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二階堂先生の「食べ物は薬」
カリン - 咳止め、疲労回復にカリン酒
- カリン
- 学名:Chaenomeles sinensis
- 科名:バラ科
- 英名:Chinese quince
- 別名:花梨、安蘭樹(あんらんじゅ)
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中国原産、元禄時代に薬用植物として渡来した落葉高木です。春に新葉と共に淡紅色の5弁の花を枝先に咲かせ、晩秋に黄橙色で梨状の果実を付け、黄熟すると芳香を放ちます。果肉は堅く、酸味も強いものです。近縁種のマルメロが信州で誤ってカリンと言われていますが、マルメロの果実の表面には綿毛があり、小さめで芳香もカリンより弱いものです。
カリン酒は果実酒として有名で、咳止めや疲労回復の目的で飲まれます。このカリン酒は果実を芯、種子、皮を除かないで6-8個に切って、砂糖と共にホワイトリカーに漬けます。2ヶ月くらいで淡黄色になり、半年ほど熟成させてからが飲み頃です。果肉は酸味、渋味があり、石細胞が多いため堅いので生食には適さず、カリン酒、砂糖漬け、ジャムなどとして食用にされます。煮るとペクチンがとれて柔らかくなり、ジャムやゼリーにするのにちょうど良くなります。心材は暗紅褐色で美しく、堅くて粘り強いので、床柱などの高級家具材料として使われます。
果実を木瓜(モッカ)といい、果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどを含有しており、咳止め、利尿、鎮痙、整腸剤とするほかに、漢方処方にも配合されています。