就学前の男の子。普段から痒いのか鼻の下をしょっちゅう擦る。その対策として荊防敗毒散を常用してもらい、擦ることもなくなりお母さんは安心されていました。この子が最近イライラすることが多く、鼻の下を頻繁にこするようになって心配とお母さんが相談されてきました。
最初は痒みが原因と疑いこれを抑制する目的で清熱剤を加える方向で考えていましたが、その子の皮膚には赤くなったりカサカサといった痒み・炎症反応の兆候がみえません。そこでよくよく考えてみた結果、鼻の下を頻繁に擦るのは気の上衝(要するにのぼせ)だととらえてみました。そして気の上衝の背景に季節が大きく影響しているのではないか、すなわち春=肝という五行説理論から、肝気鬱滞が主な原因と判断しました。
これが的中。肝気鬱滞を解決するため疎肝作用に優れる方剤を加え荊防敗毒散とのバランスを考えて服用したいただき1週間で目に見えて鼻の下を擦ることが減り、イライラすることもなくなったとのことでした。
まだまだ寒波がやってくるこの季節にすでに春の兆しがあるのです。お母さんは相談の時に気の上衝・肝気鬱滞・春など説明したところ「そういえば庭の桜、まだまだ硬いですが蕾がしっかりついていました。春の兆しなんですね」と。
人間も自然界の一部であること再認識した次第。