さて「病院で薬(西洋薬でも漢方薬でも)をもらっているけど求めているものと違う気がする」というのは、漢方相談をしていると頻繁に耳にするフレーズです。その感覚は当たり! なぜなら病院は病気を治すところであって、健康になりたいというニーズは専門外だからです。病気を治すと言ったとき、話題の焦点は“病気”です。なぜ血圧が上がったのか、どうして○○の数値が××したのか、その答えはご本人の身体の中にしかありません。数値だけをどうにかする薬をいくら飲んでも飲みやめれば元の木阿弥、求めている身体はできあがってこないものです。そして漢方薬をのんだけど効かなかったというのも、さもありなん。この“病気”だけを見るフィールドでいくら漢方薬を用いても、他の西洋薬と同じように扱われることがほとんど。「血圧を下げるため」とか「○○の数値を××するため」といった具合です。効能効果からお薬を選択するしかない場面では致し方ないのかもしれませんが、たとえ漢方薬をのんでいても「求めているものと違う気がする」の違和感はこうして生まれてしまいます。これでは漢方薬の真価を発揮するのは難しいのです。
かつては起こらなかった不調に悩まされたり、様々な数値が異常を示すのは、身体の中のどこかがキャパオーバーであることを知らせています。キャパオーバーになったのはなぜか、どこをフォローしてあげると本来の力(健康)を取り戻せるのか、そこにアプローチしていくのが漢方であり、漢方薬の正しい選び方の道筋になります。人の身体はそれぞれですから、この症状にはこの漢方薬を使えばいい、と一概には言えないものです。
ご来店される方々に、私たちはちょっと変な(?)質問をします。便通は? 睡眠は? お食事はどんなものをどんなタイミングで? などなど。相談したいお悩みの症状とは一見無関係に思える内容ですが、上述したキャパオーバーのポイントを一生懸命探っているんです。自分の不調と向き合われている方は説明も上手です。キャパオーバーポイントがわかれば、体質に合った漢方薬はもちろん、日頃どんなことに気を付けて過ごせばいいかもお伝えすることができます。向き合った結果、対策も自然と見えた! なんていうのが理想です。こちらの記事を読んでそうした方がいらっしゃればうれしいです。向き合ったけど対策がわからない、そもそも向き合い方がわからないというときは、どうぞ専門家である私たちを頼ってくださいね。
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書店に無い時は、直接FAXでお申し込み下さい。 著者 小池 加能