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二階堂先生の「食べ物は薬」

エノキタケ - 野生と栽培品は似ても似つかないキノコで特有成分があります

エノキタケ
  • エノキタケ
  • 学名:Flammulina velutipes
  • 科名:キシメジ科
  • 和名:エノキタケ
  • 英名:winter mushroom
  • 別名:ナメタケ、ナメススキ、ユキノシタ、ナメコ

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野生のエノキタケ 野生のエノキタケ(裏側) 栽培のエノキタケ スーパーのエノキタケ スーパーのエノキタケ ナメ茸

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一般には北半球の温帯地域に広く分布していますが、原産地は特定されておりません。この属で知られている10種ほどのキノコの内、日本ではエノキタケだけが報告されています。エノキ、コナラ、ケヤキなど、各種の落葉広葉樹の切り株の上や、枯れた又はその周辺の地上に群生するキノコで、特に枯れたエノキの根元によく見られることからこの名が付けられたようです。

自然にみられる野生のエノキタケの傘は直径2~6cm、はじめは球形をしており、その後平らに開き、表面にぬめりがあって、その中央部分は暗褐色をしています。白色~クリーム色をしたひだは、後に褐色がかってきます。太くて短い茎は中空で、短毛に覆われており全体に独特な鉄さびの様な臭いが感じられますが、熱を加えるとこの臭いは無くなります。

市場で見られるものはほとんどが人工培養で育てられた栽培品で、野生のものとは似ても似つかないものです。傘は小さくて色も薄く、茎は細長くもやしのようになっており、野生品とは大きさ、色、形などが全く違っています。エノキタケの栽培は古く江戸時代からすでに原木栽培という方法で行われ、食用キノコとして作られていたようです。1923年に長野県松代町でおがくずなどを用いた菌床栽培の技術が始められ、その後1931年頃からは瓶栽培が考案されて大量生産されるようになり、現在ではもっとも多く生産されるキノコとされています。

栽培種と野生種とを交配して栽培された「味エノキ」と呼ばれるものは茶色をしており、歯ごたえの良いものが市場に見られます。

野生品は栽培品に比べて大型で味も違い、歯ごたえや風味もよく、熱を加えるとぬめりが出るので野生品の方が好まれており、鍋物、煮物、炒め物や和え物として使われています。栽培品も同様に鍋物、煮物、炒め物や汁の実として食べられています。

生のものには溶血作用があるフラムトキシンと呼ばれるタンパク質が含有されているので加熱調理をすることが必要です。一方でキノコに特有の食物繊維の1種であるキノコキトサンはエノキタケに多く含まれており、このエノキタケ由来のキノコキトサンには体重の顕著な減少や、血中脂質の改善などについての研究報告があります。またエノキタケだけに含有されているエノキタケリノール酸は内臓脂肪を減少させる働きがあることが報告されており、乾燥して水分の抜けた状態で汁の実や炒め物、鍋物などに使うことが紹介されています。

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