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インフルエンザやマイコプラズマ肺炎の記事を新聞で見かけるようになりました。
中医学では同じ症状・病名であっても異なった治療法を行うことがあります。 体質によって食、生活面での養生を見直し漢方の内容につなげます。逆に異なる病気や症状に対して同じ方法を採ることがあります。
表に出ている症状に対して、体質が異なれば治療として採る方法は異なり、症状が異なっても体質が似ていれば基本となる方法も似たものになります。これは西洋医学との考え方の違いだと思います。
なぜかというと、症状があらわれる原因は体質の不調にあると考えるからです。体質が改善されなければ、いくら表面の症状を治療しても再び同じ症状が現れます。場合によっては以前よりも悪化して出てくることもあります。
なぜ不調になったのか、内因と外因から原因を探り、身体の中でどのような反応が起きて症状が表に出てきたのかを考えます。
古典医書の病理の項目に「それ邪(病気)の生ずるや、あるいは陰に生じ、あるいは陽に生ず。それ陽に生ずるものは、これを風雨寒暑に得、それ陰に生ずるものは、これを飲食居処、陰陽喜怒に得」とあり、身体の外側が風寒暑湿の侵入を許してしまい発病するもの、飲食・環境・感情が原因で内側から発病するものが書かれています。
病気に対する抵抗力がしっかりしていれば(正気が旺盛であれば)、邪気の襲来があっても邪正相争の結果、発病は回避され、それは邪と戦った後の回復力にも比例します。
したがって、様々な症状は正気が虚弱になり抵抗力が低下したときに現れるといえます。
他にも「邪の奏でるところ、その気必ず虚す」「正気内に存すれば、邪干(おか)すべからず」と論述されています。
体質の基本である気・血・津液、そして陰陽のバランスを日々の養生で整えましょう。
秋は燥邪を感受しやすい時期。「気」や外邪が入り込む口・鼻・咽・皮膚は肺との関わりが深いのでこの時期に肺の養生をするのはとても大切です。
肺は「喜潤悪燥」と表現され、潤いを好み乾燥を嫌うという特徴があります。
肺を潤す食材にはごぼう・レンコン・銀杏・ユリ根・松の実・きくらげ・山芋・梨などの旬のものです。 五行で表される肺に関係する色は白。 肺を潤す食材達が白っぽい色をしているのも面白いなと感じます。
肺気を養うのに適した時間帯があります。 肺経が旺盛な時間帯である寅の刻(3時~5時)です。 この時間帯に清浄で新鮮な空気の中で呼吸すると肺気が養われます。 少し早起きをして窓を開けて深呼吸すると、とても気持ちよく一日が過ごせます。薄っすらと汗が出る程度の軽い運動もおすすめです。
続く卯の刻(5時~7時)は大腸経が旺盛な時間帯です。 肺と大腸は表裏関係にあります。肺経から大腸経に流れ込んだ気が大腸を活発にさせます。この時間帯にしっかりと排便をすると身体の排毒になり肺や皮膚を清浄に保てます。
辰の刻(7時~9時)は胃経が旺盛な時間帯です。 胃経に気血が集中するため食物の消化が盛んになります。この時間帯に朝食をとると栄養を充分に吸収できます。巳の刻(9時~11時)は脾経が旺盛な時間帯です。 脾は消化・吸収・排泄を調整し気血を生み出す源です。清気を上げ濁気を下げ全身に気血を巡らせます。新陳代謝が増す時間帯と考えられます。
このように、鶏鳴時からお昼を迎えるまでの陽の時間帯に清浄な空気をたっぷり吸いこみましょう。 そして、お通じがあり、その後に朝食をとり、1日の活動に入るのが理想です。食養生では冷飲食や多飲を避け、満腹になるまで食べないことが大切です。
体質は長い生活習慣でつくり上げるもの。なにか不調を生じたときに薬に頼るだけでは効果を確実にはできません。
漢方では養生がなによりも大切であると考えています。

朝晩は寒くなってきました。空気も乾燥してきて、肌のトラブルを訴える患者さんも増えてきたように感じます。私自身、手指がかさつき初めて毎日ハンドクリームを使うようになりました。肌で季節を実感する今日この頃です。
東洋医学では人間も自然の一部と考えます。人間の身体は自然界の影響を強く受けていて、自然とのバランスを保つことで健康を維持できると考えます。季節の移り変わりがはっきりしている日本では、四季それぞれに身体に受ける影響を考え、季節に応じた対応をすることが大切です。

