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生理周期調整の基本的な考え方

近年急速に増加する不妊症

不妊症とは、結婚して正常な性生活を営みながら2年以上妊娠に至らないカップルと定義しています。
日本では、約10%のカップルが不妊症でお子さんに恵まれていないと言われています。不妊症の原因は、男性側に原因がある場合が約40%、女性側に原因がある場合が40%と言われ、残りは男性女性の双方に問題があるまたは、原因不明と言われています。

中医学の漢方では、歴史的にも不妊症に対してさまざまな研究がおこなわれてきましたが、最近は西洋医学と組み合わせた「中西医結合」も大きなテーマとなっています。
中医学の漢方では、不妊症は「絶子」「無子」と言われ、その原因をひとりひとりの症状をお知らせ頂いて弁症論治(ベンショウロンチ)という方法で、本来備わる妊娠力を向上させて改善しようとします。

まず、「求子之道、首先調経」=子を求める道は、先ず月経を調整する

「調経種子」=月経を調整して子供の種をまく

と言われていて、女性の不妊症に対してはまず、スムーズな生理の調整が大切と考えています。
これに西洋医学から見た生理のメカニズムから、女性の生理周期を月経期(生理期)・卵胞期(低温期)・排卵期・黄体期(高温期)の4期に分けて考え、時期に合わせた中医学治療を行い、女性の体調やリズムを整え生理痛や冷え生理不順を解消し、ひいては安産へと導きます。
身体に優しく西洋医学的治療と並行して行うことも可能で、不妊症・生理不順・生理痛でお悩みなら根本的な改善を目指しましょう。

まず、女性の生理周期はそれぞれ意味を持っています。同じ女性でも周期によって身体の役割が異なります。それぞれの周期の意味を理解しましょう。

月経期 この時期は、子宮内の経血をきれいに排泄する時期で、必要なら理気活血剤を服用します。
卵胞期 この時期は子宮内膜を肥やし良質な卵を作る時期で必要なら補血と滋陰を行います。
排卵期 この時期は排卵をスムーズにさせる時期で必要なら理気活血を行います。
黄体期 この時期は、黄体機能を向上させ卵を安定させる時期で必要なら補陽補血を行います。

健全な生理周期の基本は、血液を補い月経の調整をする作用の有る「補血(ホケツ)」「養血(ヨウケツ)」などの生薬をべースに各時期、各個人に応じてお薬を選択しましょう。
BBT(基礎体温表)により各人のお身体の状態を推測することができます。
ストレスにならない範囲で基礎体温は記録しておきましょう。
基礎体温の理想的な測り方は、

  1. 基礎体温計は枕元に
  2. 毎日同じ時間に、できれば目覚めてすぐの活動前が理想です。
  3. 睡眠時間は最低6時間確保して下さい。

生理周期がきちんと整えば、体調もよくなりますし不妊治療をおこなうにしても良質の卵ややわらかくてフカフカの子宮内膜などの環境が整って行く事になります。
おとなりの中国では、娘さんの生理不順や生理痛はお母さんの責任として改善に取り組む習慣になっています。
まず、冷えや生理不順があればきちんと整えることからはじめましょう。

先生の紹介

プロフィール イヌイ薬局 宮長店 松原 一彦先生イヌイ薬局 宮長店
取締役 薬剤部長
乾 マリコ先生

略歴

  • 昭和薬科大学薬学部卒業
  • 藤沢製薬 学術勤務
  • 株式会社イヌイ入社

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