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秋は穏やかな季節な反面、
草木を枯死させる秋気も盛んになります。
その実体は、日に日に盛んになる燥気とも言えますし
日を負うごとに深まる陰気とも解釈できます。

素門(中国最古の医学書)では
秋はつとめて平静を保ち
草木を枯れさせる気が人体に悪影響を与えないように
緩和させなければならないと説いています。

秋気に伴う燥気旺盛や陽気不足は
ときに、秋特有の憂鬱感をもたらします。
「憂」という感情は、五臓の上ではを傷つけ、
肺の気が縮むことで、人は秋気に対してさらに脆弱になります。

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漢方には、病状・病名は同じでも
その性質は五つに分かれるという考え方があります。
簡単に言えば、一口に「自律神経失調症」と言っても、そこには
肝・心・脾・肺・腎という五通りの自律神経失調症が存在する訳です。
秋の憂鬱感とはこの内、肺の自律神経失調症に相当すると考えられます。

また漢方では、肺は魄(はく)を発揮する部位といわれ、
魄は本能的、無意識的な活動を担います。
魄を損なった人は、本能的・無意識的な消極性が強くなり、
それが気落ちや心身の脆弱性へと及ぶ訳です。
無意識にネガティブになる・・・、
そう考えると、少し怖さを覚えてしまう季節でもあります。

食欲の秋、読書の秋、スポーツ秋。
秋を謳歌する表現が様々にあるのも、
魄を引き出し、無意識の積極性を養うことを促しているのではないでしょうか?

秋の憂鬱感に服んでおきたい漢方薬とは即ち
肺を高め、気を巡らせて、魄を促していく漢方薬を意味します。
それには例えば、気の塞がりを開く香蘇散や香砂六君子湯
あるいは肺を妨げる痰を解消する温胆湯や半夏厚朴湯などに
一服の価値があります。

秋に備えて服んでおきたい漢方薬。

結論を先に言うと、
それは「肺」の緊張感を高める漢方薬を意味します。
秋に備えるとは即ち、「肺」に緊張感を伴って秋を迎えるという事でしょうから。

緊張すること、緊張感を持つこと。
厳密に言うと、2つは異なる現象です。
緊張感を持つことは、研ぎ澄ます(≒澄んでいく行為)ことに対して、
緊張することは、そこから更に磨り減っていくことを現します。
ですから、人の能力を最大限に発揮するには、
緊張に及ばないように、緊張感を育んでいくことが大切になります。

夏を経た体は基本、汗をかいて血脈が緩んでいます。
その時点では、緊張感が失せた状態です。
そこから秋の深まりと共に、肌寒さや乾燥が盛んになり
それらが体に刺激を与え、適度な緊張感を養っていきます。
その時分には、乾布摩擦や適度な運動を通じて、自発的に緊張感を育んでいく事も大切です。

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秋が深まっても、「肺」に緊張感を持てない人は、
①夏の疲労が残っている、もしくは②夏・秋を通じて季節感がない、
いずれかの理由で、「肺」の緊張感が自然に高まらない人です。
それこそ、夏の暑い時期に涼しさばかりを追い求め、
汗をかかない生活を過ごしていると、
「秋の涼しさ程度」では、どうやっても緊張感が養われず、
緊張感のない状態がずるずると続いてしまいます。

それに対して、秋にアレルギーを訴える人は
①秋にもたらされた緊張感が、神経の緊張にまで及んでいる、
もしくは②「肺」の緊張感が急激に増長されて、余計な緊張に転んでいる、
いずれかの理由で、「肺」の緊張感が弊害を伴っている人です。
「肺」の緊張感は、熱を伴って「肝」の緊張にも及びやすい一面を持っていますから、
そういった場合には、「肝」の緊張を防ぐ配慮も必要になります。

なお、「肺」の緊張感が高まっていくことは、
裏を返せば、肺の働き(≒肺の気)が充実していくことに相当します。
そして肺の気が充実していく上では、
肺が嫌う乾燥・寒冷への備え(≒保湿・保温への備え)も重要な要素になります。

