70歳代 女性
この女性は、眠れないからと言って病院で睡眠薬を処方してもらっている。処方箋を持って来た時に「眠れる?」と尋ねたら、「あの薬効かんよ」」と答えた。睡眠薬を飲んで寝れないというのはあまりないから「良く動いて、疲れている?」と尋ねると「1日中座椅子にもたれて、ボケーとテレビを見ているかゲームをしている」と答えた。
テレビを見てゲームをして?何歳の方か、昔ならどのくらいの年齢を思い浮かべるだろう。テレビは年齢を問わないが、ゲームをするのは若者の特権のようだった。だから10代?20代?せめて30代まで?
ところがこの女性は、75歳だ。75歳にしてゲーム?僕はゲームをほとんどやったことがないので全く分からないが、まさか次から次に襲って来得る敵を倒すようなやつ?
テレビとゲームだけで日が経ってしまうのだから、よほど面白いのだろうが、その間動いているのは目と指先くらいなもの。それでは疲れもしないだろう。ウォーキングすらしないというのだから、肉体的な疲労はほとんどない。
最近僕は不眠を訴える人には「ぶっ倒れるくらい働いたら」と言うことが多い。疲れもしないのに、睡眠などそんなに必要なわけがない。テレビとゲームではおそらく脳もほとんど疲れていないから「寝ずに起きときゃあええが!」と言うと本人も納得がいったのか「そりゃまあ、そうじゃな」と言いながら帰って行った。
ところが恐らく彼女は今日も睡眠薬が効かない効かないと思いながら、寝れないのだろう。日本人の多くは「眠れないかもしれない病」で、朝から眠れないことを心配する人が多い。睡眠を必要としないような生活ぶりで、睡眠薬だけ恋しくなる。なんていびつだろうと思うが、いびつをいびつと思わせないくらいの洗脳を、企業はやっている。これは健康面だけでなくあらゆる分野で進行中だ。判断基準を「自然」に置くと、怪しげな影がいとも簡単に透けて見えるのだが、判断基準までお仕着せだから、奇をてらったネーミングにさへ惑わされたりする。
[ カテゴリー » Topics ]
40歳代 女性 (過敏性腸症候群 腹痛下痢型)
昨日の夜から漢方を飲んでみました。 今日の外来では腹痛ありませんでした! 引き続き飲んでみます。 ありがとうございます。 |
ツイート |
更新日: 2024/04/10 |
90歳代 男性
昨年末、突如来られて、逆流性食道炎の漢方薬が欲しいと言われた。症状を聞いてお作りしたのだが、そしてお作りした処方やグラム数を記録しておきたいと言ったのだが苗字を教えてくださっただけで、名前や住所や電話番号は教えていただけなかった。しょうがないからカルテには名前だけ書き、住所は勝手に瀬戸内市と書いた。90歳で車を運転して来れるのだから遠方からではないと言う想像で瀬戸内市にしただけの話だ。 最初の2週間でとても良く効いて、漢方薬の評価を上げてくれた。当初僕が誰が飲んでもいいような箱入りの漢方薬を出すと思ったのだろう、手作りの漢方薬を評価してくれて、自分が引退した医者で、ランソプラゾールみたいな薬を飲みたくないと言われた。現役の時には患者さんに処方していたが、何らかの理由(僕にはわかるが)でご自分は飲みたくないらしい。以来ほとんど2週間毎に来られてずっと順調みたいで、少し漢方薬に興味を持たれたのか、成分について質問され、僕がどうして漢方薬を始めたか興味深く聞かれたりした。そして昨日来られた時に「患者に合わせて作ってもらえるのは有難い」と言われ、帰りがけには「お世話になりました」と言って帰られた。 恐らく何十年その逆の立場で、多くの患者さんに頭を下げられて過ごしてきたのだと思うが、穏やかに老いて、口慣れない言葉も自然に出る。所詮僕など田舎の薬剤師だから、恐れ多いが「老いてはかくありたい」と思わせてくれる。 |
ツイート |
更新日: 2024/04/09 |