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二階堂先生の「食べ物は薬」
ウコギ - ウコギ酒は不老長寿の薬用酒
- ウコギ
- 学名:Acanthopanax sieboldianus
- 科名:ウコギ科
- 英名:Siberian ginseng
- 別名:五加皮、ヒメウコギ、ムコギ
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中国原産で雌雄異株の落葉性低木で、古くから日本に渡来しており人家に食用、薬用として栽培されています。刺があるため生け垣などにも植えられていたものが、一部野生化して各地の山野にも普通に見られます。中国最古の薬物書「神農本草経」には上品として掲載されています。在来種のヤマウコギ Acanthopanax spinosus, エゾウコギ Acanthopanax senticosus, や中国原産のヒメウコギ Acanthopanax sieboldianus などを総称してウコギと呼ばれています。
幹は細く2~3mになり、しだれるようになって、刺を持った細い枝を叢生し、枝端から空中に根が出る気根を出す特性があります。
葉は互生しますが、短枝では束生します。3~5枚の小葉からなる掌状複葉で、葉縁には鈍鋸歯があり、厚く無毛の葉で香気と、かすかな苦味があります。
初夏に葉の腋から出た花柄に半球状の黄緑色をした小さな花を付け、球形の果実となり、熟すと黒くなります。
若葉を摘み米に炊き込んだり、茹でてから刻んで混ぜたり、塩味、だし汁などで味付けしたウコギ飯や、葉を茹でて乾燥したウコギ茶としても用いられます。また新芽は浸し物、味噌和えなどの和え物、天ぷらでも美味しく食べられます。これらは古くから強壮食とされてきました。
初春に根を掘り採り水洗後、皮を剥ぎ陽乾したものが生薬の五加皮(ごかひ)です。漢方処方の五皮飲(ごひいん)に配合され水腫や尿量減少に際し用いられます。また駆オ血、強壮薬としても配合されリウマチ、腰痛、下半身に作用する強壮、鎮痛薬とされます。
成分として特有の芳香成分の4-メトキシサリチルアルデヒドを含み、パルミチン酸、アラキン酸、リノール酸などのグリセリドからなる脂肪油が含まれています。五加皮の煎液は腰痛、冷え症、疲労、関節リウマチなどにも効果があるとされています。
ウコギ酒は五加皮に砂糖とホワイトリカーで作るものと、生薬の川キュウと当帰を加えた醸造酒も知られ、滋養強壮、冷え症によいとされます。さらに中国では五加皮の煎液に飯と麹を加えて醸造して作った五加皮酒は不老長寿の薬用酒として良く知られています。
エゾウコギについては旧ソ連や中国などで研究され、エリウトレサイドを有効成分として抗ストレス作用が証明され、自律神経失調症や不眠症にも著しい効果があるとされています。