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二階堂先生の「食べ物は薬」
アカザ - 民間薬として用いられ、癖のない山菜、軽く丈夫な杖とされます
- アカザ
- 学名:Chenopodium album var. centrorubrum
- 科名:ヒユ科 (旧アカザ科)
- 和名:アカザ
- 英名:fat hen
- 別名:ウマナズナ、アトナズナ、サトナズナ、シロアカザ
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インド~中国原産で、日本には古くから渡来しており、食用として栽培されたものが帰化し、雑草として全国各地に普通に見られる1年草です。
茎は1~1.5mほどに伸び、縦に緑色の筋が見られ、秋が深まる頃に太い茎は硬く、木質化します。
葉には長さ2~5cmの葉柄があり互生します。質は柔らかで葉縁は波状を呈しています。茎葉は美しい紅紫色をしており、赤色の粉状物に覆われていて、触ると粉がはがれ、ルーペ視するとビーズ状になっています。
花は秋に茎の先端や葉腋から穂状の花序を出し、あまり目立たない黄緑色の小さな花を串団子のように付けます。
果実は花後にがくが伸びて、それに覆われた、径が約2mmの胞果が五角形に見えます。中に1個の扁平で黒褐色の光沢のある種子があります。
風媒花のため花粉が飛散しやすく、花粉アレルギーの原因の一つとされています。
シュウ酸を多く含んでいるので生食には適しませんが、春から初夏にかけての若芽を摘み採り、葉や心芽の部分に付いているキラキラ光って見える粉状物をよく水で洗い流してから茹でて食用とします。山菜には珍しく、くせが無く同じ科のホウレンソウに似た味は昔から好まれています。
栄養価も高く、leucineやbetaineなどのアミノ酸類やビタミンA, B, Cを食用野草としては最も多く含むと言われています。ただし、食後に強い日光に当たると人によってはアレルギー性皮膚炎を起こすことがあるので注意が必要です。
全草を陽乾したものを「藜(れい)」と呼んで民間薬として健胃、強壮、下痢止めや喉の痛みなどに煎じて用いられます。また生の葉の搾り汁を毒虫に刺された時の痛み止めや、粉末にした葉とコンブの粉末を混ぜて、痛む部分につけて用いることも知られています。
古くなった茎は太くて中が空洞になっており、2m近くに真っ直ぐに育ち、木質化するので、軽いため杖に加工され、最高級の軽くて丈夫な杖とされており、かって黄門や芭蕉が使ったとも言われています。