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二階堂先生の「食べ物は薬」
ゲッケイジュ - 料理の消臭、味付けに欠かせない香味料
- ゲッケイジュ
- 学名:Laurus nobilis
- 科名:クスノキ科
- 英名:laurel, sweet bay
- 別名:月桂樹
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南ヨーロッパ原産の地中海沿岸で栽培され、日本には明治のはじめに渡来した雌雄異株の常緑性小高木です。
長楕円形の葉は互生し、7-10cm、革質で葉縁はやや波打っています。葉にも枝にも毛は無く、葉を揉んだり、切ったりすると芳香が感じられます。
花は春に小型で葉腋に1-3個の集散花序を付け、緑を帯びた黄白色の花を1つの花序に4-6個付けます。
果実は広楕円形をしており、長さは8-10mm、秋に熟すと暗紫色になります。
葉にはシネオールを主成分としてオイゲノールやゲラニオールから成る精油(月桂油)が1-3%含まれており、生の葉を揉むとシネオールの芳香が感じられます。乾燥した葉をローレル、ベイリーブスなどと呼び、苦味が少なく、芳香を持ち、香りが引き立つため肉の臭みを消す働きもあり、料理の味付けなどとしてカレー、スープやポトフに、又ソースなどに欠くことのできない香味料です。
乾燥した葉は月桂葉(げっけいよう)と呼ばれ、蜂刺され、リウマチ、神経痛などに煎じて服用したり、粉末を芳香性苦味健胃薬として飲んで用います。
果実を乾燥したものが月桂実(げっけいじつ)で、ラウリン酸、カプリン酸などから成る脂肪油(25%)や精油(1%)を含有しており、ヨーロッパではこの油をリウマチに塗り薬として用いたり、苦味健胃薬や発汗薬として内用しています。また根皮をブドウ酒と共に飲むと胆石を溶かし肝臓病に有効とする記述が「マテリア・メディカ」に見られます。
古代ギリシャやローマではゲッケイジュの小枝や葉で編んだ冠(月桂冠)を凱旋将軍や競技の勝者の頭に飾り、勝利の象徴としましたが、現在でもマラソンの優勝者に月桂冠を与えるシーンが見られます。またゲッケイジュには決して雷が落ちないと言われていたことから、ローマ皇帝は雷除けのお守りとしてゲッケイジュの冠を付けていたと言われています。さらにイギリスでは偉大な詩人にも月桂冠を与え、首相が任命した王室付きの詩人を桂冠詩人と指すようになったとされています。