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76歳 男  〔インスリン療法導入前〕
<主訴>15年前より糖尿病を発症。
現在インシュリンを勧められる状況になり、紹介者を通じて来局。 
    5年前 狭心症でステント手術
    3年前 同様手術 頚部動脈の狭窄があり 
<愁訴>
腹満あり 夜間尿が多い 高血圧 明け方に目が覚めやすい 疲れやすい
<現在服用薬>
糖尿  クレステロール ベイスンOD0.3 スターシス 
泌尿器科 フリバス ベシケア
循環器科 アーチスト ワーフアリン バイアスピリン サンノリズ 
カルブロック
今年の7月21日の検査 
GPT  61 ↑ クレアチニン1.28↑ A1C7.6  血糖値空腹時166
トロンボテスト22.7(70~130)プロトロンビンテスト38.1(80~125)

<舌>淡紫で一分瘀斑 裂紋で面粗 舌裏黯紅 血包多数 
<腹>左大巨 天枢 伏熱
<脈>左右 浮渋弦大 ゆったり  按 渋短 深呼吸直後 不整

脈浮渋弦大、ゆったり、按じると渋短の脈をどうとらえるか<傷寒論・太陽病脈証并治>「太陽病、脈浮、誤下而変者為結胸」
   汗と血は同源、心の液は汗で、発汗で皮毛から濁液を出すべきところ、
   誤って下して 濁液が心の膜に沈滞して結胸を起すと同時に脈が
   遅脈に転じることから、 濁瘀が心竅に溜まりやすい状況を示唆。
<傷寒論・同上178条>
「脈按之来緩、時一止復来者、名曰。~脈来動而中止、不能自還、因而復動者、名曰代、陰也、得此脈者必難治。」
患者の深呼吸後の脈が不整の脈が短時間生じるは横隔膜の動きによって起こるは、傷寒論の「客気動膈」に準じるものであると思われる。
<金匱要略・血痺虚労脈3条>
  「夫男子平人脈大為勞、極虚亦為勞」
糖尿による精血が奪われ、内守できないため気が外張しやすい(患者の夜間尿や、明け方に目が覚めやすいのがその証左)

過去の狭心症のステント施術を実施していることからも、血管内腔に硬化巣の突出による “狭窄”部位があるようにステント後も渋弦でやや遅は癥瘕や勞傷による状況である。糖尿病の腎臓肥大や腎小球、小管間質、血管、腎小体基底膜の沈着(汚濁)による細絡抵抗が強くなってきていると認識される。
肝腎陰虚の血瘀重度の糖尿で血栓ができやすい状況にあり。
浮弦渋大で 絡塞抵抗が強くなって 按で渋短で窮屈な窒息的な脈で
肝腎を補足しながら、化瘀通絡するを考える。
 
漢方薬 煎薬と 錠剤服用
3ヵ月後
ヘモグロビンA1Cは 7.8→6.5→6.1 まで下がる
クレアチニンは1.28 →1.02で 正常になる
GPT61→40 で正常
空腹時血糖 180→130 でインシュリン併用のリスク回避にいたる。


命門堂漢方薬局のホームページ http://www.meimondo.co.jp/リンク

女性 37歳
<主訴>RA関節炎 関節の痛みが固定せず移動する。リウマトレックスのみ服用中。
夜になるほど倦怠身重が強くなる。
関節熱感で運動制限と痛み。便秘。朝方の胃重。
MMP-3 76.2 (17.3 ~59.7 ) 08.7.25    IgG抗体451.0(6.0未満)

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<舌>舌前一部剥離で赤みで膨張
    乳頭充血 舌中微膩
<腹>中脘中心に血積動悸が強い
     臍左右腎経堅く圧痛
<脈>右弦細搏数 左寸微浮 関沈 尺沈も滑数で力あり。


弁証
左寸浮で心陽上昇で煩燥 左関沈で肝鬱気痛
左尺沈滑数で有力
滑脉は主熱 <素問。脈要精微論>「滑脈は陽気有余なり」
多くは邪熱内蘊、滑数は気実血涌。張志聡は「邪入于陰、則経血沸騰、故脈滑。」
以上から左尺滑数は腎経陰分への邪火内蘊するが、左関沈で陽気鬱伏して絡脈開闔不利から気厥風動を生じやすい。(身熱はあるものの、関節に悪風を感じる。
右弦細搏で弦細で経脈拘急、弦数で熱

治法 化痰熄風 養陰清熱兼通絡

2週間後
毎日便が出るようになり、体調が良く夜間のしんどさがなくなり、身体が温まる。下肢の関節の痛みが消失。上肢はまだ残るが、腕関節の外旋痛は和らいでいる。
<舌>舌先剥離面虚赤が消失回復
<脈>右弦搏数が消えて 細でゆっくり
左寸浮が↓ 尺は軟でゆっくりで邪搏が緩むと同時に痛みが減じる。陰分の熱搏が緩み苔剥離面回復。
脈軟ゆったり(渋)で骨膜痰瘀膠固渋滞を意識して以後破逐するの対応。さらに養陰を六味丸で補充して通隙薬の陰傷を守る。


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