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それでは今回は『冷え症』の病態別養生法、および良く使われる漢方薬のお話しです。

1)気虚による冷え症
全般的に体力が無い人は、例え健康に良いからと言って無理に何かを沢山食べようとしたり、無茶な運動をしてはいけません。なるべく消化が良く胃腸に負担のかからない食事を、良く噛んで1日3回食べましょう。夜更かしせず規則正しい生活を心掛けて下さい。
人参湯、補中益気湯、四君子湯、小建中湯などが使われます。

2)血虚による冷え症
前回にも述べた通り、血虚は気虚と併存している場合が多いので、気虚の養生法に加えて血虚用の漢方薬を用います。
気虚の薬方に四物湯、芎帰膠艾湯などを加える、あるいは十全大補湯、帰脾湯などを用いる。

3)水滞による冷え症
膝に水が溜まって痛い人以外は、軽い運動がお勧めです。例えばウオーキングやスイミングは全身の筋肉を使い血行を良くし組織中の余分な水分を排出します。また、毎日の入浴も大切です。余り熱すぎない湯温で身体の芯までゆっくり暖まり、じわっと汗をかくのが良いでしょう。
真武湯、当帰芍薬散、防己黄耆湯などが使われます。

4)瘀血による冷え症
お酒の飲み過ぎ、肉の食べ過ぎ、肉体労働の疲れ、女性では出産・生理などが原因です。あるいは悪性腫瘍や癌などが原因になる場合もあります。
桃核承気湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、大黄牡丹皮湯、温経湯などを使います。

5)気逆による冷え症
いわゆる”気のぼせ”による手足の冷えで、別名「上熱下寒」とか「上実下虚」などとも言います。顔はのぼせて暑いのに手足は冷たく感じ(あるいは実際に冷たい)ます。ストレスによる自律神経の失調なのです。
四逆散、苓桂朮甘湯、黄連解毒湯などを用います。

※ただし、ここに挙げた薬方は一般的なものですのでご使用にあたっては薬剤師にご相談下さい。

さて、まとめです。『冷え症』対策4箇条です。
・薄着を避け保温に注意しましょう。
・冷食、陰性食品を避けましょう。
・ストレスを避けましょう
・出来るだけ身体を動かしましょう。

まだまだ寒い日は続くようです。温かくて美味しいものを食べて寒さを乗り切りましょうね。

それではまた。

さて、今回は『冷え症』についてのお話しです。
漢方医学を易しく理解するために次のようなイメージを思い浮かべて下さい。

よく映画に出てくるような少し古ぼけたビルディング(余り高層ではありません、5~6階建てくらい)、地下に暖房用のボイラー室があり、建物の壁の中にはヒーター用のパイプが走っています。各部屋にはヒーター本体(放熱板)がありますが、部屋ごとの温度調節はできません。

イメージはよろしいですか?
それでは『冷え症』の病態をタイプ別に説明しましょう。

・気虚:元気がなく、疲れやすく、食の細い人。冬になると”炬燵虫”になってしまいます。
 →ボイラーの故障

・血虚:乾燥肌、抜け毛、めまい、顔色不良、不眠などのある人。”気虚”との併存が多い。
 →ヒーター用オイル(パイプの中を巡る)の不足

・水滞:むくみ、めまい、尿利変化、吐き気など。気や血の巡行を阻害する。
 →ボイラー室、パイプ周辺、各部屋に湿気が多い状態

・瘀血:全身または局所の血流障害。生理不順、月経困難症、不妊の原因です。
 →パイプ、放熱板の故障

・気逆:気の巡りが悪くなり頭がのぼせて手足が冷える(のぼせ冷え)人です。
 →ヒーターの熱が各部屋に行かず、ビルの上階に溜まってしまった状態

どうですか、何となく理解して頂けたでしょうか?

それでは次回は各々のタイプ別漢方薬についてお話しします。

漢方医学(東洋医学)の理論は「難しい」とか「とっつき難い」と言われています。
確かに「陰・陽」「五臓六腑」「気・血・水」などの言葉は現代医学とは異なります。
しかし見ていた”病気”や”病人”は今も昔も変わらないはずです。
今回は『冷え症』を身の回りのものに例えて考えてみましょう。

それでは皆さん”ガスコンロ”を思い浮かべて下さい。
コンロの上に”鍋”をのせます。鍋の中には”水”を入れ、”野菜やお肉”を入れます。そうしたら大きな”フタ”をしてガスに火をつけましょう。
だんだん湯気と美味しそうな匂いが漂ってきますね。

とまあ、このままでは鍋料理のグルメレポートみたいな感じですが、東洋医学の生命現象はこの”ガスコンロ上で鍋がグツグツ煮えている状態”と考えられているのです。

・ガスコンロは「腎」、命の火を燃やしています。
・ガスは「先天の気」、生まれつき持っているエネルギーです。
・鍋は「脾胃」、生命エネルギーを生産しています。
・鍋の中の水と野菜やお肉は「水穀の気」、自然界にあるエネルギーです。
・鍋のフタは「肺」、裏側に水滴が付きます。その水分が鍋の外側を冷やす(潤す)のです。

『冷え症』というのは、これらのどこかが故障していたり、何かが不足しているため、鍋料理が美味しくできない状態なのです。

それではどこに原因があるのか?次回はその辺のお話しです。


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