肩こりスパイラル
ささいなことから始まる肩こりスパイラル
現代人によくみられる肩こり。季節を問わず一年中みられる症状ですが、新年度に
入るこの時期、人の入れ替わりや環境の変化で緊張が続いた人などにも現れます。
このような一時的な肩こりも、『肩の筋肉が硬くなる⇒血行が悪くなる⇒肩の筋肉が更
に硬くなる』という肩こりスパイラルを引き起こすことがあり、軽視できません。
そこで今回は、肩こりの原因や予防法、肩こりに潜む病気などをご紹介致します。
肩こりのメカニズムと原因
肩こりのメカニズム
肩こりが起きる主なメカニズムは長時間の筋肉の緊張による血行不良と言われています。例えば、デスクワークや不自然な姿勢などを長時間続けると、肩の筋肉(僧帽筋) に力が入った状態が続き、血行は滞りがちになります。すると、細胞は酸欠気味になり、肩の筋肉に疲労が溜まり、痛みや不快感を引き起こす、というものです。
肩こりの原因
姿勢 デスクワークなどで肩に力が入る姿勢が続く
首や肩の筋肉が支えている頭部は約6kg (体重60kg の場合)、ボーリングの球と同じくらいの重さがあります。姿勢が悪いと肩の筋肉に
かかる負荷が大きくなり、疲労がたまりやすくなります。
緊張 緊張する場面などの肩に力が入りやすい環境が続く
冷え 冷え・寒さを感じると肩に力が入りやすいうえ、血管が収縮して血行も悪化しやすい
体型 なで肩、猫背、肥満などの場合、肩の筋肉に負荷がかかりやすい
他の病気 病気の症状として肩こりが現れることがある
肩こりスパイラルから脱出するために
冷やさない
肩の露出が大きいと冷えて血行が悪くなりやすい。
姿勢を正す
前かがみを避け、頭は首の真上に。左右の肩は同じ高さに。
適度に動かす
パソコン作業の場合、1 時間に1 回は肩を動かしましょう。
一般に、肩こりは肩の筋肉を適度に動かす、肩を温めて血行を促すなどの対策が有効とされています。肩たたきやマッサージをする場合にはその頻度や強さに注意が必要です。強すぎたり過度に行うと筋肉が硬くなり逆効果になることがあるからです。肩たたきやマッサージは軽めに短めに行うことがポイントです。
注意したい2次性の肩こり
症状が強い場合や長期に及ぶ場合、あるいは適度に筋肉を動かしても温めても改善がみられない肩こりなどは、単なる肩の筋肉疲労ではなく他の疾患が原因かもしれません。このような場合には医療機関を受診することが重要です。
肩こりは主に僧帽筋の疲労により感じやすいとみられていますが、鎖骨付近にある小胸筋や斜角筋に疲労がたまると、鎖骨と肋骨の間(胸郭出口) を通る神経が圧迫され、肩のこりやだるさ、手や腕のしびれを感じることがあります。この場合、胸郭出口症候群と呼ばれ、20 代~ 30 代のなで肩の女性に多く見られます。
中には、神経に加え動脈が圧迫され、手・腕・肩が腫れたり、肌が酸欠で青白くなる人もいます。小胸筋や斜角筋の負荷を減らすためには、パソコン作業時などにとりやすい頭部が肩のラインより前に出る姿勢を避けましょう。
肩の筋肉が神経を圧迫胸郭出口症候群
肩にこりを感じる疾患の例
頚肩腕症候群、胸郭出口症候群、胆石、肝臓病、膵炎、狭心症、心筋梗塞、高血圧、肩腱板断裂、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症、消化器疾患、更年期障害、五十肩、緊張性頭痛、ムチウチなど
肩こりと医薬品
肩こりには筋弛緩薬、血行改善薬、漢方薬、生薬製剤などが使用されています。漢方薬や生薬製剤は
種類が豊富で、肩こり以外の症状や体力などが使用の目安になります。肩こりに使用される漢方薬・生薬製剤の例を示します。
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、
月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、
しみ、耳鳴り 当帰芍薬散
体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期( 汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み 葛根湯
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、
めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび 枝茯苓丸
体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、
肥満症 大柴胡湯
体力が充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちのものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症( 副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、
ふきでもの( にきび)、肥満症 防風通聖散
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花粉症はなぜ起きる
花粉が体内に入っても全ての人に花粉症の症状がでるわけではありません。それは粘膜に付着した花粉を取り去るために働く免疫反応に差があるからです。花粉が体内に侵入するとマクロファージに捕食されますが、このとき、花粉に対する抗体(IgE 抗体) を作り易い人ではIgE 抗体が多量に産生され、マスト細胞の表面に結合します。その後、花粉が体内に入ると、花粉とマスト細胞に結合しているIgE 抗体が反応してマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が粘膜に放出されます。これらの物質は鼻や目の粘膜に作用して鼻水、涙目、くしゃみ、鼻づまりなどを起こします。これが花粉症のつらい症状となっています。 花粉症の薬について 花粉症で現れる症状は人それぞれで、その中でもくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは4 大症状と呼ばれています。それらの症状を薬で抑える際には、症状、部位、使いやすさなどに応じたものが選択される必要があります。花粉症の薬には、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状に小青龍湯、鼻づまりに葛根湯加川芎辛夷、くしゃみ、鼻水、目のかゆみに抗ヒスタミン薬、鼻づまりにロイコトリエン拮抗薬のように、 得意な症状があります。抑えたい症状について医師、薬剤師とよく相談しましょう。 小青龍湯 原典「傷寒論」 麻黄の青い色が小青龍湯の名前の由来と言われています。 構成生薬 麻黄(マオウ) 芍薬(シャクヤク) 乾姜(カンキョウ) 甘草(カンゾウ) 桂皮(ケイヒ)細辛(サイシン) 五味子(ゴミシ) 半夏(ハンゲ) 小青龍湯は三世紀頃に張仲景が編纂した「傷寒論」に収載されている8 種の生薬で構成された漢方 薬です。花粉症のほか、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などのアレルギー症状にも効果があります。 葛根湯加川芎辛夷 原典「本朝経験方」 大陸から伝わった処方を基に、日本独自に加減された処方です。 構成生薬 葛根(カッコン) 麻黄(マオウ) 桂皮(ケイヒ) 大棗(タイソウ) 芍薬(シャクヤク) 生姜(ショウキョウ) 甘草(カンゾウ) 川芎(センキュウ) 辛夷(シンイ) 葛根湯加川芎辛夷は鼻づまりのほか、蓄膿症、慢性鼻炎にも効果があります。 |
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更新日: 2012/03/09 |