ちなみにそういった場合には、乾燥・寒冷から「肺」を守る補中益気湯や参蘇飲、生脈散加黄耆、麻黄附子細辛湯
または「肺」の気を整えて呼吸機能を滑らかにする
半夏厚朴湯や蘇子降気湯、麦門冬湯、味麦地黄丸、
あるいは、「肺」の気の適度な緊張感を育んでいく、
黄耆建中湯や桂枝加黄耆湯、苓桂朮甘湯などに一服の価値があります。


季節の変わり目という点では、
春と同じく、秋もめまいが起こりやすい季節です。

以前に、春のめまいに服んでおきたい漢方薬リンク で触れましたように
春のめまいには、肝の働きが深く関わっています。
春のめまいと秋のめまい、
互いの症状に共通点が多い点からは、春のめまいと同じく
秋のめまいにもが影響を及ぼす点が感じられます。

けれど一方で、季節の上では、春と秋は正反対の性質を持ちます。
(春は陰中の陽、秋は陽中の陰)
このことは、結果として「めまい」に及ぶ点は同じだけど
その経緯は異なることを示唆しているのではないでしょうか?

寒い季節から、暖かい季節に向かう春、
寒さによる緊張は緩み、暖かさと共に心身は開放的になります。
このことを指して東洋思想では、木の伸びやかさに例えました。
漢方的には、木(≒肝)が豊かになる時期と言われる由縁です。
ちなみに、この時分のめまいは
「緊張の緩みと、肝木の豊かさのアンバランス」によるものです。
即ち、緊張が「緩む勢い」に対して、
肝木の「伸びやかになる勢い」が強過ぎたり(或いは弱過ぎたり)
することで、めまいが起きる訳です。

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それに対して、暑い季節から肌寒い季節に向かう秋、
暑さで血脈が緩みきったところに、肌寒さによる緊張が及ぶ訳ですが、
そのことを指して東洋思想では、金の固さ(≒収斂)に例えました。
漢方的には、金(≒肺)が豊かになる時期と言われる由縁です。
その点を踏まえると、この時分のめまいは
「緊張」の充実と、「収斂」の追随のアンバランスによるものと言えます。
即ち、緊張が「強まる勢い」に対して、
肺金(≒収斂)の「盛んになる勢い」が弱過ぎて
(或いは強過ぎて)、めまいが起きる訳です。

特に、秋が訪れる前の夏には、暑さと湿気を通じて脈は緩みやすくなり、
その慢性的に緩んだ状態から、急に引き締まりなさいと言われても
なかなか難しいのではないでしょうか?
個人的な見解ですが、私などはここに春と秋のめまいの線引きがあると感じます。

ちなみに漢方では、肝と肺はお互いを整え合う「相克」の関係にあります。
身近な所では、心身の緊張が深呼吸で落ち着く、
その逆にハードな運動を行うと息が荒くなるなど。
即ち、肝と肺では片方の変調・不調は
もう一方の変調・不調に及ぶ関係にある訳です。

秋のめまいに服んでおきたい漢方薬とは即ち、
秋と共に盛んになる「肺」の働きを補う漢方薬、
そして「肺」と「肝」の連携を整える漢方薬を意味します。
それには例えば、肺の働きを助け、気の巡りを整える
苓桂朮甘湯や半夏白朮天麻湯、香砂六君子湯、
あるいは、血行を整えて体内の水分代謝を改善する、
当帰芍薬散や五積散などに一服の価値があります。

季節の変わり目のことを、漢方では土用と呼びます。
土用は「土旺用事」が語源らしく、そのまま読むと
土(≒土気)が旺盛で用事(≒必要な事・大切なこと)を済ませるの意味。

四季には、それぞれの安定があるけれど、それぞれの特徴は大きく違います。
例えば、夏から秋になる。蒸し暑い夏から、空気が乾燥する秋。
そのときに、夏の安定から次の秋の安定への「変化」を促すのが、土の役割と言われます。

