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 『病は気から』と言われるように、気の不足や気の巡りの悪化は、体内へ病邪(病気を引き起こす原因のこと)が進入しやすい状況を作り出してしまいます。
前回の今日の一言(7月25日)リンク でもお話したように、気にはいくつかの種類があり(宗気、営気、衛気、原気)、それぞれの気はからだへの作用が異なります。気は『概念』なので、目には見えません。ですから私の場合、からだの各部分の能力(体力とか、肌力とか、胃腸力)を発揮させるものと捉えています。ではその気は、どこからやってくるのでしょうか。生まれたときから持っているものなのでしょうか。それとも外界から取り入れるものなのでしょうか。
 気は生まれながら持っているものでもあり、生きていく中で外界から取り入れるものでもあります。前述の問の答えは両方とも正解です。生まれながらに持っている気(両親から受け継いだ気と考えられています)を先天の精に由来する気、生きていくうえで欠かせない飲食物から生成された気を後天の精に由来する気といいます。精とは気の材料のようなものです。また呼吸によって生み出される気もあり、清気と呼びます。
 気が不足すると、からだの気が不足していると考えると体力が不十分、つまり疲れやすくなります。また胃腸の気が不足していると、胃腸力が不十分、つまり食欲がないとか、食べたものがいつまでも胃に残っているとか、便秘がちなどの症状があらわれやすくなります。ただし、胃腸力がないと先ほどの後天の精に由来した気の生成も滞ってしまう為、気の不足に追い討ちをかける事にもなりかねません。
 どこかの偉人が『生きるとは食べる事』と言われたように、食べるという行為は本当は、それはもう私たちが考えている以上に、大変に重要なことなんです。

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 かぜは一年中いつでもひく可能性がある病気であり、原因ウィルスは一年を通して存在しています。『かぜをひいたかな?』と思ったら、迷わずに葛根湯を服用する方が意外と多いですが、夏の暑い季節にひいてしまうかぜに、葛根湯はあまり向いていません。この向き、不向きは原因ウィルスの性質によって判断できます。冬場のかぜを引き起こすウィルスは冬の低温・乾燥の環境を好んでいます。一方、夏場のかぜを引き起こすウィルスは夏の高温・多湿の環境を好んでいます。
 葛根湯はからだを温める漢方薬です。からだを温めると発汗が促され、邪(かぜを引き起こすとされているもの)を追い出すのにも有効です。しかし夏かぜの場合、季節的にも汗をかきやすいので、さらに葛根湯を服用して発汗を促すと、体力をいちじるしく消耗する恐れがあります。また夏風邪ではウィルスの性質上、温めることがかえって悪化させることにもなり得ますから、からだを温めすぎるのは適切ではありません。
 夏かぜには藿香正気散という処方がしばしば用いられます。藿香はからだにとりついた暑さや湿気を発散させる働きをもつ生薬です。また正気にはからだの冷えや湿気で乱れた気を正すという意味があります。藿香正気散は適度にからだを温めるとともに、湿気を発散させたり、胃の中に溜まってた水分を取り去る生薬が組み合わされており、胃腸に湿気が溜まりやすい夏場のかぜに向いている処方といえます。

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 民間薬は昔から民間で伝承されてきた薬のことです。その土地の風土に根ざした植物や動物、鉱物などの天然物を利用したものが多く、民間薬を用いた治療法は民間療法の一つとして考えられます。民間薬はその性質上、そもそもは科学的根拠(どこに効果があるか、どういう仕組みで効果が発揮されるのか)は解明されていないものが多いです。
 漢方薬は、東洋医学という分野で体系づけられた方剤のことです。方剤というのは生薬を、互いの効能を高める目的や、副作用を起こしにくくするなどの目的で複数組み合わせたもの、及びその組み合わせのことです。ある設計図に基づいて複数のパーツ(生薬)を組み合わせてできたものが漢方薬、というわけです。漢方薬は複数の有効成分が絡み合うことで相乗的、また抑制的にも働く仕組みになっているのが大きな特徴であり、民間薬や生薬を単独で用いるより薬効は大きいです。また服用した際にからだのどの部位に効くか、どの病気を治療するかというなどといった事も分析されています。
 具体的な例を挙げると、日本の代表的な民間薬にドクダミがあります。焙煎した葉を湿布代わりに、また茶葉として用いることで便秘にも効果があります。そしてこのドクダミを乾燥させたものは、十薬という生薬になります。十薬には緩下作用、利尿作用など、十種の薬効があるとされています。天然物をそのまま、または乾燥・異物の選別などの簡単な一次・二次加工によって得たものを生薬と呼びます。この天然物は民間薬として用いられている場合もありますが、そうでない場合もあります。そして漢方薬の五物解毒散という処方にはこの十薬が配合されています。
 特定の民間薬がかたちをかえ、生薬として用いられるあたり理解しにくいと感じますが、民間薬と生薬・漢方薬の発祥はかたや伝承、かたや学問と、そもそもの出だしが異なる点が最大の違いだと思います。

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 夏にオススメする飲み物。その①はビワの葉のお茶です。ビワは昔から利用が盛んな民間薬です。夏場はビワ茶を予防的に飲む習慣がありました。暴飲暴食・ストレス・冷え、その他さまざまな原因で『消化器官が弱ってしまうと、脾胃で十分な気を作れず、からだの元気が不足してしまう。その結果、気のエンジンとしての作用が弱り、血液や体液の輸送が滞ってしまう』のが、夏ばてや熱中症の正体です。ビワ茶は特に、摂り過ぎた水をさばいて(利水作用と言います)胃腸の調子を整える働きがあり、暑気あたりの予防に用いられます。
 夏にオススメする飲み物。その②は黒酢や果物酢など。いわゆるお酢は、酢酸菌による発酵をうけており、アミノ酸が豊富です。またあの独特な酸味の正体は、有機酸と呼ばれるもので、細胞のなかでエネルギーを生み出す代謝を向上させる働きがあります。このエネルギーはきのうお話した営気にあたると考えられますね。またこの酸味を体感することで、体内の分泌が盛んになり、唾液や胃酸・胃液の出も良くなります。ですからお酢は、エネルギーと消化器官の両面から、貴方のからだをサポートしてくれますよ。

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 気功という言葉の『功』には工夫とか技術とかいう意味があります。気功(この場合、気の鍛錬法という意味になると考えられますが)は文字通り、からだを巡る『気』によって免疫力、治癒力を高めて、健康のレベルを上げる健康法です。気功を続けると血液の流れが良くなるというのは、その効果の一端ですね。この気功に見られるように、気の流れと血液の流れは密接に関係しています。東洋医学では、気は血に対して優位な作用を持っていると考えられ、両者の関係を『気は血の師(すい)』と表現しています。
 気が足りない方は、疲れやすい、食が細い、動悸や息切れがする、風邪を引きやすいなどの症状を訴える場合が多いです。東洋医学でも『気』にはいろいろな種類があるとされており、それぞれ宗気、営気、衛気、原気と呼ばれます。特に営気というのは血液に含まれる栄養に富んだ気の概念です。また原気は元気ともいわれ、生命活動の原動力です。いわば車の燃料(営気)としても、エンジン(原気)としても働くということです。このような観点からすれば、気が足りない方が陥りやすい症状も、理解しやすいのではないでしょうか?


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