命門堂 漢方薬局 の アレルギー性鼻炎 (花粉症) の考え方
春季の アレルギー性鼻炎(花粉症)と結膜炎の漢方対策(エキス)を中心に考察
花粉症は反応が即時的で、I型アレルギーに分類される。症状は主に鼻と眼に現れ、アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が同時に発病した状になる。花粉症の花粉は、平均径が20ミクロンと大きく、ほとんどが上気道粘膜面に捕捉され、下気道までは入り込むことは少ない。そのために、咳や喘息を起こすことは少ない。症状的には以下に集約される。鼻症状クシャミ水溶性鼻汁鼻閉(三大症状)鼻孔周辺の痒み鼻閉からの約40%の患者は口呼吸を必要として口呼吸による口腔咽頭の乾燥、 咽頭炎の併発、睡眠障害、精神作業障害、いびき、頭痛などの二次的障害をおこし、生活は強く支障される。鼻鏡検査では、鼻粘膜の発赤、腫張を認める(ハウスダストアレルギーでは蒼白)眼症状痒み流涙羞明眼球・眼瞼結膜の充血、咽頭症状痒み痛み咽喉の発赤、咳喘息症状、顔面外耳道の痒み感冒症状頭痛・寒気・熱感・全身倦怠、消化器症状では胃部膨満感や腹痛軟便季節によって花粉が飛散するが何故春の花粉症が重いのか?
【外因】スギ・ヒノキ花粉は春の風温の邪(咽喉痛・咳嗽・クシャミ・上気)の要素をもっているが、花粉症の患者は特に風温の温病は上から感受する特徴としての右寸(肺経)が浮いていることはないので発熱することはまれなので内因に誘発されている要素が強いと思われる。よって邪気では無いゆえに傷寒温病のように伝経して内部侵入することはない。
【内因】現代人の有酸素不足で秋からの
肺気不足(運動不足)から粛降が冬の腎気に至らず、腎を根とする三焦に湿中伏火となっていると思われる。元来の夏(心火)の汗から冬(腎水)の小便へによって心の血液の供給する相手として安静時における腎臓は20%近く心臓からの血液供給を受け内蔵では最大であるが、腎糸球体毛細血管は有窓性でありその透過性が高い。またその心臓の末端枝である細動脈と細静脈を繋ぐ毛細血管の血流促進を促すのは心肺能力にかかわるが、その微小循環の血液量調整の中心が中医学的には疏泄と臓血の肝(胆)であるが、
運動不足からの肺気不足による微小循環抵抗が高脂肪・高蛋白・高血糖などの代謝不足で血液粘性が強く微小循環での抵抗負荷から潜在的なエンタルピー(相火)鬱熱となって夏に生じた余剰な濁火を汗から小便へ清火できず、腎は清精を蓄えることができず、さらに腎精不足は微小循環を支える結合組織や細胞内水の枯渇をきたし、そのためにさらなる微小循環の末端枝における血管抵抗が生じて舌では紫・紅を生じている人が多いように思う。肺は発生学的にも前腸から発生しており、肺経も一致しており、過剰な蛋白や脂肪や糖質の摂取と代謝不足から膈膜下に余剰な相火鬱熱の存在が三焦空間に湿中伏火として存在していると思われる。ただ冬は冬寒の水気で寒粛の空気が冷たく清気によって膈膜上からの押さえが効いて粛降堅固されて抑制が効いているが、春木の升発の時期になると膈膜下の肝相火が膈膜上の浮発と同時に花粉によって暴発(暴発的な問題は肝胆の特に胆汁の押さえ中正が効かず免疫異常も元来の中正調整役の胆が、中正の官としての胆汁の苦みで12臓腑を従わせていると素問にあることからも不十分→竜胆を用いる)させられ、肺金が肝火に侮られてクシャミの連発から鼻炎をさらに肝竅の眼に暴眼となって羞明が生じると思われる。よって肺気が盛んとした運動をした後などは鼻炎の鼻閉は一時期解消されている。後で論じるようにこの肺気不足として有効生薬のひとつが石膏である。石膏は白くて濁りがなく肺金の性質の鉱物であり、辛微寒で一升一降(升<降)の性質がある。辛で肺気(五味では肺は辛)を補い清降でもって気分粘膜に溢れた熱飲を取り除く(白虎湯の君薬)。
【金匱要略・驚悸吐衄下血胸満淤血病脈】の17条に
「心気不足、吐血、衄血、瀉心湯主之」が登場して心気不足に苦寒の大黄(三黄瀉心湯)を用いて苦で(五味では心の苦)心気を補って心気を安定させている。よって石膏もその意味あいから、肺気を補って肺気を安定させている。
よって一般に言う小青龍湯や麻黄附子細辛湯は相火を煽り、経験上から咽喉乾燥や衄血を煽ることがあるので要注意。
アレルギー性鼻炎の水様性鼻汁は、必ずしも寒性を意味せず、炎症からの細動脈の血流増加(充血)から細静脈側を中心とした血管透過性が高まり血漿成分が組織間質に浸出した結果浮腫が起こり血管内の赤血球密度や粘稠度が高くなって赤血球が血管内に充満する(鬱滞)これらは先程述べた微小循環抵抗によるエンタルピー増大(相火鬱熱)と相似要因であり、増幅させる内因となると思われる。
治方
風熱が弱い花粉症 五虎湯+川芎茶調散
風熱が強い花粉症で目の充血が強い 五虎湯+清上防風湯 又は竜胆瀉肝湯 又は馬鞭草
便秘を伴う 防風通聖散 (石膏・芒硝・滑石の 三石で三焦実熱を蕩滌)
肺気虚の場合 玉屏風散で 補中益気湯+苓甘姜味辛夏仁湯
臨床1題
喘息をともなった 花粉症(アレルギー性鼻炎) 命門堂 漢方薬局の考え方
<主訴>花粉症(アレルギー性鼻炎)と 気管支喘息(吸入)
◎この時期頭部の熱感。 下肢の冷え。2年前よりアレルギー喘息
◎3年前、肺に陰影あり石灰化3箇所
◎酒ビールを飲まないと便秘
◎お酒多い。 食欲一日一回 夜中心 朝は食欲不振
◎睡眠 朝方は 早く目覚めてうつらうつら二度寝
◎この8.9年で、体重40キロ増える 56→95kg
<面>上気赤面
<腹>満実<舌>前半赤で上焦鬱熱 根黄膩苔 湿熱下焦
<脈>右 弦滑 左滑
風熱乗肺の鼻炎と喘息と考える。体重が増えたことと運動をしない夜型の生活による肝火犯肺金で、上焦鬱熱に根黄膩苔で宿食や湿熱により三焦実熱で上焦肺の相当負担がかかっている。漢方服用する前に生活習慣を改善するようにお話する。