《主訴》両遺伝性視神経萎縮(レーベル病)小脳・脳幹萎縮
高校2年より視力、視野が障害され、高校3年受験勉強よりさらに悪化
視力右0.1左0.02 めまいをともなうことあり
《愁訴》神経を使うと腹痛から下痢しやすい(肝脾不和)
普段から便秘することはなく、軟便下痢が多い。(脾虚)
軟便も残便感を覚えることがあり。(気滞偏重)
腹脹満は時々あるもほとんど自覚なし(それほどの裏熱はない)
冷えを自覚しやすい
鼻炎(肥厚性)あり
【舌】淡紫絳舌→営分有熱・血津不足・血液不暢
裂紋舌(陰血耗傷)
舌縁側(肝区)の横裂3溝あり(一部裂中充血)→肝陰虚が進んでいて裂紋溝が一部充血 から、陰虚による虚火があり
舌苔淡(微)黄灰膩苔満布苔裂あり→気虚浮熱津虚で一部化燥
舌裏静脈鬱血(瘀斑で黯)も細網脈は鮮紅色 →瘀血が阻滞し淤熱あり
【腹】胸脇苦満(少陽経気不利)胃内停水(中陽不振で停飲あり)
腹部太陰脾経絡緊張(肝脾不和)左少腹抵抗(厥陰瘀血) 臍下軟弱(腎虚)
右脇下硬痛(肝気鬱熱)
【脈】右寸関緩関脈浮滑緩尺↓ 浮滑で痰熱滑緩で内熱
左関脈浮緩渋寸?関弦やや渋尺細渋 浮緩で風湿緩渋で血少弦渋で気滞瘀血
中医学では視神経萎縮は「落光」といい、多くは気血不足、あるいは肝腎不足によるものとされている。
患者も舌裂紋があり、舌縁の肝区の横裂があり、肝陰虚が進んでいる状況と思われる。
これらは内傷七情からの肝脾不和からの軟便下痢による陰傷と高校受験による夜間の腎陰消耗などの労熱により進行する因子を助長させたと思われる。それらは肝陰補充の不足に至り、肝陽が有余となり、それが肝陰を耗傷するという悪循環を経てきている印象がある。
舌診や脈滑緩から気虚浮熱及び内熱があり、肝は素問六節論の“肝は罷極之本"から、罷は疲に通じることから肝陰血不足は、この人の場合は内傷七情によってすぐ鬱火になりやすく、陰血耗傷から、肝経経脈不暢となり、瘀血鬱熱となってきているようです。
弁証 瘀滞肝竅 脾虚肝乗 肝脾不和 肝腎陰虧
治方 補養肝腎 平肝明目 補脾疏肝
めまいを伴うレーベル病の臨床一題
命門堂漢方薬局 神戸店 (兵庫県神戸市東灘区)
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更新日: 2016/05/06 |