高温多湿の夏が終わり、涼しくなると同時に急に空気が乾燥する秋は「燥」の季節にあたり、秋特有の邪気「燥邪(乾燥)」の影響を受けやすくなります。鼻、口、喉や皮膚など、外気に触れるところが乾燥して、トラブルを起こしやすくなるのです。
特に、呼吸をつかさどっている「肺」は乾燥に弱く、潤いを好む臓器です。東洋医学では「肺は皮毛をつかさどる」と言い、呼吸器に皮膚を含めてとらえています。健康な人の肺は、「水」と「血」によって潤されていることで、呼吸と防御の役割を果たしています。秋から冬の外気の乾燥によって肺の水血が不足してくると、から咳、咽喉の乾燥、声がすれといった呼吸器のトラブルだけでなく、そのダメージが皮膚にも影響し、肌がかさついたり、かゆみや赤みなどのトラブルを起こしやすくなるのです。
特にアトピー性皮膚炎の人や高齢の人は乾燥の影響を受けやすく、かゆみから掻きむしったりしがちで、皮膚症状も悪化しやすいので要注意です。かゆいから掻いてしまうのですが、掻くとその刺激により更に痒みを増すといった悪循環を招きます。ですので、いかに搔かないようにするかが治療の一つのポイントでもあると言えます。
保湿クリームを塗ることは皮膚を保護する働きのある皮脂や水分を補い、乾燥から皮膚を守るために有効ですが、表面を潤すだけでなく、体内の潤いを十分に保つことが大切です。
食の養生は、燥邪を取り除いて身体に潤い(水分や栄養分)を与えることがポイントです。肺を潤すものや「血」を補うものをしっかりとりましょう。秋は肺をうるおす旬の味覚がたくさんあります。とくに、果物では梨、野菜ではれんこん、さつまいも、やまいも、ゆり根、きくらげなどがおすすめです。血を補う食材としては、にんじん、黒ごま、たこ、いか、ひじき、プルーンなどが挙げられます。反対に辛いもの、油っこいもの、甘いもの、アルコールなどの摂り過ぎは乾燥を促進し、皮膚の症状を悪化させてしまうので注意して下さい。

以下の日常生活での養生も参考にして肌を乾燥から守り、来たる冬に備えましょう。

◇加湿器やマスクなどを使って乾燥から身を守る
◇ゆったりとした深呼吸で肺を鍛える
◇早寝早起きをして、安定した生活を送る
◇暑すぎるお風呂や長時間の入浴は避ける
◇石鹸やシャンプーなどは洗浄力がマイルドで低刺激性のものを使う
◇自分の肌質に合ったスキンケア製品を使う

命門堂では個々のご体質に応じた漢方調剤の他、自然の生薬配合のスキンケア製品(保湿クリームや入浴液など)も取り揃えています。どうぞお気軽にご相談下さい。

喜怒哀楽などの感情活動と内臓は連動しているというのが漢方の考え方です。悩みが深いために食欲がなくなってしまったり、体調を崩してイライラ怒りっぽくなってしまったり、と思い当ることもあるのではないでしょうか。漢方では、感情活動は五臓と関連づけ、あれこれ考える思惟活動は脳と関連づけて考えます。
同じことを考えるにしても、ひどく怒っているときと、気持ちが穏やかなときとでは、判断や決断にその時の感情が影響してしまい、後で「何故あんなことを・・・。」と後悔してしまうことも。感情と思惟が切り離せないことは多くの方が経験しているのではないでしょうか。漢方では、人体の病因の一つに内因があり、喜、怒、憂、思、悲、恐、驚、という七つの感情を指し七情と呼んでいます。 そして感情の種類によって、傷害される臓腑にちがいがあると考えます。怒は肝(自律神経系)を傷つけ、憂と悲は肺を、恐は腎(生命力)を、驚と喜は心を、思は脾(消化器系)を傷めるとされています。七情はごく自然な感情で、それがそのまま病気の原因となるわけではありません。 これらの感情は日常さまざまなきっかけで起こる生理現象ですが、これらの刺激が長期に続いたり、その程度が強すぎた場合などに、生体側の自己修復能力の限界を超えてしまい、臓腑の機能に異常をきたすと考えます。からだの中には、気・血・津液の流れがあります。それらのながれは秩序正しくあるのが理想です。 しかし、感情の動きには“気”の流れを乱す性質があります。それが感情の動き、七情です
① 「喜ぶ」と気はゆるみます。 喜びは表情を和らげ、自然な気の流れをもたらします。 しかし、喜びすぎると「心」を傷つけます。
「心」は神志を司る臓です。つまり精神意識活動の中枢です。このため、「心」が傷つけば精神活動は動揺し、情緒不安定を招いてしまいます。

