誠心堂薬局船橋店 関根です
不妊症の原因となっている一つに着床障害があります。
今回は、その着床と免疫について考えたいと思います。
まず、着床とは何か?
受精卵から初期発生を経て形成された胚が子宮内膜に触れ、結合する現象のことです。
胚を受け入れたときに免疫寛容が働いて妊娠を継続させます。
免疫とは何か?
①細菌やウイルスなどの侵入物を抹殺する
②侵入物に対して抗体を作って体を守る
①や②のような働きをします。
免疫が過剰に働くと、受精卵まで排除しようとします。
妊娠中は免疫活動が低下して、受精卵や胎児を守るようになります。これを『免疫寛容』といいます
この活動が起こらないと、妊娠がしにくく流産しやすい状態になってしまいます。
免疫寛容が起きる条件の一つに
Th1とTh2のバランスが良い状況が必要です。
免疫には
①細胞性免疫(Th1)
②液性免疫(Th2)
の2種類があり、お互いにバランスを取りながら働いています。
Th1は細菌やウィルスなどの異物に対して反応します。
異物に対して、抗体を作るよう指示を出します。
また、キラーT細胞やNK細胞、マクロファージなどの細胞を活性化させて、細菌やウィルスを食べてしまったり
消化酵素などで破壊したりします。
一方、
Th2はダニやカビ、花粉などのアレルゲンに反応します。
B細胞を活性化させて、抗原を退治するため抗体をつくります。
細胞性免疫(Th1)÷液性免疫(Th2)(免疫比)の正常値は8〜12で、血液検査で調べられます。
数値が大きくなれば移植胚などに対する拒絶力は大きくなり、特に10.3以上になると移植胚は拒絶されます。
胚の半分はご主人の遺伝子が含まれるため、移植胚を異物と判断し拒絶反応を起こし胚が着床しないことがあります。
これを防ぐには細胞性免疫(Th1)を下げ液性免疫(Th2)を優位にする必要があります。
このTh1/Th2比を低下させるためには免疫抑制剤である「タクロリムス」を使用します。
タクロリムスは免疫抑制薬の1つであり、臓器移植の分野で広く使用されています。
当薬局でも、Th1/Th2のバランスが崩れているため、タクロリムスを服用されている方はおられます。
この場合、西洋薬と機序が違うため漢方薬も一緒に服用してもらっています。
漢方薬の役割は、子宮や卵巣に対して血流を安定させて、元気な子宮内膜をつくります。
タクロリムスを併用することで相乗効果が見込まれるため、より妊娠しやすい体作りを実現していきます。
以上です。