【質 問】
この夏の暑さで7月に入るなり、食欲不振とだるさに襲われました。冷房を高めに設定しているためか寝汗をかき、便が軟らかく、気分までふさぎこんでしまいます。病院の検査には異常がなく、夏バテでしょうと胃腸薬をもらいました。効き目がないので漢方薬を処方してください。私が横になっていると、姑の機嫌も悪く怠け者扱いされます。
【答 え】
今年は記録的な猛暑となり、今になって夏バテの相談が多い。昼間のうだるような暑さに加え寝苦しい夜が続き、食事はそうめんなどが多くなり、たんぱく質の不足を起こして体力低下を招く。体がほてり、汗をたくさんかいて、つい冷たい飲み物をがぶがぶと流し込んでしまう。すると胃液が薄まり、消化吸収能力が低下する。また胃腸を冷やし、働きを悪くさせて食少になる。しかし、脱水症状を防ぐために水分を補給することは重要である。
この女性の場合は、手足の冷えがひどく、最初は冷房病から発症しているのでだるさが激しいのであろう。後に脾胃の運化が低下し、便が軟らかくなり食欲が落ちてしまった。腎の活力を回復し温める「至宝三鞭丸・しほうさんべんがん」と脾胃の働きを改善する「参苓白朮散・じんりょうびゃくじゅつさん」を服用していただいた。2週間後、1ヶ月半に及ぶ地獄の猛暑が解消できたとのこと。
【質 問】
4月の終わり頃に突然、吐気をともなう回転性のめまいにおそわれました。病院に行き、めまいの薬を服用していますが、2週間後の現在も枕に頭をつけるとまわるような気がします。歩くと左右にゆっくりと動揺感があり、まっす ぐに歩けません。食欲もなく、義務感で少量を無理矢理食べています。血圧は正常で脳出血の危険はないと言われました。何か良い漢方薬はないでしょうか。 【答 え】 55歳になるこの女性は、めまいの起きる前に風邪を引いたという。風邪は一週間で良くなり、その後1週間後にめまいを発症したという。 一般的には、内耳にある平衡感覚を司る三半規管の浮腫か、またはそれを小脳に伝える神経の障害、たとえばウィルスによるものといわれている。めまいが徐々に始まるり、だんだん進むものには腫瘍等の可能性もありますので、検査を受けましょう。 さてこの女性は、風邪がらみと判断しウィルスに対する抵抗力を増すために「真武湯しんぶとう」、さらに水分代 謝を改善しむくみを消失する「茯苓ぶくりゅう」と「白朮びゃくじゅつ」を増量し服用しました。5日後にはめまいが消えましたが、食欲が今ひとつであるとのことで脾胃する健やかにする「補中益気湯ほちゅうえっきとう」を5日分服用し、元気になりました。この外にもめまいには種類があり、慢性的なものの改善には長時間かかかります。 |
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更新日: 2011/05/17 |
【質 問】
55歳、男性から質問があったのは3月末のことである。「3日前の朝、歯磨きをしているとき、突然腰に重だるさを感じ、痛み出してきました。その日は湿布をはり、会社を休んで様子を見ましたが、痛みは徐々に強くなっています。漢方で治るでしょうか」 【答 え】 腰痛になると、普通考えることは整形外科に行くか、接骨院へ行くか、針へ行くかであろう。実際に当店でもいろいろ試してから来店される人が多く、ほとんどは数カ月から一年くらいたっているため、病体が慢性化してしまっている。 この人のように、突然重だるさを伴う痛みが発症する腰痛は、自然界の湿気と冷えが関与している病症で「寒湿の邪」と呼んでいる。 湿邪が関与しているものは患部に停滞しやすく、ハリへ行ってもなかなか消えない。身体に必要のないものが経絡に入り込んだものは、マッサージをすると悪化する。腰椎のレントゲンを撮って安心感を得ることは大切だが、鎮痛剤は効いてくれない。湿布をするとそこに汗をかき、さらに湿気を呼んでしまうので楽にはなるが良くならない。 寒湿の邪を追い出す代表的な処方に「甘草乾姜茯苓白朮湯・かんぞうかんきょうぶくりょうびゃくじゅつとう」がある。別名「腎着湯・じんちゃくとう」とも呼ばれる。この人は翌日から出社した。 |
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更新日: 2011/05/16 |
【質 問】
私は毎日1万5千歩くらいの散歩を日課にしていた、80歳の男性です。75歳の時、だんだん膝が痛くなり、2年前から力が入らなくなりました。立つだけでも膝に痛みが走り、生き甲斐であった歩くことができません。一人暮らしなので炊事はヘルパーを頼んで何とかなります。最近は生きていることが虚しくてなりません。何とかならないでしょうか。 【答 え】 近所に住むおいっ子に両腕を抱えられ、来店したのは去年の8月でした。腰から下に力が入らない症状は腎虚と言う。 腎虚とは、40歳頃から始まる腎の活力不足のことで、早い人で50代前半から具体的な症状が発現する。この他に難聴・耳鳴り、トイレが近い・尿もれ、薄毛・脱毛、精力減退、気力・体力の低下などがあり、補いきれたらこの男性は、100歳の寿命をたまわることになるでしょう。 見ると膝の炎症はそれほどでもなく、大たい部の筋肉がやせ衰えていました。腎虚を補うために良質な鹿茸(ろくじょう)エキスと牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、筋肉を養うために四物湯(しもつとう)を加え服用してもらった。3ヶ月後には1万歩歩けるようになったと連絡がありました。現在は、歩いた後少し痛みは残るが、前と変わらず歩くことができるとご満悦。腎虚がからむ症状は、普通1年くらい時間を要します。 |
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更新日: 2011/05/15 |
【質 問】
27歳女性。高校時代から花粉症で悩んでいます。目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、皮膚がひりつくように痛くなり、今年は3から4回くらい風邪も引き、微熱が出たり下がったりしています。 【答 え】 顔が隠れるような深い帽子をかぶり、花粉症用の眼鏡をかけ、マスクをして顔が全く見えない状態で来店されたのは、今から3年前のことである。 花粉症は外傷と内傷に分けられる。外傷とは、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみの段階である。だるさ、発熱、鼻水が黄色くなる、発疹などの症状が出る人は、内傷と呼び体の中に原因がある。外傷から内傷に移行するにはそれほど時間を要しない。3日もあれば十分で、花粉とは無関係に症状は持続し、寝不足や疲れで悪化する人は内傷である。雨が降ると治ってしまう人は外傷に留まっていると判断できる。 この女性の場合はさらに感冒がからみ、内傷を悪化させた状態である。まず、微熱の改善に「柴平湯・さいへいとう」を服用してもらった。去年、今年と内傷の改善、いわゆる体質改善に「半夏白朮天麻湯・はんげびゃくじゅつてんまとう」を11月から服用し、花粉の時期に備えてもらっている。去年と今年は花粉の量は少ないが、春先に帽子をかぶらず外に出られるのが大変うれしいという。 |
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更新日: 2011/05/14 |