植物や鉱物・動物など自然の薬物からできている「くすり」が全て漢方薬ではありません。
漢方薬の「漢」は中国の「漢の時代」「国」を表し、「方」は「方剤」「処方」を表しています。
つまり漢方薬とは「漢の時代に体系づけられた処方薬(方剤)」ということになります。
薬草などからできた「くすり」には生薬製剤や民間薬更にサプリメントや健康食品などがあります。
漢方薬は中国漢の時代の理論体系「陰陽説」「五行論」と日本に伝わってから「気・血・水理論」が組み合わされて発展してきました。
西洋医学は解剖学と顕微鏡の発達により進歩してきました。
目にみえないウィルスや病原菌をみえるようにし、それを排除することにより病気を治してきました。
漢方医学では、解剖は一切行われていません。
数千年の間何十億人もの病める人間を観察、分類して健康な体を追求してきました。
西洋医学は病気を起こす原因の異物の排除に力がそそれ、漢方医学では、異物の侵入を防ぐ体(抵抗力)を作ることに力がそそがれています。
漢方医学の基礎となるのが「陰陽虚実」「表裏」「寒熱」の八綱弁証と「気血水」理論です。
「陰陽」の「陽」は病に抵抗している時期をいい、「陰」とは病に敗北しかかっている時期をさします。
「陰陽」は、更に三陽と三陰に分かれます。「虚実」は、局所及び体質的な緊張の如何をいいます。
病邪が緊張しているか、弛緩しているかを見極めます。
「表裏」の「表」とは病邪がもっぱら体表(皮膚)、四肢(手・足)、関節、筋肉、頭、首筋、肩などにあることを指し、「裏」とは腹部内蔵に病邪があることを指します。
漢方医学でいう「寒熱」とは体温計で計った熱ではなく、病人自身が熱感を感じているのか冷えを感じているのかにより判断します。
「気血水」の「気」は実態がないのに働きのあるものを指します。
気滞、気鬱、気痞など「気」のついた病態は数多くあります。
「血」も血熱、血虚、?血など血にまつわる病態が数多くあります。
「水」は、汗、涙、唾液、帯下、浸出液、浮腫、小水、便により代謝異常を知ることができます。
これらの異常を総称して「水毒」といいます。
漢方医学はこれらの組み合わせ、優先順位により薬方を考えていきます。