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昨日の続きです。

五臓の肝に限った話でもなく、東洋医学に限った話でもありませんが
養生の上で、メリハリというのは大変に重要です。
昨日のお話ではONとOFFの切換ですね。
これを上手にする方。ストレスの出し入れをうまくする方。
そのような方は総じて、病気になりにくいと言えます。
そしてメリハリというものには必ず、一定のリズムがあります。
個人のバイオリズムによるものもあれば
一年の四季や一日の朝晩によるものもあります。
後者が漢方における養生訓だと考えられます。

健康は『リズム』ですよ。
メリハリをつける。そのメリハリにはリズムをつける。

ONとOFFの切換を適切に行わない方や、
負荷・ストレスがかかり続けている方、逆に全くかかっていない方は
病気になりやすいといえます。
良くも悪くも打たれ弱い。健康におけるリズムが悪い。
負担がかかり続けると、疲弊して倒れしやすくなりますし、
負担がかからないと、鍛えられずにこれまた倒れやすくなる。
極端なダイエットが失敗に終わるのも、この辺りを反映しているんだなぁと思います。

春眠暁を覚えずと言いますが、
早寝に努めましょうというのが、古典の春の養生訓とされています。

春は五臓の肝の養生に努めよ。
養生というのは、単に負担をかけないとか休ませるとか、
そういうリスク軽減のみを目的としたものではありません。
働くべき時にしっかり働く状態にもっていく、
そのために活動の緩急、ONとOFFをうまく切り替えていく、
適度なストレスをかけるのが本当の意味での養生だと考えます。

たしかにストレスは健康に影響を与えます。
けれどそれにも良い影響と悪い影響がある。
悪い側面だけで話を進めてはいけません。
物事には常に表と裏、陰と陽があるのですから。

春に陽気を体内に取り込む、そのために積極的に外に出る。
あるいは酸味を適度に取る。
これは自分の中にあるスイッチをONにするようなものです。

一方で、夜は早めに床につく。そして陰を養う。
(ここでの陰は血のことです。漢方は肝は血を養うといいますから。)
あるいは甘味を適度に取る。
これは自分の中にあるスイッチをOFFにするようなものですね。
けれども効果的に、あるいは上手にONにするには、
前段階としてOFFになっていなくてはいけない。

仕事をする上でもいいますよね、休むのも仕事って。
ONとOFFをうまく使い分けていくことで、
自分のポテンシャルが引き上げられていきます。
健康も同様ですよ。

咳の症状にも色々あります。
大別すると空咳のコンコンした咳か湿性のゴホゴホした咳に分けられると思います。

漢方では空咳は、
風邪が慢性化→胃が水分不足
→熱が発生→その影響で肺が乾燥しておこるものと考えます。
麦門冬湯は代表的なお薬ですが、
その中の人参、大棗、甘草、粳米(玄米)は胃の気を補い胃の水分不足を解消します。

それに対して、湿性の咳は胃や体中の水分が過剰に偏在する、
いわゆる水毒の状態にあります。
胃の水分が過剰に存在する状態には
二陳湯というお薬をベースにした竹茹温胆湯というお薬がよく使われます。

いずれにせよ、咳の治療には胃の状態を立て直すのが
漢方治療の基本と言ってもいいでしょう。咳でお困りの際にはぜひご相談下さい。

今日の一言でもたびたび登場する肝。

漢方、特に中国医学でいう肝というのは、
肝臓の働きに加えて自律神経や新陳代謝の機能を担っている部位を指します。
全身の気の流れをコントロールして精神を安定させたり、
胃腸の働きを助けたり、血流を調節したりする働きもあります。
西洋医学的には、自律神経の働きに当たります。

『春は肝の季節』、『春は肝の養生に努める』とよく言いますが、
これには諸説あると考えられます。

 ・春には、草木の芽が出て伸びやかに、自由に成長を始めます。
 そのような現象と同じ印象を持つことができる人体の臓器といえば
 新陳代謝が盛んな肝とされています。
  
 ・春は環境の変化などで精神的なストレス、
 憂鬱感などが生じやすい季節でもあります。
 これらの影響を強く受けることで、肝が過緊張したり、
 働きが阻害されたりもします。

このような観点から、春は肝の働きが盛んになり、
同時に影響を受けやすい季節とされ、肝による気血の巡りに注目します。
これは言い方を変えれば、
肝の働きが盛んになるという自然の潮流から外れないために、
肝を養う気血の養生に努める必要があります。
肝は体内の気血の巡りを整えますが、同時にその巡りが五臓の肝を養うわけです。

そのために春には、肝を養うとされる陽気を体内に意識的に取り入れ、
肝血を養うために、夜は早めの就寝に努めようと言うわけです。

先週末は比較的温かく、快適でしたのに週明けからは寒さが厳しいですね。
特に夜の床冷えに注意です。
就寝前には温かいものをとってから床に入ると、快適に眠れますよ。

春の到来はまだしばらくかかりそうですね。
花粉症を抱えている方にとっては、
身体が冷えに晒される時期の花粉症は、
増悪する傾向にありますから、注意が必要です。
くれぐれも身体を冷やさないように。
新陳代謝を上げて、気血水の巡りを整えて参りましょう。

さて、漢方の古書『黄帝内経』には季節ごと、
春の3ヶ月の養生法が記されています。

  春の3ヶ月は、万物が古いものを押し開いて、新しいものを出す季節。
  天地間の生気が発動して、ものみなすべてが活き活きと栄えてくる。
  少し遅く寝て、少し早く起き、庭などをゆっくり散歩すると良い。
  髪はときほぐし、からだは伸びやかにして、
  心持ちを活き活きと生気で充満させて、
  生まれたばかりの万物と同様にするのが良い。(以下続く)

漢方では暖かい季節に入ると、平素よりも早く起きるのを良しとします。
低血圧の方にはいささかこたえるかもしれませんが・・・。
ちなみに漢方では、春の養生法は
春を健康的に過ごすためのものと同時に、
夏を元気に過ごすためのものとされています。
春を健康的に過ごす基本は、五臓の一つ『肝』の養生です。

ここから先は長くなるので、きょうはここまでに。


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