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いやあ、ちょっと油断しているとご無沙汰してしまいますね。
1か月以上書き込みしていないとは・・・。

さて、今回は少々変わったネタ『アンチドーピング』についてのお話です。
ちょうど昨日、地元の薬剤師会で研修会があり出席して来たのですよ。

そもそも”ドーピング”というのは、大昔の原住民が”ドープ”というお酒(まあドブロクみたいなものでしょうか)を飲んで気合を入れたり勢いを付けて戦争に行ったところからきているそうです。
その後、競馬で勝たせたい馬にカフェイン(興奮剤)を飲ませたり、逆に敗けさせたい馬にタバコの葉(ニコチン=毒)を食べさすという事例もありました。
現在はオリンピックや国際大会などでは確信犯的(悪質)なドーピングが行われています。

日本ではそういった悪質なドーピングはありませんが、選手側の意識の無さからくる”うっかりドーピング”が問題になっています。
本人はただ病気の治療をしようとしただけなのに、スポーツ選手ではない普通の人なら何の問題も無いのに「不正行為」とされてしまうのです。
国際的なドーピング規則は絶対的なので、「確信犯」であっても、例え「うっかり」でも同じように処分(出場停止とか資格はく奪)されてしまうので大変です。

さて、この話がどう本題に繋がって行くのかと言いますと、ドーピング規則では色々な医薬品について”絶対に使ってはいけないもの”と”怪しいもの”そして”大丈夫なのも”に分けてあるのです。
ちなみに私たちの扱っている『漢方薬』は”絶対ダメのもの”と”怪しいもの”に分類されているのです。※あくまでもスポーツ選手の場合ですが。

例えば有名な事例では「葛根湯によるドーピング違反」があります。たかが葛根湯と思われるでしょうが、咳や熱に効果のある麻黄の成分であるエフェドリンがドーピング検査に引っ掛かってしまったのです。
麻黄は沢山の漢方薬に含まれており、スポーツ選手は使用に注意が必要です。

また漢方薬全般に言えることですが、漢方薬の成分(薬草)は主成分以外にも色々な成分が含まれており、何がドーピング検査に引っ掛かるか分からないのでとりあえず「グレー分類」とされている訳です。

まあ、この件に関しては「漢方薬は安全」とは言えないようです。

詳しくは薬剤師にお尋ねください。

次は余り間を空けずに登場します。
それではまた。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

年末年始の日本列島は厳しい寒さに襲われました。
大雪で被害を受けられた地域の皆さん、お見舞い申し上げます。

さて今回は「不眠」についてのお話しです。
最近の病院はとっても親切(?)で、眠りが浅いとか寝つきが悪いと言うと「では軽いやつを差し上げます」と睡眠薬の類を出してくれます。
なるほど「軽いやつか」と飲み始めたら運の尽き、薬から離れられなくなってしまうのです。
まあ確かに”うつ病”など睡眠を十分に取ることが症状の回復につながる場合もあります。

しかしながら、どうも世間一般の方々が訴えている”不眠”というのは、例えば「明日〇〇時に起きなくちゃいけないから今夜は△△時に寝なくちゃいけない」、だから睡眠薬を飲んで寝ようかしら・・・みたいな使い方が多いのではありませんか。
なのに「ああ眠れない」「いやだ、この薬弱いんじゃないの」だから医者に行って「全然眠れない、もっと良く効くやつを」、そう言われればお医者さんも頑張ってより強いやつを選んでくれます・・・・。本当に親切なお医者さんが多いですからねえ。

患者さんにもよく言うのですが『睡眠は体力』なのです。身体が元気で無い人には良い睡眠は得られないのです。
睡眠は体内時計によって調節されており、睡眠薬を使って自分の満足するタイミングであたかも”スイッチを押す”みたいに「眠りを得る」ものではありません。

そこで、まずチェックして頂きたいのは”睡眠環境”です。
例えば快適な布団、パジャマ、室温、雑音、食事のタイミングなどなど。

実は私も年のせいか足先が冷えて寝つきが悪く、漢方薬をあれこれ試してみたりしましたが、結局小さな”湯たんぽ”を使うようにしたら良く眠れるようになりましたよ。

ちょっとした工夫でより良い環境を作るのが、漢方薬を初めとした全ての治療の基本ですねえ。再発見しました。

ではまた。

それでは今回は『冷え症』の病態別養生法、および良く使われる漢方薬のお話しです。

1)気虚による冷え症
全般的に体力が無い人は、例え健康に良いからと言って無理に何かを沢山食べようとしたり、無茶な運動をしてはいけません。なるべく消化が良く胃腸に負担のかからない食事を、良く噛んで1日3回食べましょう。夜更かしせず規則正しい生活を心掛けて下さい。
人参湯、補中益気湯、四君子湯、小建中湯などが使われます。

