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(写真は、芍薬)

それは、高麗人参について調べているときのことです。高麗人参は皆様ご存知のとおり滋養強壮剤として有名で、薬局で売られているドリンク剤にも含まれます。昔はその形が人に似ていることから、不思議な力を持つ不老長寿の薬とも言われていました。その後、医学の研究が進み色々なことがわかってきました。糖尿病の方にインスリンを増やす働きや、貧血の方に血を増やす働き、老化を抑える働きなどです。

漢方薬の摩訶不思議
また、驚くことに、高血圧の方に血圧を下げる働きと低血圧の方に血圧を上げる働きがあり、気持ちを落ち着ける働きと興奮する働きを併せ持っていることが分かってきたのです。一つの薬用植物の中に相反する二つの働きを持つ成分があるのです。私たちが使っているお薬の中にはこんなことは有りえません。これが漢方薬の摩訶不思議の所以です。難しい話ですが高麗人参の成分の一つ「ジンセノシドRb群」が中枢神経を抑制させ、「ジンセノシドRg群」が中枢神経興奮させるのです。漢方医学はバランスの医学とも言われ、人を健康に導くために、高いものは下げ、低いものは丁度よく上げる、所謂「恒常性(こうじょうせい)」を働かせるのですが、そのときに、自動的に相反する成分を使い分けているのです。まるで今流行の人工知能に似ていませんか。
では、どの様な理由で使い分けているのでしょう。

生き物は環境によって変化する
 人は環境によって変化するものと言われています。親譲りの頑固な性格は変わらないが、人は人に良くも悪くも影響されるものです。このことを悩んでいる方もいますが、生命がもっている生きのびる手段かもしれません。先ほどの高麗人参のお話と同じで、一人の中に相反する二つの心があり、今の環境に応じて心が決まってきます。それを決定付けるのが、自分に置かれた立場なのです。漢方薬は基本的に複数の薬用植物から出来ています。多いものですと20種類以上のものまであります。その中には仲がよい相手や、気が合わない仲間がいます。そのペアを組む相手によって、働きが変わってくるのです。例えば、高麗人参は、乾姜とペアを組むと神経興奮に働き、石膏とペアを組むと神経抑制に働きます。
この考えを、医学論文として発表したのが、私たちの師匠、田畑隆一郎博士です。「二味の薬徴理論」と名づけました。
 

二足のわらじの真武湯
 お話の最後は、真武湯(しんぶとう)という漢方薬です。茯苓、朮、芍薬、生姜、附子の5種類から作られています。その効き目は相性が合うと絶大で、メニエール病、疲れ、体力がない方のかぜや、パーキンソン症候群、小脳疾患にも応用されます。
この漢方、高血圧症と低血圧症両方に使われます。西洋医学的には考えられない、同一処方で相反する働きをもつものです。理由は、その中の茯苓・朮のペアの働きが余分な水分を出すことにより血圧を下げたり、附子と生姜のペアの働きで体を温め新陳代謝を高め、低血圧の方の血圧を調節するのです。このことは、真武湯を使う人の体質によって、同じお薬なのに作用の中心が変化してくることです。例えば歴史の中で戦国時代は腕力が強いものが上に立ち、泰平の世では知恵が働くものが力を発揮することに似ています。

漢方薬は、複数の薬用植物の配合で出来ており、それぞれの植物には沢山の成分が入っています。それが、煎じ薬として煮詰まると互いに作用して新しい物質を作り出します。かなり複雑系となっていて現代医学を持ってしても分からないことだらけです。最先端の科学や技術は自然から学んでいるようですが、当に2千年の歴史ある漢方医学は隠された素晴らしい医学と感じています。
むつごろう薬局新聞 No175号より


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