10歳代 女性
今春大学に入って1か月の時点で、彼女は「受業がつまらない」と言い、55年前の僕は「この学校は合わない」と思った。彼女は「そのうち価値ある講義が始まる」と期待を口にし、当時の僕は「こりゃあ、無理じゃ」と思った。
彼女は、血圧も測れないくらいやつれて学校に行きたいのに行けず、それでも本来的な頭脳に恵まれていて、理解度がそれをカバーしてくれて、国立大学の、それも担任の先生が絶対に無理と言い切った受験にこぎつけた。当時の僕は、浪人が決まったときからパチンコとタバコを始め、予備校も結局金を払っただけで行かなかった。
古都で新しい学生時代を始めた彼女は、オーケストラに入りチェロに挑戦するらしい。並行して軽音楽部にも入った。元々ピアノが出来るから、音楽は何でもできそうだ。当時の僕は、背が高いという理由だけで野球部に入り、中学生にも負けそうなチームでそれなりに頑張ったが、もともとやりたくもないものだったから、髪が肩まで伸びた時に辞めて、柳ケ瀬通いを始めた。
彼女はきっと大学時代を知的に過ごすだろう。多くの知識と経験を積んで社会に出るだろう。当時の僕は、大学時代を痴的に過ごし、薬以外の知恵を得た。
彼女は知性が邪魔をする不調に苦しんだ。僕は金がない不調に苦しんだ。彼女には漢方薬と言う味方がいた。僕には、下から上を見るという見方が味方した。前途洋洋を奪われそうになった若い女性を、お先真っ暗な人間がお手伝いした。「僕みたいになって、僕みたいになるな!」これが、彼女に対する僕のメッセージだったように思う。いや、現在、僕の漢方薬を服用してくれている多くの人に対するメッセージかもしれない。
20歳代 女性
2か月近く咳が止まらずに、新入社員で入ったのに咳ばかりして申し訳ないとお母さまが相談に来てくれた。お嬢さんに直接電話で症状を聞いたときに、気管支が悪いのではなく後鼻漏ではないかと感じた。そこで5日分漢方薬を作って飲んでもらうと、3日で4割楽になったと電話報告をくれた。 ちなみにお母さんのお兄さんがお医者さんだが、家族の方がいつも色々な症状で漢方相談に来てくださる。恐らくかなり的を絞った専門医みたいで、日常のトラブルは、慢性的なものを中心に多くを任せてもらっている。 |
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更新日: 2024/05/14 |
30歳代 女性
面白い会話をした。 「最近は冷えないし、生理もばっちり来る。不思議!」と言う女性は、4か月前に、足が冷えて辛い。生理が1週間以上遅れると言って相談に来た。若いし元気そうだったので、女性の血の道の煎じ薬を作って飲んでもらうことにした。来るたびに煎じるのが面倒と美味しくないの報告ばかりだったが、昨日は、目的が達成していることを無意識に報告してくれた。その上、「もう習慣になった」と不満の一言も言わなかった。「自分は生理不順と冷えを治してと言って来たんじゃろう」と言うと「そうじゃった、治っとる」と言って笑っていた。田舎の人は無邪気に好き放題言うから憎めない。 |
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更新日: 2024/05/14 |