2)血虚による冷え症
前回にも述べた通り、血虚は気虚と併存している場合が多いので、気虚の養生法に加えて血虚用の漢方薬を用います。
気虚の薬方に四物湯、芎帰膠艾湯などを加える、あるいは十全大補湯、帰脾湯などを用いる。

3)水滞による冷え症
膝に水が溜まって痛い人以外は、軽い運動がお勧めです。例えばウオーキングやスイミングは全身の筋肉を使い血行を良くし組織中の余分な水分を排出します。また、毎日の入浴も大切です。余り熱すぎない湯温で身体の芯までゆっくり暖まり、じわっと汗をかくのが良いでしょう。
真武湯、当帰芍薬散、防己黄耆湯などが使われます。

4)瘀血による冷え症
お酒の飲み過ぎ、肉の食べ過ぎ、肉体労働の疲れ、女性では出産・生理などが原因です。あるいは悪性腫瘍や癌などが原因になる場合もあります。
桃核承気湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、大黄牡丹皮湯、温経湯などを使います。

5)気逆による冷え症
いわゆる”気のぼせ”による手足の冷えで、別名「上熱下寒」とか「上実下虚」などとも言います。顔はのぼせて暑いのに手足は冷たく感じ(あるいは実際に冷たい)ます。ストレスによる自律神経の失調なのです。
四逆散、苓桂朮甘湯、黄連解毒湯などを用います。

※ただし、ここに挙げた薬方は一般的なものですのでご使用にあたっては薬剤師にご相談下さい。

さて、まとめです。『冷え症』対策4箇条です。
・薄着を避け保温に注意しましょう。
・冷食、陰性食品を避けましょう。
・ストレスを避けましょう
・出来るだけ身体を動かしましょう。

まだまだ寒い日は続くようです。温かくて美味しいものを食べて寒さを乗り切りましょうね。

それではまた。

さて、今回は『冷え症』についてのお話しです。
漢方医学を易しく理解するために次のようなイメージを思い浮かべて下さい。

よく映画に出てくるような少し古ぼけたビルディング(余り高層ではありません、5~6階建てくらい)、地下に暖房用のボイラー室があり、建物の壁の中にはヒーター用のパイプが走っています。各部屋にはヒーター本体(放熱板)がありますが、部屋ごとの温度調節はできません。

イメージはよろしいですか?
それでは『冷え症』の病態をタイプ別に説明しましょう。

・気虚:元気がなく、疲れやすく、食の細い人。冬になると”炬燵虫”になってしまいます。
 →ボイラーの故障

・血虚:乾燥肌、抜け毛、めまい、顔色不良、不眠などのある人。”気虚”との併存が多い。
 →ヒーター用オイル(パイプの中を巡る)の不足

・水滞:むくみ、めまい、尿利変化、吐き気など。気や血の巡行を阻害する。
 →ボイラー室、パイプ周辺、各部屋に湿気が多い状態

・瘀血:全身または局所の血流障害。生理不順、月経困難症、不妊の原因です。
 →パイプ、放熱板の故障

・気逆:気の巡りが悪くなり頭がのぼせて手足が冷える(のぼせ冷え)人です。
 →ヒーターの熱が各部屋に行かず、ビルの上階に溜まってしまった状態

どうですか、何となく理解して頂けたでしょうか?

それでは次回は各々のタイプ別漢方薬についてお話しします。

漢方医学(東洋医学)の理論は「難しい」とか「とっつき難い」と言われています。
確かに「陰・陽」「五臓六腑」「気・血・水」などの言葉は現代医学とは異なります。
しかし見ていた”病気”や”病人”は今も昔も変わらないはずです。
今回は『冷え症』を身の回りのものに例えて考えてみましょう。

それでは皆さん”ガスコンロ”を思い浮かべて下さい。
コンロの上に”鍋”をのせます。鍋の中には”水”を入れ、”野菜やお肉”を入れます。そうしたら大きな”フタ”をしてガスに火をつけましょう。
だんだん湯気と美味しそうな匂いが漂ってきますね。

とまあ、このままでは鍋料理のグルメレポートみたいな感じですが、東洋医学の生命現象はこの”ガスコンロ上で鍋がグツグツ煮えている状態”と考えられているのです。

・ガスコンロは「腎」、命の火を燃やしています。
・ガスは「先天の気」、生まれつき持っているエネルギーです。
・鍋は「脾胃」、生命エネルギーを生産しています。
・鍋の中の水と野菜やお肉は「水穀の気」、自然界にあるエネルギーです。
・鍋のフタは「肺」、裏側に水滴が付きます。その水分が鍋の外側を冷やす(潤す)のです。

『冷え症』というのは、これらのどこかが故障していたり、何かが不足しているため、鍋料理が美味しくできない状態なのです。

それではどこに原因があるのか?次回はその辺のお話しです。


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