完治例
415 30歳代 女性 (過敏性腸症候群 腹鳴型)
この方は一風変わった漢方の飲み方をした。過敏性腸症候群の漢方相談を受けた時に、何年の何月まで漢方薬を飲むと決めていたのだ。治っても治らなくてもと言う条件だった。その期限も意外と長く、こちらとしては助かるが、当然ずいぶんと前に日常生活に支障はなくなっていた。それでも約束通り期限まで飲んでくれた。
5年ぶりにお子さんの相談で電話をくれた。その時に開口一番、元気で幸せに暮らしていると報告してくれ「生きてこれたのは先生のおかげ」と言ってくれた。電話で何十回も話をしているのに、こんな言葉が出るほど苦しんでいたとは気が付かなかった。まるで平生通り優しさや素朴さが伝わってくるかのような話しぶりだったので。
若い人はそれこそ元気で幸せに過ごす条件はそろっている。世の風潮や金持ち優遇の政治がそれを妨げているだけだ。
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更新日: 2021/06/20 |
開店準備をしている時に妻が2階から降りてきて「今日は忙しくなるかもしれない」と言った。田舎の薬局でそんな日はないのだが、理由があった。NHKの朝の番組で、コロナの後遺症に漢方薬がいいと言っていたらしい。
今では日常茶飯事すぎて、マスコミで健康情報を取り上げられても、視聴者はかつてほど狂騒曲を演じなくなったが、まだまだその手の人は多く生き残っていて、飽きられた役を何度も演じる。 昼過ぎにまさにその役者と思しき人が来店した。軽トラックを運転してきた老人が「幼い時からお腹が弱くて下痢ばかりする」と訴えた。「昔から体が弱いんです。母親に似とるんじゃ」を何回も繰り返す。当然僕はそこから問診を始める。キーワードは「幼いころからずっと」「下痢ばかりする」この二つだ。 いつも通り問診を重ねていって分かったことがある。下痢は1週間に一度。水に近い。出ればすっとする。いつもは正露丸で痛みを止めている。病院には普段かかっていない。いつ行ったかも記憶がないくらい昔に行ったきり。当然病院の薬は何も飲んでいない。皮膚は薄くなってしわだらけだが、腕は太い。がっちりした体形に見える。「どこかお腹以外に体調で心配なところがある?」と尋ねると、どこもないと答える。軽トラックで峠を越えてやってきたが、御年90歳。 これをもって「幼い時から体が弱い」などと言えない。むしろ滅茶苦茶元気。あやかりたいくらいだ。下痢は消化器系の安全弁として起こっているのだから安心してとお願いした。「お腹の中にためておいてはいけない悪いものや、悪くはないけれど溜めすぎのものを1週間に一度清掃車が回ってきて捨てているんじゃ」と言って元気で長生きな人の特徴を伝えた。そこで得意のリップサービスを一つ追加「天皇陛下より元気じゃ!」 いい笑顔をして帰って行った。 |
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更新日: 2021/06/18 |