ほんとに早く効く、あたかも魔法みたい
ある朝、銀行の営業マンが訪ねてきた。
イスに座るなり腹を押さえて顔をしかめている。
どうしたのと聞くと、朝から胃が痛くて脂汗をかいていると。
昨夜飲み過ぎたようだ。目の前で半夏瀉心湯を一服飲ませる。
内服すると美味しい薬ですねと言うや否や、『あれ! 痛みが楽になってきた』。
十五分後にはすっかり痛みか消えていました。
漢方薬は一般に長く飲まないと効果がないと思っている人が多いようです。
しかし、急な症状に対しては非常に早く症状の改善が現れることが多いものです。
漢方薬は西洋薬と違って合成品ではなく、食品と同様に自然が提供してくれた草木などを原料(生薬)に作られています。
一番大切なことは生薬にはそれぞれ適した土地(産地)があり、その年の気候条件に大きく影響を受けます。
この考え方は「地同薬材(ちどうやくざい)」と呼ばれ、産地と等級を重要視いたします。
そのために処方名は同じでも、製造する会社が異なれば、漢方薬の効果も大きく異なることがあります。
惠木 弘・著 『快適な夏の過ごし方 四季の養生法』より