前回のテーマは、病気の始まり、「気虚」についてでした。
簡単に言うと、食べ物より蓄えたエネルギーを使って体に必要な物質を作る働きを
「代謝」と言いますが、気虚とはこの代謝効率の低下、すなわち「基礎代謝、
消化、運動」が不十分であることです。
今回は、病気が進行していくとどうなるかについて見ていきます。漢方用語では、
「上衝」と言います。気虚が進行することにより、熱産生が減ると、いわゆる血液の
巡りが悪くなります。現代病とも言えると思うのですが、例えばデスクワークのように
体を動かす機会が少なく、頭ばかり動かしているような生活習慣があると、
脳内温度が上昇したまま、血液は冷却液の働きも担っているのですが、下方に
巡らないために、頭に血が上った状態が持続する場合があります。これを「上衝」
といい、のぼせ、頭痛、めまいの他、脳はホルモン分泌や自律神経などをコントロール
しているため、更年期症状、PMS、精神症状(イライラ、落ち込みなど)などあらゆる
原因不明の症状は、「上衝」の影響を受けていると言っても過言ではないかもしれ
ません。
また、気虚によって体に必要な物質が不足することを、漢方用語で「陰虚」
と言います。特に女性は月経や出産で血液が不足しやすいので、「血虚」として症状が
現れる場合もあります。「陰(血)虚」とは赤血球が欠乏した状態であるとすれば、
体は血液濃度を保つために、血液中の水分を血管外に排出します。これを
「痰飲」と呼びます。
「痰飲」が増えると、むくみや胃袋がブヨブヨとなる「胃内停水」、尿量が少なくなる
などの症状が現れます。熱の伝導や胃腸の働きが弱まり、気虚をさらに悪化
させてしまいます。以上が、気虚から「上衝」や「痰飲」が起こる仕組みです。
➚上衝
気虚
➘陰虚(→血虚)→痰飲
病気の仕組み②
和漢薬舗 東洋堂 稲垣薬局 (東京都武蔵野市)
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更新日: 2019/02/01 |