ジメジメによる不快感や諸症状、それは湿邪(しつじゃ)という悪者が引き起こしていると見なします。適切な湿度は潤いとも呼べるのですが、害をなすほどの湿度は悪者です。カタツムリにとっては潤いでも、人にとっては悪者というわけです。
ここからが漢方の目線の面白いところです。体の部位で湿邪の影響をもっとも受けやすいのが胃腸と言われています。梅雨から夏にかけてのジメジメした環境では、知らないうちに胃腸は弱くなってしまうものなのです。そしてなんと、胃腸が弱るとクヨクヨしたり、やる気がわかなくなったり、また、寝ても寝ても眠いなどの症状が現れると言われています。なんだか心当たりがありませんか?
梅雨に入ってから気持ちが沈んだり活動的になれない日が多くなったと感じたら、胃腸のレスキューをしてあげましょう。
胃腸のレスキューには3つのポイントがあります。
一つ目は温度。体温より低い温度の飲食は、胃腸の働きを妨げます。氷入りの飲み物などは、悪者である邪気を体に招き入れると考えましょう。冷えが体全体に及ぶと、湿邪もそれに乗って体の奥深くまで入り込み、被害は甚大になります。むくみや頭痛を引き起こす前に、冷たい飲食をストップしましょう。
二つ目は胃腸の休息時間。頭で空腹を感じることと実際に空腹であることは、実は同じではありません。ご飯の時間だから食べる、というよりは、ご飯の時間にお腹が空くように過ごすことが大事です。清々しい空腹を感じてご飯が食べられるサイクルが理想的です。お腹が空いていなければ、一食抜いてみると体が楽になることもありますよ。
三つ目は食べ物の性質です。これからの季節なら、大葉、茗荷、パクチー、枝豆、そら豆など、香りのいいものや旬のものを選ぶと胃腸の助けになります。また、エネルギー源としてお米やジャガイモもおすすめです。一方、脂っこいものやお砂糖たっぷりの甘いものは控えめに。空腹を感じてイライラしやすい、ジメジメ期に体調不良を感じる、などに心当たりがあれば、特にこうしたものはお休みしましょう。回復して元気になったら、美味しくいただいてください。
体が湿邪に侵されているサインは気分の下降や眠気の他にも、むくむ、舌の縁にギザギザと歯の痕がつく、舌苔が厚くなるなどいくつかあります。軟便や頭痛、吐き気などの症状は湿邪が旺盛な証拠ですので、まずは胃腸の調子をたて直してください。
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