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二階堂先生の「食べ物は薬」
アスパラガス(オランダキジカクシ) - 美肌効果や滋養強壮にアスパラガス
- オランダキジカクシ
- 学名:Asparagus officinalis
- 科名:ユリ科
- 英名:asparagus
- 別名:アスパラガス、マツバウド
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地中海東部原産の多年草で、古代エジプトの時代から食用とされ、江戸時代に長崎のオランダ人により伝えられて、現在では日本各地で栽培されている緑黄色野菜です。
地下の根茎から毎春出る茎は直立して叢生し、草丈1.5m位になり、マツ葉状の葉状茎の節の所に鱗片状の退化した葉がまばらに付き、成長するとキジが隠れるほど茂ることから付けられた和名です。
花は5~7月に茎の節から柄を出し黄白色の鐘形をした小花を下向きに付け、花後の雌株の果実は熟すと赤くなる球果となります。若い茎が伸びて多肉で太く軟らかいので食用とします。根は紡錘状にはならず、太い針金状に細根が出ます。土を被せたり、室で遮光栽培して作るホワイトアスパラと、遮光せず育てたグリーンアスパラがあります。茹でる、炒める、焼くなどしたり、またサラダなどとして食べますが、ホワイトアスパラの場合は外の皮が固いので皮を剥いてから茹でると良いでしょう。濡れ新聞紙に包み、立てて冷蔵庫に保存すると鮮度と味が維持できます。
食用とするアスパラガスにはこの植物から始めて見出された成分であるアスパラギン酸という旨味のアミノ酸と、アスパラギンという体内で酵素の働きによりアスパラギン酸に変化する成分を多く含有しています。アスパラギン酸はエネルギー代謝を促進して疲労回復を助けます。さらにタンパク質合成に関与し、皮膚の新陳代謝を促して美肌効果や滋養強壮の効果があると言われています。緑色のアスパラガスにはβ-カロテン、ビタミン類(A, B1, B2, C, E)、カルシウム、鉄、亜鉛、ニコチン酸などが多く、またタンパク質、アスパラギン酸、ルチンなども含まれています。このうちアスパラギン酸には体内の有害なアンモニアなどを利尿作用により排泄させたり、アスパラガスの穂先などに多く含まれているルチンと共に末梢血管拡張作用を示すことから動脈硬化を予防する働きがあります。ルチンはまたビタミンCと一緒になると抗酸化作用が強まるので、両成分を併せ持っているグリーンアスパラガスには強い抗酸化作用が期待できると言えます。
根茎を乾燥したものを煎じて飲み、利尿作用によって膀胱や肝臓疾患などに対して用います。また、小児の回虫駆除にも効果があるとされています。中国では石ちょう柏(せきちょうはく)と呼び、去痰、鎭咳の目的で用いています。成分としてはアスパラギン、コリン、サポニン等が知られています。
漢方で用いられる生薬の天門冬(てんもんどう)は同属のクサスギカズラAsparagus cochinchinensisの紡錘状をした貯蔵根を乾燥したものです。