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イシダならで輪 健康通心
令和3年 1月号

特集  うつ 心の落ち込み
 不安な時代だからこそ知っておきたいこと。


うつは心の免疫力が低下している状態です。コロナ禍では特に平穏な日常生活が、いかに大切であったかを教えてくれます。うつになると、本当につらく早く抜け出したい逃げ出したい忘れたいと思います。
けれど残念ながらうつを瞬時に消し去る魔法はありません。
うつはただの喪失ではなく、その人にとってもとても大事なものを失ったということを脳が教えてくれています。
私がハガキでよくご紹介する絵手紙に星野富弘さんの詩があります。彼は中学の体育教師をしていた時に体操の見本を生徒に教えているときに頚髄損傷で首から下は全く動かず、筆を口にくわえて詩、絵を描いています。その詩にこんな一篇があります。

痛みを感じるのは、生きているから
悩みがあるのは、生きているから
傷つくのは、生きているから
私は今かなり生きているぞと。


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愛する大切な人を亡くした時、現実のその人は、その方は、当然もういません。なのに、自分の心の中にその人を手放さずに抱え込んで、本当は失ったのに失っていないかのように、現実から逃げたままでいると、それが長くうつに苦しむことにつながります。
亡くなったという事実を悲しんで泣いて、受け入れていく、つまり「喪に服す」という“作業”ができた時に、人は、うつから這い出せるのです。亡くなった大切な人にこころのなかで「さようなら」が言えた時、不思議なことですが、その人が、姿を変えてこころに生き返ってきます。そうすれば亡くなった人のことを“すなお”に思い出せるようになり人に話せるようにもなります。

うつの先には成長が待っています。うつは成長に通じる扉なのです。うつな気分を恐れてうつに向かい合うことから逃げ続けている人は心の成長ができません。現実を直視することは、つらいものです。ですから扉を開けるときは安全な誰かに手伝ってもらいましょう。そうして誰かの力を助けを借りて、うつから抜け出すことができたなら今度は、あなたがうつで苦しんでいる人の助けになってあげて欲しいと思います。
自分がしてもらったように、まずはその人の話をただ黙って聞いてあげて下さい。(コロナ禍にめげることなく前向きに考えることが大切です)
<国立精神、神経医療研究センター認知行動療法センター長
 堀越勝著「感情のみかた」より抜粋>

堀越先生とは線維筋痛症学会(大阪千里)にて、認知行動療法の応用である患者さんとの対話ケアについて学ばせていただきました。その会場で私の横に坐って一緒にチームを組んだのがなんと大学の教授でした。(心理学)
わざわざ、堀越先生の話を聞きにこられ、その探求心に人生いつまでも“勉強”の大切さを感じることができた一日でした。

次回 血圧を最速で下げ老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかたについて特集します。コロナ禍に皆様に「あきられるほど」様々な情報を通信、ハガキで送らさせていただいています(笑)ご容赦いただければ幸いです。今年もよろしくお願い致します。