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薬用人参の薬能に「心下痞硬して悸する者を治す」というのがあります。
心下痞硬は、みぞおちが痞えて硬くなった状態、
悸するは、動悸がする状態をそれぞれ表します。

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かの有名な江戸時代の医学者、吉益東洞(よします とうどう)も、
その著書の中で、薬用人参の目標は
心窩痞堅あるいは心窩痞鞭、支結を主治す。
かたわら不食、嘔吐、喜垂心痛、腹痛、煩悸を治す。

と述べています。

心下痞硬は、消化器の不調に伴い現れる自覚症状ですが、
一方で身体におこる痞えはストレスやそれに応じた筋肉のこわばりに由来します。
心患いのときには胸(が張って)いっぱいになりますが、
心下痞硬のときは胸でなくて、みぞおちが張っていっぱいの状態になります。
ですから心下痞硬というのは、消化器機能の不調というだけでなく、
ストレスによる消化器障害という側面も持ち合わせています。

この心下痞硬を目標に用いる方剤に瀉心湯類がありますが、
最近はストレスに伴い急増する急性・慢性胃炎や
胃酸過多、胃潰瘍などに用いられています。
この瀉心湯類には、上腹部の痞え・痛みを治す目的で薬用人参が含まれます。

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消化器機能を整えるだけでなく、さまざなま気症
(今でいうところのストレス障害)を治す働きも持つとされる薬用人参。
最近の研究では、このストレスに対する薬能が注目されています。

身体に良いというイメージが強い薬用人参ですが、この生薬は用いる人を選びます
誰にでも同じように作用するわけではありません。
中には良い効果が得られないばかりか、悪影響を及ぼすこともあります。

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薬用人参自体は、虚証タイプの生薬です。
簡単に言えば、万事が弱々しいタイプ。
特に脾虚と呼ばれる、消化器機能の低下に対して用いられるのが特徴です。
漢方では消化器やその機能はもっとも大切なもの、
さまざまな機能の中心に位置すると考え、「中」と喩えます。
薬用人参を用いた漢方処方、補中益気湯や小健中湯なども
中を立て直す=消化器機能を改善するというところに由来しています。

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人の身体には代謝系や循環器系、自律神経系などさまざまな機能がありますが、
それらが十分に機能するには、消化器機能の働きが不可欠です。
「腹が減っては戦はできぬ」と言いますが、
戦をしているとき(身体が活動しているとき)、身体に備わった機能はフル回転しており、
それを影で支えているのは、お腹=お中という訳です。

薬用人参は滋養強壮薬としての面がある一方で、
漢方薬に含まれる生薬としての面もあります。

薬用人参は元気を補う薬物(補気薬)として、
補中益気湯や帰脾湯、六君子湯を始めとした漢方薬に含まれています。
これらの漢方薬は共通して、
人体の元気・栄養不足を補う働きがあります。

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中国最古の薬物書「神農本草経」の中で薬用人参は
上薬と呼ばれるカテゴリーに含まれます。
上薬は総じて副作用が少なく、寿命を延ばす働きがあり、
また漢方薬全体の作用を整える働きを有しています。
つまり、上薬としての働きがある薬用人参は、
他の生薬と組み合わせやすく、
だからこそさまざまな漢方処方に用いられるという訳です。

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ただ漢方薬の効能は、個々の生薬の働きも然ることながら、
生薬の組み合わせによるところが大きいです。
そして漢方薬はそもそも煎じ薬ですから、生薬は全て刻んだ状態で用いられます。
薬用人参では若齢の4年根や5年根が、刻み生薬として漢方方剤へ当てられます。
逆に適齢の6年根はその稀少さから、刻み生薬としては用いられず、
一本根としてそのまま流通します。6年根はそれだけ稀少ということです。

適材適所。同じ薬用人参ですが、用途によってその根齢(?)が異なります。
それは薬膳から薬酒、漢方薬まで、
さまざまな形で活用される薬用人参ならではの話です。

実験室で化学的に合成された化合物は単一の成分からなります。
ですが、自然下で生育される薬用人参の中では、
長い時間をかけて、さまざま有効成分が生成されていきます。
その有効成分を人工的に作り出す方法は、現在のところ確立していません。
植物体そのものを増やす栽培に頼らざるをえない訳です。

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また、薬用人参に代表される天然生薬の妙は、
複数の有効成分が一定の割合で含まれている点にあります。
有効成分のどれか一つが欠けても、
生薬としての有用性は失われてしまいます。
そして、それをそのまま人工的に作り上げるにはかなりの無理があります。
まさしく自然の妙です。ですから自然に委ねるしかありません。
数多くの有効成分を含む薬用人参ならば、なおさらの事しょう。

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ちなみに薬用人参は、6年の歳月を費やして有効成分を生成・貯留していきます。
この6年間を早めることもできません。じっと待つしかありません。
そうまでして用いるのは、それが代わりのきかないもの、
薬用人参が唯一無二の存在だからです。
遥か昔から珍重されてきた薬用人参が、
今日でも変わることなく用いられることには、そういう経緯もあるんですよ。

薬用人参が日本で本格的に栽培され、薬として重用されるようになってから300年余り。
今では、医薬品から健康食品、果ては化粧品にいたるまで、
さまざまなものに配合され、利用されています。
そんな薬用人参ですが、数ある滋強壮剤の中でも、実はかなりユニークな存在です。

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あまり知られていませんが、
薬用人参は服用する時間帯によって、異なる働きを示します。
例えば、朝の時間帯に服用すると 身体に活力が沸きます
けれども、夜の時間帯に服用すると 身体が休息しやすくなります
何とも不思議な働きでしょう?

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私たちの身体には、元から リズム(周期) が備わっています。
例えば女性の生理は月のものと呼ばれ、文字通り月周期で訪れる現象です。
同様にして日周期があり、それは活動・休息の周期です。

人の身体は、日中は行動するように、夜半は休息するようにできており、
その周期にあわせて生活するのが、もっとも負担が少ない方法とされています。

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そして薬用人参の効能は、この 人の身体に備わる周期を整える ところにあります。
人の身体に元から備わったリズムを、本来の形に整えてくれるわけです。
日周期が整えば、日中は行動しやすくなり、夜半は休息しやすくなる。
疲れや不眠に悩まされることが、ずっと少なくなります。
そして月周期が整えば、生理が整っていき、
あるいは年周期が整えば、不老長寿が整っていくという・・・。

そのように人の健康に即したものだから、
その名前にも「人」という字が使われているのかもしれませんね。


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