甲状腺機能異常と漢方薬
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある器官で、全身の新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを分泌します。
●バセドー病(甲状腺機能亢進症)
甲状腺ホルモンが多量に分泌され、新陳代謝が高まる甲状腺機能亢進症の代表的な疾患がバセドー病です。女性は、男性の4倍かかりやすく、女性の百人に1人が発症します。全身の代謝機能が亢進するので、食欲が出てよく食べるのに体重が減り、暑がり、激しい発汗、動悸、だるさ、目の突出などが現れます。高齢者では、体重の減量だけがみられます。
●橋本病(甲状腺機能低下症)
甲状腺ホルモンの分泌が低下して、活動性が低下する病気です。男女比1対10で圧倒的に女性がかかりやすく、甲状腺機能低下症の代表的な疾患が橋本病です。甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまい、その結果として新陳代謝が落ちるので、皮膚のかさつき・体重の増加・むくみ、寒がり・だるさ・記憶力低下・集中力のなさ・うつ症状・抜け毛、などの症状が現れます。
※甲状腺の腫れを伴うことが多く、最近では特徴的な症状を現さない甲状腺機能異常症も少なくありません。
西洋医学では、甲状腺ホルモンの量を調整します。(低下には補い、亢進には合成を抑えます)
バセドウ病も橋本病も、漢方での症状、体質改善の効果が期待されます。西洋薬との併用することも多い疾患です。
《漢方薬》
■バセドー病
動悸,息切れ、不整脈などに、灸甘草湯(しゃかんぞうとう)、
不眠、イライラ、など神経症状の強い方に、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
■橋本病
体力・気力が低下、食欲不振などに補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、
全身倦怠、疲れやすく、貧血気味の方に十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などの補剤がよく使われます。
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更新日: 2017/10/23 |