自家感作性皮膚炎とは、虫刺されやアトピー性皮膚炎などの皮膚炎が発端となり、二次的に発症する皮膚炎のことです。
最初の皮膚炎(下腿に多い)によってできた変性たんぱく質や毒素などが、血流や掻きむしる刺激により全身に広がります。
すると、もともと炎症がなかった部位でアレルギー反応を起こし、皮膚炎を発生させることがあります。この皮膚炎を「自家感作性皮膚炎」と言います。
症状と一般的な治療
2~5ミリの紅斑(赤み)や丘疹(水ぶくれ)、膿疱(膿を伴う吹き出物)などで、下腿のみならず体幹や顔などに広がり、激しい痒みをよく伴います。
また、全身性のアレルギー反応であるため、発熱や倦怠感などの全身症状が生じることもあります。
通常は、ステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬により治療をし、症状がひどい場合は、ステロイドの飲み薬を使用することもあります。
当店での症例
今回は、ステロイド剤を20年間使用しても治らなかった自家感作性皮膚炎が漢方治療で治った症例をご紹介したいと思います。
完治後にいただいたお客様アンケートについてはこちらで掲載しております↓
〇46歳 20年間のステロイドでも治らなかった自家感作性皮膚炎が6か月の漢方で完治|漢方体験談


【初来店時】
20年前、左足脛の所にかぶれがあり、特に気にせずいたところ全身に感染が広がったそう。
ステロイド剤を使用すると、ある程度は抑えられますが、完治に至らず、再発を繰り返す状態でした。これ以上ステロイド剤を使いたくない、との思いで漢方薬を求めご来店されました。(写真「①治療前」)
【平素】
飲酒・喫煙量が多く、汗かきやすい
色白で、小さい黒子が多い
舌:暗紅、苔正常
【漢方的所見及び治療】
「桂枝体質」であり、また局部的瘀血が見られると判断し、桂枝茯苓丸を投薬。
また、乾燥肌と炎症状態の改善に当帰飲子と黄連解毒湯の併用を提案しました。
【経過】
2か月目:
2か月間の服用で、大分良くなりましたが、年末年始に多量に飲酒したことにより症状が再び悪化。炎症状態を抑えることを優先し、消風散に変更。
4か月目:
炎症が抑えられ瘡蓋が落ちたところ、状態のよい皮膚が20年ぶり現れました。(写真「②治療中」)
6か月目:
ステロイド剤使用中は瘡蓋が落ちた際に出血が見られ、正常な皮膚になかなか戻りませんでしたが、今回は正常な皮膚が出てきました。色素沈着がありますが、ステロイド剤による副作用だと考えられます。(写真「③治療後」)
7か月目:
状態が良いため、漢方を減量しつつそのまま卒業。
【まとめ】
自家感作性皮膚炎については、短期間(約2か月)でステロイド剤治療をしても治らない場合は、漢方薬との併用をお勧めします。漢方では、免疫力を調整したり、炎症を抑えたりなど、根本的な治療をしていけることが大きなメリットだと言えるでしょう。
中医師 張冬

【参考文献】
許志泉. (2018) “漢方求真”, 桐書房, 初版, pp.37-38, 153
清水宏. (2018) “あたらしい皮膚科学”, 中山書店, 第3版, pp.126-127
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