初夏に香り豊かな白い花を咲かせていたクチナシが、11~12月になると結実します。細長い緑色の実が熟し大きく膨らんできます。生薬「サンシシ・山梔子」の原植物、クチナシの実を乾燥して作ります。
しかし摘み取ってただ乾燥させれば良いわけではありません。摘み取って直ぐに湯通しをしなければいけません。
摘み取って単に乾燥するといつまでも乾かず、次第に黒くなって摘むと「グチャ」と汚くつぶれてしまうようになります。そこをぐっと我慢して春になる頃までほしておいても最後にはカビてしまいます。しかし湯通し、即ち茹でると実の中にあるデンプンが糊化して数日で上手く乾燥してくれます。
またこの湯通し、乾燥にも色々とノウハウがあるようで問屋さんから購入した山梔子と比べると見た目が悪く、外側が真っ黒に見えたり形が歪になっていたりとか栃本天海堂さんに持ち込んでも『商品にはなりまへん!』と突っ返されそうな物が出来上がります。
しかし山梔子としては充分に通用しますし、この自家製山梔子もキレイな黄色がでます。
正月の栗きんとんには欠かせない山梔子のお話でした。