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二階堂先生の「食べ物は薬」

コムギ - タンパク質に富み、栄養価の高い麩は小麦粉由来

コムギ
  • コムギ
  • 学名:Triticum sativum
  • 科名:イネ科
  • 英名:wheat , bread wheat
  • 別名:小麦

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コムギの葉と穂実 コムギの種子 コムギの花穂 コムギ コムギ コムギ コムギ

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最重要な穀類作物の一つで、世界的に最も広く畑地に栽培される越年又は1年草です。わが国には弥生時代には伝来していたとされ、奈良時代には広く栽培されて農民の自家食料として用いられていました。さらに江戸時代には多くの品種改良がなされ、以後生産量も増加し、1942年(昭和17年)の86.5万ヘクタールをピークとしていますが1960年代からは急激に減少し、現在では21万ヘクタールほどになっています。コムギの自給率は10数%に過ぎずアメリカ、カナダ、オーストラリアなどから多量に輸入しています。

播種して数日すると発芽し、初めに子葉鞘という芽が出て、この中から葉が出て成長につれて葉の数が増えてきます。草丈は約1mで通常3~4本の分けつ(茎)に穂がつき、1本の穂は小穂の集まりで、さらに1つの小穂は多数の小花が集まって出来ています。花には花弁は無く、雄しべと雌しべを頴(えい)が包んでいます。受粉して50日位で成熟し1本の穂に40粒くらいの種子がびっしりと付きます。

よく似た植物にオオムギがありますが、主として家畜の餌、ビール、麦茶などに利用されており、私達の食料としてはあまり使われていません。

多くの品種が知られていますが粒の性質は硬質、軟質と中間質とに分けられ、これらは栽培条件の気象や土質などによるとされています。わが国で栽培されているのはほとんどパンコムギという中間質の品種です。コムギ粒は精白して丸麦とし、醤油麹の原料としますが、大部分は粉砕、篩過により製粉加工されてパン、麺類製造などに使われています。得られたコムギ粉はその性質により強力粉,準強力粉,中力粉、薄力粉とに分類されています。硬質コムギを原料とした強力粉は蛋白質はいわゆるグルテン量が最も多く、これに対して最もグルテン量が少ないのが薄力粉です。主な用途もそれぞれ異なっていて食パンなどには強力粉、菓子パンなどには準強力粉、麺類や料理には中力粉、菓子や天ぷらには薄力粉が使われています。グルテンの中のGliadinはパンに粘性と弾力を与え、CO2の気泡を包んで気泡状多孔質にする大切な役割をしています。 コムギ粉の成分(%)は製造法によって若干の差がありますが、国産では水分14、炭水化物(主にデンプン)75、蛋白質14、食物繊維、灰分などです。

コムギデンプンは医薬品の混和剤、散布剤として用いられます。コムギは小麦(しょうばく)と呼ばれる生薬として、漢方処方の「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」に配合されノイローゼやヒステリーにも用いられます。この処方解析をPDE酵素阻害活性試験により行ったところ、この処方での「小麦」にはグルテン量の多い強力粉タイプより薄力粉のようなグルテン量の少ないものの方が高い活性を示しました。

またデンプン中のグルテンを加水分解して得たグルタミン酸は化学調味料として用いられています。小麦粉からデンプンを取り去って主に蛋白成分のグルテンをもとにした麩は精進料理に欠くことができない食品です。夾雑物を除いて得られた生麩は日本人の常用する副食物の中で最も蛋白質に富み、栄養価も高く、また消化も良く、病気、幼弱者の副食として好適な食品とされています。


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