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PMS(月経前症候群)は

PMSは強度の差こそありますが女性の9割近くあると言われます。
多くの女性が悩まされるPMS。
PMS(Premenstrual Syndrome)とは、月経1~2週間前に起こる様々な不快な症状のことです。月経前緊張症や、月経前症候群といいます。月経が始まって自然に症状が楽になる人が大半ですが、生理開始後しばらくしてから消える人、生理期間中も症状が続く人、また、生理痛などの月経困難症との両方があり、不快症状がずっと消えない人もいます。
PMSの症状の中でも精神的な症状が重く生活に支障が出る症状をPMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder)月経前不快気分障害と診断される人もいます。


PMSの原因

PMSの原因とメカニズムははっきりとしたことは分かっていませんが、排卵から月経までの女性ホルモンのバランスが関わっていると言われています。
排卵を終えると卵胞ホルモン(エストロゲン)に変って、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌がさかんになり、妊娠しなかった時、月経がおこり、黄体ホルモンの分泌が急に減り、ふたたび卵胞ホルモンの分泌が増えてきます。
PMSは、排卵後の黄体期におこり、この黄体ホルモンには水分を貯留し体温を上げる作用があるので、このホルモンのバランスの失調が影響していると考えられ、また排卵から月経までは、女性ホルモンの分泌のバランスが大きく変化するため、さまざまな症状が起ってくるのではないかと考えられています。


症状

症状は人それぞれ様々なものがあり、体にあらわれる症状と心に現われる症状があります。

(体にあらわれる症状)
下腹部膨満感・下腹痛・便秘・下痢・悪心・頭痛・乳房痛・乳房が張る・過食・食欲不振・むくみ・めまい・ニキビ・動悸・ほてり・食欲亢進など
(精神的症状)
イライラ・うつ症状・緊張・不安・集中力の低下・無気力・疲労・不眠・涙もろい・孤独感・一日中ねむい

PMSと漢方薬

漢方の考え方に、人の体は気血水の3つで構成されており、気血水のバランスが整っていて健康――という考え方があります。
PMSは気血水すべてのバランスが乱れている状態、または複合的に起こっていると考えられています。
「気(エネルギーを巡らす力)」は、気の異常で精神メンタル面に症状があらわれ、「血」「お血」は血液循環が滞っている状態で、頭痛、肩こり、腹部膨満などに現れます。「水」は「水滞」で水のアンバランスで起こる症状で、むくみやめまいなどを生じます。
排卵期から生理期までは、この気血水のバランスが悪くなりやすいのです。


  症状 対応処方 一部例
気の異常 イライラ、抑うつ症状、不安・集中力低下、無気力など 抑肝散
加味逍遥散
血の異常 頭痛、肩こり、下腹痛、膨滞感など 桂枝茯苓丸
婦人宝
水の異常 むくみ、めまい、吐き気など 当帰芍薬散
防已黄耆湯

漢方においてPMSは「肝(かん)」の機能失調です。漢方で言う肝とは全身の「気」「血」などの流れのバランスを調節している場所のこと。肝の機能が低下すると「気」「血」の流れが悪くなります。また「気」の流れが悪くなると巡らす力が弱くなり「血」「水」のめぐりも悪くなります。
このため、漢方の処方も「肝」の処方を中心に使います。
加味逍遥散や、抑肝散、当帰芍薬散など他にも色々な「肝」の漢方薬を使います。

PMSの症状は個人差があり、多彩なため、漢方薬も組み合わせて使ったり、順序良く処方を使ったり、また個々に様々な角度の漢方薬を使っていきます。必ず漢方薬の専門家に御相談下さい。


店主からヒトコト

PMSの時は、睡眠・休息をたっぷりとり、ハーブティーやゆっくりお風呂につかるなど、リラックスする時間を取るよう工夫しましょう。


先生の紹介

プロフィール すこやか堂薬局 佐野 清美先生すこやか堂薬局
佐野 清美先生

コメント

  • すこやか堂は武蔵小杉の漢方薬専門相談薬局です。
    皆様の健康づくりのお手伝いをさせて頂きたいと考えております。
  • “心身一如”と言うように心と体は互いに影響しあっており、心と体のどちらが調子が悪くても、体調をくずします。どんな事でもお話し下さい。
  • ゆったりした店内でじっくりお話しをお伺いしてお一人お一人に合った漢方薬をお選び、お作り致しております。
  • 本格的煎じ薬から、のみやすい錠・粉の漢方薬まで幅広くお取り扱いしております。養生法のアドバイスも行っております。御来店をお待ち申しております。

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