するのに適した構造になっています。
具体的には窒素78%、酸素21%程度の比率で、これより高すぎても低すぎても
呼吸が阻害されます。
酸素分圧が1.4気圧を超えると急性または慢性の酸素中毒が起きると言われており、
酸素が30%以上含まれる空気や、通常空気でも1.4気圧以上のものを
長時間吸うと危険です。絶妙のバランスのうえに成立している我々人間の呼吸です。

人は呼吸をすることによって酸素を体内に取り込んで、二酸化炭素を吐き出します。
あらためて取り込まれた酸素の行方を追ってみましょう。
吸い込まれた酸素は気管を通って肺に行きます。 肺には6億個以上あるといわれている肺胞という小さな部屋があり、肺胞の薄い膜を通り抜けて肺胞表面の毛細血管を流れる血液中のヘモグロビンに受け渡されます。このヘモグロビンによって全身に酸素が届けられます。
そして体内の細胞は酸素を取り込んで、二酸化炭素を放出します。この二酸化炭素は静脈を流れる血液に溶けて肺胞表面の毛細血管に届けられ、肺胞の中に飛び出して吐く息の中に排出されます。
この一連の呼吸の過程において細胞はブドウ糖などの栄養物質と酸素を用いて二酸化炭素や水に分解しますが、その際の化学反応においてエネルギーが放出されます。
このように酸素を使って取り出されたエネルギーはATPという分子に蓄えられ、
ATPからADPという分子に分解されるときに再びエネルギーが放出されます。
このエネルギーが体温を上げたり、筋肉を動かしたり、分子を組み立てたりといった、
ありとあらゆる生命活動に 利用されるのです。そのため、酸素が不足するとこれらの
生命活動が維持できなくなってしまうので、人は呼吸ができないと死んでしまうことになるのです。


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