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二階堂先生の「食べ物は薬」
アブラナ - 春の緑黄色野菜として食用に、種子油も多方面で利用されています
- アブラナ
- 学名:Brassica rapa var. nippo-oleifera
- 科名:アブラナ科
- 和名:アブラナ
- 英名:turnip rape, chinese colza
- 別名:ナノハナ、ナタネ
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西アジア~北ヨーロッパ原産の2年性草本で、古くから日本でも野菜として、また油を採るために栽培されてきた作物です。日本には弥生時代に渡来したとされ、明治以降からは栽培しやすいことからセイヨウアブラナ(B.napus)に置き換わったとされ、現在日本で栽培されているのはほとんどがこの種と思われます。
原種のBrassica rapaはヨーロッパの大麦畑に生えていた雑草で、その後多くの変種が知られ、それらの内の多くは野菜として利用されていて、カブ、コマツナ、ノザワナ、ミズナ、ハクサイ、チンゲンサイなどが私達の食生活で良く知られています。全体の姿が良く似ていて、黄色い花が十字花となっているので、これらをすべて菜の花、油菜、菜種などと呼んでいる場合があります。
直立して高さが1m以上にもなる茎の上部の葉は抱茎で柔らかい感じですが、根生葉は羽状に裂けたり、鋸歯のあるものも見られます。
春に茎頂に咲く花は鮮やかな黄色で総状花序をしており、花弁は4、雄しべ6、めしべ1で花弁が十字形に開くのが特徴です。アブラナ科 Cruciferae の名は十字架(cross)のように花弁が見えることから付けられ、アブラナ科は十字花科とも呼ばれています。
果実は長角果で径1.5mmほどの球状をした黒褐色の種子が入っています。
若い蕾、葉や茎を汁の実、和え物、浸し物、サラダや煮付などにして食べます。
種子から圧搾法で搾り取った種子油(菜種油)からは多くの脂肪油(平均40%)が得られます。大豆油と共に消費量の多い食用油ですが、潤滑油などの機械油原料としても広く用いられ、さらに搾油した後の搾り粕(油粕)も肥料や家畜の飼料とされ利用されています。そのほか、医療用に軟膏の基剤や注射剤の溶剤としても用いられています。
日本でも江戸時代頃から搾油目的で栽培され、主として灯油として用いられました。1600年頃に九州や近畿地方で始まり、それから東方にも広まったものとされています。
緑黄色野菜として栄養価も高く、葉酸、ビタミンC、カリウムやカルシウムが豊富に含まれており、苦味や辛味がある早春野菜として好まれています。また種子は香辛料として特有の辛味成分(イソチオシアネート)を含んでいて薬味にも用いられます。