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二階堂先生の「食べ物は薬」
カラシナ - 辛味成分が役立ちます
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- カラシナ
- 学名:Brassica juncea
- 科名:アブラナ科
- 英名:brown mustard, Indian mustard, Japanese mustard
- 別名:芥子菜、辛子菜、菜芥子(ながらし)
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日本各地で栽培される越年草で、葉の基部は茎を抱かないで、葉には鋸歯(きょし)があり、表面にシワがあってざらついています。
春に茎の頂きに総状花序を形成して、黄色の小さな十字花を咲かせます。花が落ちた後には果実(角果)となり、中には黄色の球形をした種子が入っています。類似植物にアブラナ(ナタネナ) Brassica rapa var. nippo-oleifera (英名:field mustard)が知られており、カラシナに似ていますが葉の基部が茎を抱いている点が違います。そのほか、ヨーロッパで栽培されているクロガラシ Brassica nigra, (英名:black mustard)やシロガラシ Brassica hirta, (英名:white mustard) なども知られています。さらに多くの園芸品種があり、タカナ、ザーサイ、セリフォン、カツオナなどの茎葉部が漬物や煮物にして食べられています。
茎葉に特有の香りと辛味があり煮物、漬物、油炒めや浸し物などにして食べられています。また種子を香辛料の和ガラシ(英名:oriental mustard)として、日本料理に用いる他、防腐作用があるので醤油の防腐剤にも使われます。
カラシナの種子を乾燥したものが芥子(ガイシ)と呼ばれる生薬で、辛味性健胃薬、引赤去痰薬、発泡薬とする他、粉末を微温湯で練ったものを芥子泥、練り辛子と呼んで神経痛、肺炎、リウマチ、捻挫などの時、患部に湿布剤として使われます。
辛味成分の芥子油配糖体(シニグリン)は酵素分解され、強刺激性物質のアリルイソチオシアネートを生じます。この成分が引赤、発泡作用を示します。動物実験でBrassica属植物を飼料とすると、甲状腺のヨード摂取抑制作用があることが知られています。若い葉を鎭咳去痰薬として肺炎などに使うこともあります。