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春の神経症。
ストレスに伴う緊張・興奮・障害が及ぶのは、実は「副腎」かもしれません。

人の体はストレスを受けると、
副腎から抗ストレスホルモン(=コルチゾール)を分泌して対応します。
体が出すものだから、有益なものと思いがちですが、
コルチゾール自体は、大量&長期的な分泌を想定した物質ではありません。
過剰な分泌は、ストレスに対する正常な反応を阻害して(=副腎を疲弊させ)、
心身に必要以上の負担を招き、ストレスへの過剰反応、
引いてはストレスへの適応力を低下させます。
その一連の状態は、副腎疲労と呼ばれます(それ自体は、正式な診断名ではありません)。

「ストレスが溜まる」というのは、概念的な話ではなく、
文字通り、(コルチゾールの過剰分泌という形での)副腎疲労の蓄積に及びます。
逆に言えば、ストレス解消にも抑うつ感の開放だけでなく、
コルチゾール蓄積の回避、副腎疲労の解消も含まれる訳です。

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・・・こういう風に書くと、コルチゾール自体が危険な物質で
それを分泌する事に、何かマイナスの印象を抱くかもしれません。
けれど、コルチゾールを分泌すること自体は、正常な生体反応であり、
それだけを切り取って論じれば、善悪の両面が混在しています。
適度に分泌する分には善行、けれど過剰&継続的に分泌する分には悪行。
大切なのは、コルチゾールを分泌しないことでなく、
①出しっぱなしを防ぐこと(=適当なところで止めること)
②分泌に応じて、副腎を労うこと(=副腎に疲労を貯めないこと)です。

東洋医学では、陽が極まれば陰となるという考えがあります。
陽が極まる=コルチゾールが増加していくと、
陰となる=それによる弊害(=コルチゾール障害)も同時に増加する関係にあり、
陽と陰は、一蓮托生の関係にある訳です。

漢方における副腎疲労のケア(≒副腎の回復)は、
肝腎の保養(肝腎の陰陽調和)に通じます。
それには例えば、補血・補腎の作用を持つ四物湯や当帰製剤、鹿茸製剤、
疎肝の作用を持つ柴胡疎肝湯や逍遥散に、一服の価値があります。


春の温かさと共に、増えていくのが汗の悩み
暑さが及ぶ面もあり、肌膚が緩む面もあり、自律神経が不安定になる面もあり
この時期の汗トラブルは、いろいろな要素を含んでいます。

東洋医学では、汗は心の液と言われます。
心は、五行において「火」を象徴する存在ですが、
心は火のエネルギーで体液を加熱して、汗に変えていきます。
その為、漢方では汗の異常=心の不調と見立てる場合が少なくありませんが、
汗をかくことには、①汗をかいて、心を平静に保つというプラスの面と
心の不調が、汗に及んでしまうというマイナスの面が共存しています。
汗の悩みを抱えた方は、このマイナス面を反映する場合が少なくありません。

緊張に伴う手汗、冷や汗。就寝中の寝汗。そういった汗にも、心の不調が及んでいます。
人の意志が及ばない場所で、心は半ば勝手に汗をかき、
心の昂ぶりを鎮め、平静を保とうとします。
現実は、汗が出ることが最大の悩みでしょうが、
その一方で、汗を出す事で均衡を保とうとする体の状態が存在する訳です。
その状態を無視して汗だけを防いでも、元の状態は残りますから、解決には至りません。

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心の不調を反映した汗。このタイプの汗を改善するには、
①表面的な心の煩労(=心が動じて、汗に及びやすい状態)
②根本にある心の不調(=心が弱って、動揺しやすい状態)
を改善していくことが大切です。

汗に服用しておきたい漢方薬とは即ち、
汗を及ぼす心の不調を改善する漢方薬を意味します。
それには例えば、柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯、
あるいは酸棗仁湯や温胆湯に一服の価値があります。


新生活が始まり、増えていくのがお酒の席。
花見。歓迎会。親睦会。ノミニケーション。

二日酔いに服んでおきたい漢方薬と言えば、
有名なのが五苓散と黄連解毒散です。
二日酔いに用いる市販薬の多くも、
この漢方薬や、その配合生薬がベースになっており、
現代でも、二日酔いが漢方薬頼みな点は、感慨深く感じます。
(ただし、二日酔い予防にも効くか?と言えば、それほど効果的でもない気がします)

五苓散や黄連解毒散は二日酔い症状の緩和に用いる事ができる漢方薬です。
けれど、それらの漢方薬が「二日酔い症状の緩和」を目的に
作られたものかと言えば、全くそうではありません。

五苓散は突発的な水毒症状(=体液の吸収・溢出障害)に、
黄連解毒湯は、急性の熱毒症状(=血管拡張による充血障害)に向けた漢方薬です。
二日酔い(=アルコール障害)は、水毒症や熱毒症の一形態に過ぎず、
五苓散/黄連解毒湯はそれ以外の水毒症状/熱毒症状にも用いることができます。

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早い話が、これらの漢方薬は一種の「解毒薬」に相当します。
ただし、アルコールの存在そのものが、水毒とか熱毒という訳でありません。
もちろん深酒すれば、人は水毒&熱毒に冒されてしまう訳ですが、
同じアルコ―ルの摂取量でも、それで水毒・熱毒に及ぶかどうかは、また別の話です。