一般には、季節の変わり目≒不安定というイメージが定着していますが、
漢方的にはそうではなくて、季節の変わり目に「土用」が鈍い人、
土用を支えにして、次の安定を迎えられない人には
季節の変わり目に「不円滑(≒円滑さを欠いた状態)」が目立つという捉え方です。
わかりやすく言えば、夏と秋のギャップを埋められない。

「土」のエネルギーが疎かな人は、
季節の変化を正常に迎えられず、トラブルに見舞われやすい。
その為、「季節の変わり目に、体調が不安定になる」という訴えは、
「季節の変わり目に伴う現象が、体調を揺さぶる」のはなく、
「体調面の不安定さ(≒今の場合は土気の弱さ)が、
季節の変わり目に露呈する」ということを反映しています。

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少し見方を変えると、私たちは季節の変化を「肌」で感じるので、
肌が虚ろであれば、そのギャップに直に受けてしまいます。
この点には、日本の「高温多湿」の風土も影響しており、
湿気を抱える分だけ体は緩み、肌が虚ろになり、脈は滑らか・緩やかなものに近づいていきます。
季節の変わり目に伴う長雨も、これに味方します。
「ゆったりとしている」と言えば、聞こえは良いですが、
それに見合うだけの「力強さ」がなければ、それは単なる「打たれ弱さ」に及んでしまいます。
言葉を変えると、季節の変わり目には、体や脈の反応を通じて
その人が持っている力強さ(≒生命力とか抵抗力)が最大限に発揮されます。

季節の変わり目に服んでおきたい漢方薬とは即ち、
「土」の気を盛り立て、力強さを引き出す漢方薬を意味します。
それには例えば、「土」のエネルギー不足を補う六君子湯や補中益気湯、
「土」のエネルギーを全身に伝達する桂枝湯や苓桂朮甘湯、
あるいは、その伝達を妨げる水滞を改善する当帰芍薬散や防己黄耆湯などに
一服の価値があります。

漢方では、季節やそれに伴う変化を「陰陽の変遷」という形で見立てます。
例えば、暖かい季節が陽なのに対して、寒い季節は陰と称されます。
また、その暖かい時期の中にも、
時間の経過と共にその暑さが盛んになる陽の刻と、穏かになる陰の刻が混在します。

言いかえると、一年・一日における陰陽の変化には
①陰中の陽、②陰中の陰、③陽中の陽、④陽中の陰の4つが存在します。
陰中の陽とは「陰が満ちること」、
陰中の陰とは「陰が陰(かげ)ること」をそれぞれ表します。
ちなみに季節の上では、
暑さが終息していく「秋の始まり頃」は「陽中の陰(≒陽が陰る頃)」、
肌寒さを感じる機会が増える「秋の終り頃」は「陰中の陽(≒陰が深まる頃)」
にそれぞれ該当します。

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秋の体調は、この「陽中の陰」、「陰中の陽」と深く関わっている訳ですが、
その中で特に気をつけたいのが、その変化が急激に(あるいは突発的に)起きる場合です。
例えば、暖かい日が続く中で、不意に涼しい日がやってくる。これこそ陽中の陰。
涼しい日が続く中で、不意に肌寒い日がやってくる。これこそ陰中の陽です。

また、「陽中の陰」、「陰中の陽」のときに、
それに相応しくない生活を過ごすことも、体調を乱す原因になります。
暑さが陰る頃(=陽中の陰)には、活発さを控え気味にした生活を、
涼しさが高まる頃(=陰中の陽)には、抵抗力や基礎代謝などを整える生活を
それぞれ過ごすことが大切です。

漢方薬の面では、陽中の陰に適した漢方薬には、
例えば、穏やかな発汗を促す桂枝湯や気鬱を治す半夏厚朴湯、香蘇散、
暑さで消耗した体力・栄養の回復を促す四物湯に、
対して、陰中の陽に適した漢方薬には、
体を温める五積散や血行を改善する当帰芍薬散などに一服の価値があります。



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