70歳代の女性。最初に長全堂薬局にお越しになられたのは平成21年の春のことでした。動悸がして辛いとのこと。しばらくは動悸に対応する漢方薬を服用して頂いていましたが、なかなかすっきりと動悸を止めることができず悩んでいました。何度か漢方相談するうちに判明したのはお姑さんの介護に疲れてしまっていたこと。すなわち心身ともに疲れ果ててしまったのが原因で動悸がが止まらなくなったのでした。最終的には牛黄配合製剤を服用することで動悸は治まり、そのうちお姑さんを見送ることになり動悸はしなくなりました。
その後介護疲れもあり膝の痛みに悩まされるようになったので、桂枝加朮附湯や疎経活血湯、独活寄生丸などを服用してもらいましたが、すっきりと良くならず困っていました。そこで今一度考え直し、「介護疲れ(数年にわたる)に起因する腎陽不足」が主たる原因と判断し、それに対応する漢方薬に変更したところ2週間で痛みが軽減しました。更に驚いたのはご本人の口から『頭がスッキリして気持が大変良い!』と晴れやかな表情でお話しされたのです。3年前からお付き合いのある方ですが、こんな晴れやかな表情でお話しされてのは初めてでした。お話しを承る私もとても気持ちが良くなったのは言うまでもありません。漢方相談を生業としている者にとって一番の”心のご馳走”です。