最近、アルコールに弱くなった。そう感じるようになったのは、
アルコールが水毒・熱毒に及びやすい(=そういう体の状態に陥っている)サインです。
そういう状態をしばしば、「肝臓が疲れている」と表現しますが
それはまさに、体内に水毒・熱毒が蓄積した状態を意味しています。

体内に蓄積した水毒・熱毒まで、五苓散&黄連解毒散が対応してくれるかどうか。
そこにはやはり限界があります。
それこそ、五苓散&黄連解毒散は、肝臓の疲れを回復する漢方薬ではありませんから。
その場合には、同じ五苓散ベースの漢方薬でも、茵陳五苓散や柴苓湯、
また同じ黄連解毒散ベースの漢方薬でも、竜胆瀉肝湯などに一服の価値があります。

人の体は様々な性質、色々な物質の存在を通じて、バランスを保っています。
同じバランスでも、単独(=1個)の存在で保たれる関係よりも、
複数(=例えば100個)の存在で保たれる関係の方が、安定は得やすくなります。

一点の存在だけでバランスを保つ関係は、
その一点が正常である限り、バランスは保たれるという長所がある反面、
その一点に不具合が生じると、途端にバランスが崩壊するという短所を持ちます。
いわば、針の上でバランスを取る、とてもリスキーな関係です。

一方で、100個の存在でバランスを保つ関係は
1個の存在に不具合が生じても、残り99個でバランスを取れば良いので、
バランスが崩れにくいという長所がある反面、
一旦崩れたバランスは、1個、2個の不具合を改善しても整いにくいという短所を持ちます。
(=最悪の場合、過半数の51個にアプローチを行わないと、バランスは正常に回復しません)

1個の存在で支えるバランスと、100個の存在で支えるバランス。
同じ1個の存在でも、与える影響の大きさは、単純に考えれば100倍も違う訳です。
逆に考えると、100個の存在で支えるバランスには、
個々の影響・不具合が緩和される状態、ある種の曖昧さが存在しています。

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人の体は、ただ1個の存在だけでバランスを取っている訳ではありません。
自律神経系や内分泌系を整えても、それでバランス全体が整うという訳でもありません。
けれど一方で自律神経系や内分泌系も、
ただ1個の存在だけでバランスを取っている訳ではありません。
わかりやすく言うと、人のバランス全体が複数(例えば100個)の要素で成り立つ場合、
自律神経系や内分泌系もその一つには過ぎず、
けれどその自律神経系のバランスもまた、
複数(例えば100個)の要素で成り立つならば、
人のバランスは都合、100×100=10,000個の存在で成り立つ訳です。

「10,000個の存在でバランスを保つ」と言えば、凄く複雑に感じます。
けれど、「10,000個の存在で保つ存在は、ただ一つのバランス
と見ると、凄く単純に感じます。

10,000個の存在を1個に束ねると、やるべき事はその1個に限られます。
抽象的な話に聞こえると思いますが、複数の生薬を一つの漢方薬に集約させ、
処方として成立させることには、そういう意図・作用があるのでは?
と感じずにはいられません。

新しい生活環境。新しい職場。新しい学校。新しい対人関係。
春の神経症は、そうした存在を背景に
ストレス障害として発生するケースが増えています。
けれど一方で、春は気の緩みから、
自律神経系の不安定さが増える(=安定性が欠けやすい)時期でもあります。
精神面が不安定なところに、上乗せの形で緊張やストレスが伴う。
そうして、反応が大きくなるのが、春の神経症の実態です。

ただし、ストレスが存在する事=悪行ではありません。
「良い緊張感」という表現があるように、
新生活に対する期待感は、プラスの要素をもたらします。
(逆に、不安が強くなると、マイナスの効果が強くなりますが…)
精神面が不安定なところ(=自律神経系が不安定なところ)に、
良い緊張感が加わることで、安定性が補完されるようになる訳です。
(逆に、悪い緊張感が加われば、更なる不安定に及びますが…)

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けれど一方で、ストレス(=刺激)を支えに安定性を保ち続けていると、
その刺激が消失した途端、安定性が大きく揺らいでしまう場合があります。
そういう状態は、「燃え尽き症候群」とか「五月病」と呼ばれますが、
強く偏った刺激ほど、それだけに頼ると、逆に安定性を欠くリスクは高まります。
また、そうした存在に頼って安定させるほどに、
体には余分な力がかかっていく(=力んでいく)ようになります。

漢方では、体の様々な安定性(不安定性)は、
①本来持っている素養(=裏側の気)が
②外部から及ぶストレス・刺激(=表側の気)に感化され、発揮されると考えます。
自然な状態では、「表側」と「裏側」は互いに支え合い、高め合う相乗的な関係にあります。
けれど、そこに何らかの理由で、壁や隔たりが生じると、
本来あるべき繋がりが失われ(=表裏の不和)、
ストレス障害、神経症といった病態を招くようになります。

春の神経症に服んでおきたい漢方薬とは即ち、
表裏の不和を防ぎ、調和を高める漢方薬を意味します。
それには例えば小柴胡湯や柴胡桂枝湯、桂枝加芍薬湯
あるいは柴胡疎肝湯や逍遥散などに一服の価値があります。


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