② 「怒る」と気は上昇します。 怒りは「肝」を傷つけます。 怒りすぎるとイライラして怒りやすくなり、逆に「肝」の状態が悪いとイライラ怒りっぽくなるともいわれています。

③ 「憂う」「思う」と気が結びます。 気が結ぶとは停滞するという意味です。
憂いすぎると「肺」を傷つけます。「肺」は「肺者、五臓六腑之蓋也」といわれ、体の上位から他の臓器を蓋するように覆い保護しているので、「肺」が傷つけば他の臓器を保護する力が衰え、臓器全体が機能を十分に発揮できなくなってしまいます。そのため、憂いすぎると、いつも悶々として楽しくなく不愉快になりやすくなります。
思いすぎると「脾」を傷つけます。いつも胃や肺のあたりに食べたものが滞っている感じがします。

④ 「悲しむ」と気が消えます。 気が消えるとは消失ではなく、流れが悪くなり、身体の隅々まで気が行き届かなくなるということを言っています。悲しみがすぎると「肺」が傷つき、意気消沈し、ため息が多くなります。他に、燥気を受けやすくなります。

⑤ 「恐れる」と気が下がります。 怖がりすぎると「腎」を傷つけます。下半身の陽気が不足し、恐怖のために「腰を抜かす」の状態がおこります。他に、「腎」は大小の2便を司るので極度の恐怖は大小便の失禁を招くことがあります。

⑥ 「驚く」と気が乱れます。 驚きすぎは気の流れを乱します。体の中が混乱状態になり、臓腑の君主である「心」が落ち着かなくなり、動悸、不眠、集中力の低下を起こしたりします。

漢方では、脳は髄によって形成されると考えます。髄は精という生命エキスを原料に作られる精微な物質であり、腎で生成されます。
精神活動が安定することで五臓もまた順調に活動します。そうあれば腎精が充実し、髄も塡ちます。 その結果、からだと脳のアンチエイジングにつながるのです。
ところで、秋の主気は燥です。秋になると、晴天が続き、雨が少なく、天気が粛斂し空気は乾燥してきます。秋を迎えるこれからの時期は外因である燥邪を感受しやすくなります。燥邪が人を損傷するときは口鼻から入ることが多いので先ず肺が犯されます。そのため、口鼻の乾燥・咳・呼吸器のトラブルなどが現れやすくなります。また、燥邪は津液を損傷しやすいので皮膚や唇、咽、目、鼻が乾燥し、便秘などもみられます。日照時間も減り 何となく もの悲しく感じる秋ですが、「悲」がすぎて燥邪を感受しないようご注意を。

脳梗塞後の頭痛 の命門堂 漢方薬局の考え方

《主訴》脳梗塞後の頭痛と頸椎ヘルニヤあり  糖尿病(軽度)  頭痛は天気などに連動して血管痛
上半身同じ姿勢を続けていると肩上部・上肢の重だるい束縛感で腕を取り外した いぐらいになる

◆一昨年脳梗塞で二度発症も軽度にすんでいる
【腹】左胸脇苦満  左胸肋下が腫れている 左右少腹硬満中脘痺塞
【舌】暗紅舌膩苔 舌下静脈強度鬱血 暗色血包多数
【脈】右弦硬渋長  左弦渋 左右とも寸盛尺虚


命門堂 漢方薬局 の 脳梗塞後の頭痛の考え方
→寸盛尺虚で上実下虚に弦長(大)で厥陰相火有余 で相火上炎しやすく、渋硬で気滞瘀血強く弦硬大で絡脈拘急を生じやすく、脳充血で渋硬で経脈の柔軟性がなく、相火有余で激情すると再度脳梗塞を起こす状況で、本人にその旨を話し「心穏やかにすること」をお話ししたところ、過去二回の脳梗塞も激情に触れた後だっただけに納得される。

頸椎ヘルニヤもそれに類するものと思われる。後頸部が褐色鬱血点が多数あり、厥陰相火有余がここに留滞して脳への昇降を悪くして、また相火有余による軟骨周囲の筋膜緊張から、形状維持に負荷させている。まずは絡脈絀急した状況に熄風通絡と養陰通絡を兼ね合わせ、頸部の鬱血を取り、上肢への血流還流を良くするを考える

臨床1題 不眠症と鬱病の命門堂漢方薬局の考え方 
《主訴》◆不眠症(眠剤(アモバン)を服用しても3時間しか眠れず、
       レンドルミンを服用するこ とあり
      ◆歩行時の下肢のしびれ(足痿) 夕方になると鉛をつけ
      ているように下肢が重く力が入らず
《既往病》糖尿病 高脂血症 副腎腫瘍(良性)
《愁訴》口渇があるも水分はあまりとらず口の粘り便が細くすっ
     きりでず、時に腹満 心煩上気下肢は冷える寝汗(頭・肩)に
     びっしょりと汗をかく頭からもやもやして頭暈することあり
一人暮らしで夜になると孤独と不安感に襲われる
◎●●病院  ノスカール キネダック メバロチン ガストローム ザンタック
◎●●クリニック  コンスタン レボトミン
それぞれ服用して血糖値は新薬でコントロールされている

【望面】上気のぼせ眼光不安で話し手に目をむけず胆虚的でオドオドした感
【舌】紫>絳舌やや黄乾苔満布で不厚
【腹】心下満  
【脈】右沈短(動)数  左沈短(渋)細数
左短数で心煩心痛 渋細数で心損虚火 右短数渋で痰気食積で腹満あり 短動で驚悸・拘攣を生じやすい
◆短脈について
【脈決彙弁】「短脈渋小、首尾倶府、中間突起、不能満部」「短之為象、両頭沈下、而中間独浮也」
「短主不及、為気虚証、短在左関、肝気有傷、?短在右関、膈間為缺」
短脉は短無力は気虚で 短で有力は気壅で気壅は宿食が消えずで多くは痰飲、食積阻滞して脈道の伸びが悪くなる。患者は糖尿病、高脂血症を伴い黄乾苔があり、痰食は化燥して脾絡が枯燥してさらには相克の肝木が養えず胆気不足となっているようである。
胆気不足は不安感・不眠が主ですが、疲れやすい・口乾・口苦・眩暈・動悸・胃のもたれ、腹脹などあり、また「胆は決断を下す」で筋肉の支持する上で重要で、、胆虚から俗に言う肝(胆)を冷やすことにより「腰が抜ける」「足腰に力が入らず」と言うことになる。
腹症では特記事項はなく、糖尿病の既往病はありますが、さほど強度の腎虚腰痛ではなく補腎を中心ほどの人ではないようだ。
脈数で胆虚不足兼虚火 (胆経原穴の丘墟圧痛)から足痿で上気心悸して下肢の筋膜への血の還流が悪く、所謂頭寒足熱ができず、不安・不眠・足痿厥冷と連関していると思われます。
弁証 胆気不足兼虚火 脾腎虚による足痿

臨床2題 不眠と鬱証の命門堂漢方薬局の考え方
<主訴>13歳から不眠で導眠剤を服用。現在まで服用が続いている昨年2月頃より 鬱状態がひどくなる。身体がだるくてしんどい。生理が遅れることあり。朝が起きれず学校は休みがちになる。肩凝りから頭痛でイブ鎮痛剤を服用。 帯下が多い上気のぼせ
アモキサン ノリトテン リーゼ デパス セジール
<舌>胖 舌先赤(心火) 淡紫あり
<腹>胸脇苦満 心下痞硬 水飲あり 臍周囲の気結 少腹抵抗あり
<脈>右沈軟 左沈細
舌先赤で心火が降りれない状況で鬱熱があるも脈沈で神経薬の飲みすぎで心腎交通の開達ができず、脈沈で閉証てきになりこれは薬による脈に変化していると思われます。生理が遅れているのも心腎不交で、さらに胸脇苦満で心下痞硬があり、肝鬱気滞による隔膜での升降不利があり、 沈軟で虚で脾虚水飲 左関沈細は肝鬱気痛も考えます。

命門堂漢方薬局の不眠鬱証の考え
「思いすぎれば脾を病む」気鬱が気結をつくり、臍中心の脾気が気結を生じること上下内外の気機疏通の不利が久しいところから、心神の不寧、肝血不足からの生理閉経など、広がってきていると考えます。治療の出発はど真ん中の脾胃から立て直すことから始める。本人に神経薬の離脱努力と目標を作りながら、二人三脚で一年以上はかかったが、現在すべての神経薬は廃薬するにいたる。生理は毎月あるようになり、勉強意欲が出てきいる。このケースは何よりも本人の神経薬の服用に対する意識変化がキーワードで、本人が安易に神経薬を飲んでいたと語ることができることになったことである。本人の努力なしでは漢方オンリーでは難しい ことを痛感した。


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